インタビュー

今年の「Internet Week 2024」は、オフラインで”手を動かす”ハンズオンプログラムも!

20代・学生の参加も徐々に増加、「面白そうと思うものや興味をもったものに、とりあえず参加してみてほしい」

「Internet Week 2024 プログラム委員会」副委員長の吉浜丈広氏(左)、委員長の輿石隆氏(中央)、副委員長の島田直人氏(右)。Internet Weekの「I」と「W」を表している

 インターネットの技術を語るイベント「IInternet Week 2024」が11月19日~27日に開催される。主催は一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)。

 Internet Weekは「インターネットに関する技術の研究・開発、構築・運用・サービスに関わる人々が一堂に会し、主にインターネットの基盤技術の基礎知識や最新動向を学び、議論し理解と交流を深めるためのイベント」として開催されているもの。今年で28回目を迎え、「つなげて、広げて、楽しもう」をテーマに、38のプログラムを展開する。

 そのプログラムを企画・策定する「Internet Week 2024 プログラム委員会」のメンバーに、今年の特色やお勧めのプログラムなどを伺った。

 なお、各プログラムの詳細は、Internet Week 2024のウェブサイトに掲載中だ。会期前半の11月19日~21日が「オンラインWeek」となっており、ベーシックなプログラムをオンラインで実施。後半の25日~27日がリアル会場での「カンファレンスWeek」で、議論や意見交換を重視したプログラムを浅草橋ヒューリックホール&カンファレンス(東京都台東区浅草橋1-22-16)で実施する。

 参加費は1万6500円で、事前参加登録を受付中。この基本料金で、ハンズオンプログラム(1プログラム3300円)と懇親会(7000円)を除く全てのプログラムに参加できるほか、現地参加できなかったプログラムについても後日、オンデマンドで視聴可能だ。

 30歳以下の学生を対象にした学割もあり、1万6500円の参加費が無料になる。また、今年は「初参加者向けワンセッション参加券」もあり、4950円で「カンファレンスWeek」の1セッションと「オンラインWeek」のすべてに参加できる(※ハンズオンと懇親会を除く)。

ハンズオンプログラムもリアル開催、コミュニケーションを取りながら手を動かせる

――Internet Weekはどのようなイベントでしょうか。特色を教えてください。

 インターネットの業界では、すでにさまざまなイベントが開催されています。しかし、例えばセキュリティの世界のイベントであったなら、セキュリティの中身に特化したものですし、セグメントや分野ごとに実施しているイベントが多いと思います。

 一方、Internet Weekは「インターネットに関わるものすべて」を対象としています。こう言ってしまうと、逆にかなり広い範囲をカバーしているということになりますが、それぞれの分野ごとのトレンドや技術などを意識しながらプログラムを作成しています。このため、Internet Weekをざっと見ておけば、重要な部分が俯瞰して見られるので、今年のインターネットのトレンドを把握できると思います!

 今年の特色としては、実際の設定などを手を動かして学ぶ、ハンズオンやワークショップのプログラムが充実しています。昨年まではオンライン上でハンズオンプログラムも実施していましたが、今年はリアル会場でも実施予定です。

 オンラインのハンズオンは効率的ではありますが、どうしても一人ぼっちで画面だけ見ながら問題に取り組むことになりがちです。しかしオフラインだと、近くの参加者と話したり、チームで取り組むプログラムもあるので、コミュニケーションも活発になり、より効果的に学ぶことができると思います。

 余談にはなりますが、今年はハンズオンプログラムを実施するために、プログラム委員会だけでなくNOCチーム(Network Operation Center:会場ネットワークを担当するチーム)も組織し、20人ほどのメンバーが携わっています。ハンズオンの環境は、それぞれの講演者やプログラム委員が携わって準備していますが、それと並行して、東京・浅草橋の会場にカンファレンスネットワークを構築するために、現在、メンバーが舞台裏で取り組んでいます。


Internet Week 2024で実施するハンズオンプログラム一覧

「Internet Week 2024」公式サイト

――今どきオンラインの方が効率的だったりすると思いますが、リアルでのコミュニケーションで何を得られるのでしょうか。

 ハンズオンに限らず、会場で行うイベントでは講師の方の熱量や雰囲気も伝わってきますし、講演後にお話もできます。そうすれば人前では聞きづらかったような話についても、気軽に話せるのが、オフラインの大きなメリットだと感じます。

 Internet Week 2024は、オンラインでやった方が効率的なプログラムと、会場で聴いてもらいたいプログラムと両方用意していますので、いいとこ取りができていると思います。

――昨年2023年も久しぶりにオフラインメインだったと伺っていますが、どういった雰囲気だったのでしょうか。

 「カンファレンスといえば現地会場だよね」とあらためて実感しました。会場にたくさんの参加者が集まったほか、特に最後に行われた懇親会は熱気があり、講師やプログラム委員、参加者が入り混じって、オフレコ話に盛り上がっていたのが印象に残っています。

 今年は会場が変更になり、2019年まで使用していた浅草橋ヒューリックホール&カンファレンスで開催します。会場も広くなりますので、小話や雑談もよりしやすくなるのではないでしょうか。

その分野の第一人者が講師、「ぜひ積極的に話しかけてほしい」

――インターネット業界人たちが集まる、ということですが、交流することで何を得られるのでしょうか。

 プログラムは、委員自ら「この人のこの話を聞きたい!」と思ったものを、分野の第一人者である講演者に直接お願いしています。このため、第一人者が集まりやすく、これはInternet Weekの強みだと感じています。

 また、参加者みなさんが抱えている悩みは似たものが多いため、講演以外の悩みにもしっかり答えてくださるかもしれません。さまざまな専門家が集まるこの貴重な機会を使わない手はありません。ぜひ積極的に話しかけてみていただきたいです。

――参加者の年齢層はいかがでしょうか? 学割を設けていますが、学生や30歳以下はどれくらい参加しているのでしょうか。

 ボリュームゾーンとしては、30代・40代の中堅層が多く、毎年欠かさず参加してくださるリピーターも多いですね。

 一方、20代から下の世代や学生さんも徐々に増えています。昨年の割合としては、20代以下が30%程度、一昨年は23%で、増加してきています。今年はプログラム委員やNOCに若手や学生が多く参加しているので、若手世代にも気軽に参加していただきたいです。30歳以下の学生は無料で参加できますので、ぜひ活用してもらいたいですね。

――若手世代の参加者が増加しているのですね。「聴いてみたい」という気持ちのある方にはまずは何を勉強してほしいでしょうか。

 「何を」というのは人によって違うので一概に言えませんが、やりたいことがある人はまずはそれを聴くんだと思います。

 やりたいことが決まっていない人も、面白そうと思うものや、興味を持ったものにとりあえず参加してみてほしいですね。セグメントを区切らず、インターネット全体を取り扱っているイベントだからこそできることだと思います。また、それぞれ関連していることも多いので、1つの分野だけでなく、いろいろ参加して、視野を広げていってほしいです。

 プログラムごとに対象者が記載されているので、「ビギナー向け」というものを優先的に受けてもいいと思います。また、セキュリティの分野では、最新情報が盛りだくさんですのでお楽しみに。

 そして、基本料金でハンズオンと懇親会を除くすべてのプログラムに参加できます。ぜひたくさん参加してみてください!

――初めて参加する方やハードルが高いと感じる方におすすめのプログラムはありますか?

 まずは「オンラインWeek」から参加してみてください。オンラインWeekでは基礎的な内容や学生向けのプログラムをそろえています。

 また、今年のプログラムということではないのですが、「Internet Week Basic オンデマンド」という動画コンテンツがあります。昨年のオンラインWeekのプログラムや基礎的なプログラムを無料で視聴できるので、イベント参加前の予習として活用するのはいかがでしょうか。

 最終日の「IP Meeting 2024 ~つなげて、広げて、楽しもう~」もお勧めです。Internet Weekのプレナリーセッションであり、クロージングセッションです。前半は2024年のインターネット全体の動向をつむことができ、後半は今後・未来に向けて議論を深める内容です。

 特に今年は第3部にインターネットの発展を進めてきたパイオニアたちを迎えて、若手世代と直接対話し、これからのインターネットについてともに検討していく予定です。

 ぜひ、会場で「つなげて、広げて、楽しもう」をいたしましょう!お待ちしております。

――ありがとうございました。

INTERNET Watchでこれまで掲載したInternet Weekのイベントレポート記事(2009年以降)は、下記ページにまとめている。