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進化する「goo」のAI、次はIoTで“あうんの呼吸”実現へ
2017年9月21日 11:00
NTTレゾナント株式会社が運営する「goo」では、ユーザーの目的や行動、生活シーンによってユーザーに最適化されたサービス展開を目指している。これらを支える技術として、検索ナビゲーション技術や日本語処理技術に加え、自社AI(人工知能)の活用の強化に積極的に取り組んでいるが、さらに今後、“あうんの呼吸”でアクションを行うIoTサービスのプロジェクトに取り組む予定だ。20日に行われた同社の戦略説明会で、若井昌宏氏代表取締役社長が明らかにした。
自社AIを活用したBtoC向けのサービスとしては、2016年9月にQ&Aサービス「教えて!goo」の恋愛相談カテゴリーにおいて、NTTグループの人工知能(AI)技術「corevo」を活用した恋愛相談サービスを開始。1万件の恋愛相談に対応してきた。7月には日本テレビ系列水曜ドラマ「過保護のカホコ」の主人公をキャラクター化したAIとLINEで会話できるサービス「AIカホコ」を展開。AIにキャラクター性を持たせた自然な対話技術を実現したという
これらに加え、ユーザーの興味・気分をAIが判別して旅先を提案する行動支援サービスをgoo旅行で導入する。一問一答形式ではなく、リアルタイムの対話を通してユーザーの関心を引き出すのが特徴。「癒されたい」「のんびりしたい」といったあいまいな言葉でもユーザーに合わせた旅先を提案してくれる。教えて!gooの旅行に関するQ&Aデータや「gooブログ」の旅行体験記事、「goo旅行」の観光地情報、「goo地図」の地域情報といった複数のデータベースと連携することで実現したサービスだという。
BtoBtoC向けのサービスとしては、検索エンジン「goo Search Solution」を提供。gooの検索機能、表記ゆれサポート機能、データ分析技術を活用できるのが特徴。当初はECサイト向けのサービスとしての展開を想定していたが、ニュースサイトや音楽配信サイトといったデジタルコンテンツサービスなど、さまざまな業種で活用されるようになったという。例えば、音楽配信サービスでは難しい読みのアーティスト名の検索をAIがサポートすることで“0件ヒット”が減少し、コンバージョンが20%向上したという。gooのAIを活用したソリューションは、このほかにも工場の製造機器の故障予防や運転効率化、画像認識を使ったドライブモニターなどさまざまな分野にも発展させるとしている。
AI技術の開発加え、IoTサービスにも力を入れる。対話型インターフェースを使ったIoTサービスを実現するためのプロジェクト「gSntk」にて、家族モニターを募集することを発表した。募集期間は9月20日~10月13日、首都圏に住む30世帯が対象。
gSntkでは、センサーやスマートロック、スマートライトなどIoTデバイスとgooが提供する既存コンテンツを連携し、ユーザーの行動状況にかかわる情報を活用。「ユーザーの思考を読み解き、要求に先んじて、“あうんの呼吸”でアクションを行うサービス」の開発を目指す。例えば、出勤時間に応じて天気情報やニュース情報を提示したり、寒い日には事前に暖房を入れることができるようにする。同プロジェクトではサービスのニーズや、技術検証、日本で必要な法律の整備、ユーザーが抱えるリスクなども明らかにするねらいがある。
同社ポータルサービス部門長の鈴木基久氏によると、「gooで展開するすべてのサービスを対話型に作り変えていく覚悟で取り組んでいる」という。「これまでも“行動支援メディア”としてユーザーをサポートしてきたが、“有能な秘書”“よき親友”として、単純な質問・命令に答えるだけでなく、意思決定をサポートしたり雑談できるサービス開発を続けていきたい」と今後の展望を語った。