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進化する「goo」のAI、次はIoTで“あうんの呼吸”実現へ

 NTTレゾナント株式会社が運営する「goo」では、ユーザーの目的や行動、生活シーンによってユーザーに最適化されたサービス展開を目指している。これらを支える技術として、検索ナビゲーション技術や日本語処理技術に加え、自社AI(人工知能)の活用の強化に積極的に取り組んでいるが、さらに今後、“あうんの呼吸”でアクションを行うIoTサービスのプロジェクトに取り組む予定だ。20日に行われた同社の戦略説明会で、若井昌宏氏代表取締役社長が明らかにした。

 自社AIを活用したBtoC向けのサービスとしては、2016年9月にQ&Aサービス「教えて!goo」の恋愛相談カテゴリーにおいて、NTTグループの人工知能(AI)技術「corevo」を活用した恋愛相談サービスを開始。1万件の恋愛相談に対応してきた。7月には日本テレビ系列水曜ドラマ「過保護のカホコ」の主人公をキャラクター化したAIとLINEで会話できるサービス「AIカホコ」を展開。AIにキャラクター性を持たせた自然な対話技術を実現したという

「AIカホコ」では、ドラマで使用された台詞などの会話データをもとに、AIにキャラクター性を持たせたのが特徴

 これらに加え、ユーザーの興味・気分をAIが判別して旅先を提案する行動支援サービスをgoo旅行で導入する。一問一答形式ではなく、リアルタイムの対話を通してユーザーの関心を引き出すのが特徴。「癒されたい」「のんびりしたい」といったあいまいな言葉でもユーザーに合わせた旅先を提案してくれる。教えて!gooの旅行に関するQ&Aデータや「gooブログ」の旅行体験記事、「goo旅行」の観光地情報、「goo地図」の地域情報といった複数のデータベースと連携することで実現したサービスだという。

旅行先が決まっていない場合でも、会話に応じてプランを提案。提示された答えに納得できない場合でも、対話を重ねることでさらにブラシュアップした回答を引き出せるとしている。

 BtoBtoC向けのサービスとしては、検索エンジン「goo Search Solution」を提供。gooの検索機能、表記ゆれサポート機能、データ分析技術を活用できるのが特徴。当初はECサイト向けのサービスとしての展開を想定していたが、ニュースサイトや音楽配信サイトといったデジタルコンテンツサービスなど、さまざまな業種で活用されるようになったという。例えば、音楽配信サービスでは難しい読みのアーティスト名の検索をAIがサポートすることで“0件ヒット”が減少し、コンバージョンが20%向上したという。gooのAIを活用したソリューションは、このほかにも工場の製造機器の故障予防や運転効率化、画像認識を使ったドライブモニターなどさまざまな分野にも発展させるとしている。

NTTレゾナント株式会社の若井昌宏代表取締役社長。「gooではユーザーの目的や行動、生活シーンによってユーザーに最適化された"おもてなし”を意識したサービス展開を目指している」という

 AI技術の開発加え、IoTサービスにも力を入れる。対話型インターフェースを使ったIoTサービスを実現するためのプロジェクト「gSntk」にて、家族モニターを募集することを発表した。募集期間は9月20日~10月13日、首都圏に住む30世帯が対象。

 gSntkでは、センサーやスマートロック、スマートライトなどIoTデバイスとgooが提供する既存コンテンツを連携し、ユーザーの行動状況にかかわる情報を活用。「ユーザーの思考を読み解き、要求に先んじて、“あうんの呼吸”でアクションを行うサービス」の開発を目指す。例えば、出勤時間に応じて天気情報やニュース情報を提示したり、寒い日には事前に暖房を入れることができるようにする。同プロジェクトではサービスのニーズや、技術検証、日本で必要な法律の整備、ユーザーが抱えるリスクなども明らかにするねらいがある。

対話型インターフェースを使ったIoTサービスを実現するためのプロジェクト「gSntk」

 同社ポータルサービス部門長の鈴木基久氏によると、「gooで展開するすべてのサービスを対話型に作り変えていく覚悟で取り組んでいる」という。「これまでも“行動支援メディア”としてユーザーをサポートしてきたが、“有能な秘書”“よき親友”として、単純な質問・命令に答えるだけでなく、意思決定をサポートしたり雑談できるサービス開発を続けていきたい」と今後の展望を語った。

NTTレゾナント株式会社ポータルサービス部門長の鈴木基久氏