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性的な写真・動画をSNSに投稿する行為を問題だと思う人が昨年から減少、半数を割る~IPA調査

 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は20日、「2016年度情報セキュリティの倫理に対する意識調査」の報告書を公表した。SNSで性的な写真や動画を撮影・投稿する行為を問題だと思う人が減少したことや、悪意ある投稿者の自戒・自省感が低下していることなどを指摘している。

 調査は今年9月、13歳以上のインターネット利用者を対象にウェブアンケートで実施したもの。回答者は、PCによるインターネット利用者(PCでのみインターネットを利用、またはPCでの利用時間の方が長い)5000人、スマートデバイス(スマートフォンまたはタブレット端末)によるインターネット利用者(スマートデバイスでのみインターネットを利用、またはスマートデバイスでの利用時間の方が長い)5000人。

 PC利用者において、問題があると思う行為を選ぶ設問で、最も多かったのは「SNSで性的な写真や動画を撮影して投稿した」(45.1%)で、以下は「購入したソフトウェアを友人に欲しいと頼まれたのでコピーしてあげた」(39.9%)、「炎上している事件の犯人の個人情報を手に入れたのでブログやSNSに投稿した」「友人が購入したゲームソフトをコピーしてくれたので利用した」(ともに38.6%)、「友人と一緒に写った写真を勝手に自分のブログに貼り付けて公開した」(37.8%)、「ニュース記事の本文と写真を勝手にコピーして自分のブログに貼り付けた」(35.7%)、「放送中の人気番組の主題歌が、ある個人のサイトにアップロードされていたのでダウンロードした」(35.2%)などと続く。

 前年調査と比較すると、「SNSで性的な写真や動画を撮影して投稿した」が11.7ポイント、「購入したソフトウェアを友人に欲しいと頼まれたのでコピーしてあげた」が14.3ポイントそれぞれ減少して半数を割ったほか、他の行為についても割合が大きく減少しているものが目立つ。一方で、「あてはまるものはない」は11.4ポイント増加し、42.7%。IPAでは、問題があるとの認識が低下している模様だとしている。

 スマートデバイス利用者においても、問題ある行為とする人が最も多かったのは「SNSで性的な写真や動画を撮影して投稿した」だが、47.1%で半数に満たない。IPAでは、「性的な写真や動画の不用意な投稿は、セクストーション(性的脅迫)のような犯罪を助長するほか、リベンジポルノなどのリスクもあるため基本的には行わないことが賢明」としている。

 PC利用者において、インターネット上への投稿経験者(1831人)のうち、悪意ある投稿の経験者は24.6%だった。内容は、「他人や企業の悪口」(9.3%)、「さげすんだり、けなしたりする内容」(6.9%)、「他人の発言を非難する内容」(6.8%)、「下品な言葉を含む内容」(6.3%)、「不確かなことや、噂が含まれる内容」(5.1%)など。

 悪意ある投稿をした理由としては、「人の意見に反論したかったから」(34.0%)、「人の意見を非難・批評するため」(29.7%)、「人の投稿やコメントを見て不快になったから」(26.6%)、「いらいらしたから」(16.2%)、「誰かがやるべきことだと思ったから」(12.4%)、「好奇心や面白さから」「特にない/なんとなく」(ともに10.1%)、「相手に仕返しするため」(9.9%)など。前年調査と比較すると、「人の意見を非難・批評するため」が5.6ポイント増加。逆に「特にない/なんとなく」が9.5ポイント減少した。

 悪意ある投稿をした後の感情は、「気が済んだ、すっとした」(30.9%)、「何も感じない」(29.7%)が多く、以下、「小気味良かった」(15.5%)、「面白かった」(13.1%)、「やらなければよかったと後悔した」(12.2%)、「問題になるか心配になった」(10.4%)、「書き込んだ相手に謝罪したい」(6.3%)の順。前年調査と比較すると、「小気味良かった」が5.8ポイント増加、「何も感じない」が8.6ポイント減少している。

 スマートデバイス利用者において、インターネット上への投稿経験者(2318人)のうち、悪意ある投稿の経験者は24.2%。内容は、「他人や企業の悪口」(8.7%)、「さげすんだり、けなしたりする内容」(6.7%)、「下品な言葉を含む内容」(5.7%)、「他人の発言を非難する内容」(5.5%)、「不確かなことや、噂が含まれる内容」(4.4%)など。

問題があると思う行為(PC利用者)(「2016年度情報セキュリティの倫理に対する意識調査」調査報告書より)
問題があると思う行為(スマートデバイス利用者)(「2016年度情報セキュリティの倫理に対する意識調査」調査報告書より)

 悪意ある投稿をした理由としては、「人の意見に反論したかったから」(35.2%)が最も多く、以下、「人の意見を非難・批評するため」(26.3%)、「人の投稿やコメントを見て不快になったから」(23.7%)、「いらいらしたから」(17.8%)、「特にない/なんとなく」(14.4%)、「好奇心や面白さから」(11.4%)、「相手に仕返しするため」(11.0%)、「誰かがやるべきことだと思ったから」(10.0%)など。前年調査と比較すると、「人の意見に反論したかったから」が10.7ポイント、「人の意見を非難・批評するため」が9.2ポイントそれぞれ大きく増加している。一方、「特にない/なんとなく」が4.9ポイント、「いらいらしたから」が5.3ポイント減少した。

 悪意ある投稿をした後の感情は、「気が済んだ、すっとした」(31.3%)、「何も感じない」(27.8%)、「面白かった」(16.5%)、「やらなければよかったと後悔した」(15.1%)、「小気味良かった」(14.9%)、「問題になるか心配になった」(9.4%)、「書き込んだ相手に謝罪したい」(5.9%)の順。前年調査と比較すると、「面白かった」が5.7ポイント、「小気味良かった」が5.1ポイント増加、「何も感じない」が7.2ポイント減少した。IPAでは、「ネガティブな達成感を覚える傾向が増加した」と指摘している。

 なお、悪意ある投稿に用いたアカウントは、PC利用者の81.3%が「普段利用しているSNSアカウント」、18.2%が「普段利用しているのとは別のSNSアカウント」、スマートデバイス利用者の79.7%が「普段利用しているSNSアカウント」、21.4%が「普段利用しているのとは別のSNSアカウント」だった。いずれも8割が普段利用しているSNSアカウントであることから、IPAでは、「悪意ある投稿者としての自身や、主張を隠すつもりが無いようにみえる」としている。