イベントレポート

第20回東京国際ブックフェア

書店で本の表紙を撮影すると、中身を電子書籍で立ち読み・購入できるアプリ

 東京ビッグサイトで開催中の「第20回東京国際ブックフェア」で、電子書籍ストア「BookLive!」を運営する株式会社BookLiveが、現実世界と電子書籍をつなぐアプリとして「BookLive!カメラ(仮)」を参考出展している。

 BookLive!カメラは、スマートフォンやタブレットのカメラで本の表紙やランドマークなどの風景を画像認識し、関連する電子書籍を提示するアプリ。例えば、書店の店頭にある本の表示にかざすと、BookLive!で扱っているタイトルの書影データとマッチングを行い、該当する電子書籍の概要ページを表示するといった流れだ。その本がBookLive!で立ち読みできるタイトルだった場合は、目の前にある紙の本の中身を電子書籍で立ち読みできることになる。もちろん、気に入ったならその場でBookLive!から電子書籍を購入できるようにしていく。

 ユーザーにとっては、“文字なし”で電子書籍を検索できるほか、書店の店頭で見かけた本を紙版で買うか電子版で買うか選択肢が生まれる。その一方で書店にとっては、紙版で得られるはずの売上が電子版に流れてしまうことになる。しかしBookLive!カメラでは、同アプリから電子書籍が購入された場合、GPS機能によってその場所を認識する仕組みとなっており、その書店に販売手数料を支払う流れを確保している。

 さらに、本の実物でなくとも、ポスターやカタログなどに印刷された表紙の画像を読み取って、同様の流れで電子書籍の購入ページに誘導することも可能だという。これにより、在庫切れのタイトルや、店頭に置くスペースのないタイトルなどの電子書籍をリアル書店で“扱える”ようになるわけだ。BookLiveでは従来より、リアル書店で専用電子書籍端末「BookLive!Reader Lideo」を販売したり、電子書籍タイトル購入の決済を提携書店の店頭で現金などで行えるようにするなど、リアル書店との連携を進めてきた。今後、BookLive!カメラを活用して、新たな書店連携スキームを展開していくとしている。

 風景の認識については、観光地などを訪問した際に、実際にそこにあるランドマークなどを撮影することで、その観光地のガイドブックなどを提示し、電子書籍で購入してもらう流れだ。展示ブースでは、東京スカイツリーや、空港にとまっている旅客機の模型、浅草・雷門の写真パネルなどを用意し、それらにタブレットをかざすことで、ランドマークとして画像認識、関連電子書籍を表示するデモを披露している。

 なお、デモで使っているアプリおよびタブレット端末は今回の展示用に用意したもので、正式リリース時期や対応OSなどの詳細は現時点では明らかにしていない。

 BookLiveのブースではこのほか、入手困難な書籍を紙と電子書籍の両方で復刻販売する「インタラクティブブックソリューション」についても紹介。電子書籍版をBookLive!で販売する一方で、紙版を購入したい人に対しては、三省堂書店本店においてオンデマンドプリントサービスで製本して販売するというものだ。BookLiveと三省堂書店の共同事業としては現在、平凡社の「東洋文庫」約600冊が同ソリューションに対応している。

 このほかにも三省堂書店本店ではオンデマンドプリントサービスを手がけており、東洋文庫のほか、ハーレクインシリーズなども含めて合計3000冊以上がラインナップされているという。ブースでは、実際に製本したハーレクインの書籍を見ることができた。表紙のカラー部分の印刷こそ通常の書籍からは見劣りするが、モノクロテキストの本文ページは普通に売られているペーパーバックなどと遜色ない出来だ。説明員によると、ハーレクインシリーズでは一部にもう手に入りにくくなっているタイトルもあるとし、人気なのだという。また年配者には、フォントを拡大して、判型がやや大きめのサイズで製本できるのもオンデマンドならではだとしている。

専用電子書籍端末「BookLive!Reader Lideo」の展示・販売も
7月1日に提供開始したばかりの「ブラウザビューア(β版)」の展示。「BookLive!」の電子書籍をHTML5対応ウェブブラウザーから閲覧できるため、これまで非対応だったMacからも利用できるようになった

(永沢 茂)