イベントレポート

CEATEC 2022

水や電気を自給自足できる“居住ユニット”、トレーラーで移動する「WHOLE EARTH CUBE」、CEATEC 2022の北良ブースで体験展示中

 10月18日~21日に幕張メッセでリアル会場の「CEATEC 2022」が開催中。北良(ほくりょう)株式会社は会場のパートナーズパークエリアにて、サステナブルな移動可能居住空間「WHOLE EARTH CUBE」の実物を展示している。

 WOTA株式会社、MUSVI株式会社との共同出展で、自律分散型インフラを搭載したトレーラーハウス「WHOLE EARTH CUBE」の実物を展示していた北良株式会社。トレーラーハウス内部は実際に入室可能となっており、北良によるエネルギーのオフグリッド技術(電力網など公共インフラから切り離された状態でも稼働可能にする技術)、WOTA社による循環型水処理技術、MUSVI社によるテレプレゼンシステムといった関連技術を体験できる。

「WHOLE EARTH CUBE」内部。もともとは災害などのインフラ喪失時、在宅医療者などの家族単位での長期収容を想定しており、トレーラーハウスながら居住空間はかなり広め
オフグリッドでの電力の安定を実現するため、断熱性の高いトリプルガラス窓を採用するなどのこだわりも
シンクの水はWOTA社の水循環システムにより98%が循環。外部から水が供給できない空間でも、ある程度の長期的な生活が可能となる
トイレなどの汚水は別系統で循環システムを管理
洗濯機のほか、シャワールームなども用意されており、基本的な生活空間としては十分に機能する印象

 「WHOLE EARTH CUBE」は、「誰でも、どこでも、自由に暮らす。」をコンセプトにした居住空間で、東日本大震災での被災を経験している北良株式会社が、大規模災害による電気・上下水道といったインフラ喪失時の災害弱者を長期間安全に収容することを目的に開発したもの。

管理アプリは一部イメージ。電力や水の残量を一覧で確認できるほか、暖房用に灯油の保存も可能
躯体は木造。トレーラーでけん引することで場所やインフラによらない生活を実現できる

 メインとなる太陽光発電と蓄電池に加え、LPガスを利用した発電機による電力の長期間維持、98%の水のリユースを可能にした小規模分散型水循環システム採用による水の確保など、いずれも既存のインフラに左右されずに長期間、生活に必要となるインフラを維持できるのが特徴としている。

「WHOLE EARTH CUBE」と同じ水循環システムを利用した手洗いスタンド「WOSH」。フィルターや塩素系消毒剤、深紫外線照射機能を備え、98%の水を循環して利用できる
手洗い場周辺のリングは、清潔な手洗いの目安となる30秒にあわせて発光する
深紫外線照射機能で手洗い中にスマートフォンの除菌が可能。洗ったあとの手も清潔に保つための工夫だ

 内部の水循環システムはWOTA社の技術を活用しているが、同じシステムを利用する水循環型手洗いスタンド「WOSH」もあわせて展示されている。内部に3つのフィルターと深紫外線照射機能、塩素系消毒剤を備えており、手洗いなどに利用した水の98%を循環・再利用可能。AIがセンサー情報をもとに水質を管理するため、清潔な状態を保ったまま20リットルの水で500回の手洗い(1回30秒として換算)が可能だ。深紫外線照射機能によるスマートフォン除菌機能も備えており、雑菌が繁殖しやすいスマートフォンを手洗いと同時に除菌できるのも魅力となる。

テレプレゼンシステム「窓」。縦型大画面と背面のスピーカーで、遠隔地の人とも濃密なコミュニケーションが可能となるコミュニケーション装置。現在はクリエイティブの現場などでも需要が高まりつつあるとのこと
画像中央にあるのがMUSVI社のオフィスと接続した「窓」。相手の全身や場の雰囲気まで把握できることから、常時つないでおくことであたかも同じ空間を共有しているかのように感じられるのが、大きな魅力と言える。画像右のように画面と音声をワンボタンでミュートし、プライバシーを守る機能も

 MUSVI社によるテレプレゼンシステム「窓」は、ソニーの映像・音声・インタラクション技術を活用し、実際に相手と同じ空間にいるかのようなリアリティのあるコミュニケーションを共有できるデバイス。中心視野だけでなく周辺視野に映る空間の奥行きで情報量を高められる縦型大画面の採用、ステレオエコーキャンセルや環境音イコライザによる音声の臨場感といった要素により、場所を問わずに濃密なコミュニケーションが可能になるのが大きな特徴だ。「WHOLE EARTH CUBE」のような独立した居住空間においては、距離の制約を越えて多様な地域や人との繋がりを実現できるメリットがあるとしている。