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2021年、世界の年間IPトラフィックは「3ゼタバイト」超え、シスコ予測

日本のユーザーは1人あたり月間112GB

米Cisco Systemsのダグ・ウェブスター氏(戦略、テクノロジーおよびイノベーション担当バイスプレジデント)

 シスコシステムズ合同会社は3日、IPトラフィックの動向を予測した年次報告書「Cisco Visual Networking Index(VNI)」の最新版の結果について発表した。同調査によると、グローバルのIPトラフィックは2021年に月間278エクサバイト、年間では3.3ゼタバイト(ゼタバイトは1兆ギガバイト)に達し、2016年の3倍(年平均成長率24%)に増加するという。同社によると、3.3ゼタバイトは「これまで制作されたすべての映画が世界のIPネットワークに毎分流れる量に相当する」という。日本のIPトラフィックも2016年の3倍となる月間14エクサバイトに達し、年平均成長率は26%になるそうだ。

日本のIPトラフィックが2021年に月間14エクサバイトに達する見込み

 米Cisco Systemsのダグ・ウェブスター氏(戦略、テクノロジーおよびイノベーション担当バイスプレジデント)は、トラフィック増加の要因として、インターネットユーザーの増加、デバイス数と接続数の増加、ブロードバンド速度の向上、ビデオ視聴の増加を挙げた。特にモバイルデータトラフィックが増加しており、日本では2021年に2016年の4倍(年平均成長率33%)となる月間2.2エクサバイトに達すると見込んでいる。

インターネットユーザーの増加、デバイス数と接続数の増加、ブロードバンド速度の向上、ビデオ視聴の増加がトラフィック増加の原因に
日本のモバイルデータトラフィックは2021年に月間2.2エクサバイトに達する

 1人あたりの月間トラフィックを日本と米国で比較した場合、日本は112GBで米国は237GBとなった。これは、トラフィックを占める割合が日本ではスマートフォンが高いのに対して、米国は高解像度の動画データが必要なテレビの割合が高いことにある。

 なお、日本では2021年のモバイルデバイスの55%をM2Mが占め(世界平均29%)、すべてのネットワークデバイス接続の73%を占める見込みだという。中でも4GとLPWA(Low Power Wide Area)が大きく伸びるため、コネクテッドホーム、コネクテッドヘルス、コネクテッドカーなどの分野の成長が期待されている。

コネクテッドホーム、コネクテッドカー分野の成長も期待される

 グローバルのモバイルデータトラフィックに関しては、2021年には4Gが79%、5Gが1.5%を占める一方、日本は2016年時点で4Gが94%を占めており、2021年には5Gが5%に拡大するという。

日本のモバイルデータトラフィックは、2021年に5Gが5%(世界平均1.5%)を占める見込み。

 ウェブスター氏はDDoS攻撃の規模の拡大とトラフィックの増加も指摘。1Gbps以上の規模の攻撃が2021年には2016年の2.5倍の310万件に増加するという。

1Gbps以上の規模の攻撃。2021年までの年平均成長率は20%になるという