ニュース

シヤチハタが「オンライン押印」サービス強化、押印廃止の流れに危機感

電子決裁サービス「Shachihata Cloud Business」開始、社外とのやり取りにも対応

Shachihata Cloud Business

 シヤチハタ株式会社は、電子決裁サービス「Shachihata Cloud Business」を11月24日に提供開始すると発表した。これまで提供してきた「パソコン決裁Cloud」の名称を「Shachihata Cloud」に変更するとともに、機能を拡張し、取引先など社外との電子決裁にも対応したサービスだ。

 Shachihata Cloudは、社内での回覧を想定した「Standard」と、セキュリティ機能が充実しており、取引先など社外での電子決裁も可能な「Business」の2つのコースが用意されている。

 Standardは、「パソコン決裁Cloud Corporate」の後継。PDF捺印/回覧機能、PDF変換機能(Excel/Word)、複数ファイルのページ結合、アドレス帳(個人/共通部署)、回覧ルートお気に入り、組織階層作成/管理、ファイル保存(1年間)が利用できて、1印鑑(1ユーザー)あたり月額100円(税別)だ。

 Businessは、Standardの機能に加えて二要素認証(QRコード/メール認証)、IPアドレス制限(オプション)、電子署名(本人の証明書も登録可)、タイムスタンプ(オプション)、添付ファイル機能(最大5文書)、社内回覧専用設定(文書/ルート)、スマホアプリの機能が利用できて月、1印鑑(1ユーザー)あたり額300円(税別)だ。

 なお、両プランとも契約10ユーザー単位で、最低契約期間は1年間となっている。

「Standard」と「Business」の違い

電子決裁でもハンコが写る、紙と同じ運用が可能

 Shachihata Cloud Businessの提供開始を前に、16日にオンラインの記者発表会が行われた。

 シヤチハタの小倉隆幸氏(システム法人営業部部長)は、使いやすい電子決裁サービスの条件として、いつでもどの環境からでも使える、運用は印鑑のときと同じ、クリックだけで直感的に押印ができる、承認操作が記録できる――という4つを挙げた。

シヤチハタ株式会社の小倉隆幸氏(システム法人営業部部長)

 特に運用が重要で、これまでは「半年間の社内教育が必要な場合もある」ということもあったという。その点、Shachihata Cloud Businessは、電子化しても書類は紙と同じフォーマット、電子決裁を行うとハンコが写る、紙と同じ決裁ルートにする――といったことでスムーズに電子化できるとしている。

 また、これまでは、電子決裁は社内にとどまっていることが多かった。これは、取引先などの社外でも同じ電子決裁サービスを契約する必要があるためだ。これが障壁となり、社外に提出する書類は電子決裁が利用できなかった。

 しかし、今回発表されたShachihata Cloud Businessには、社外に送った書類はサービスを契約しなくても電子決裁が行える機能が備わっている。シヤチハタではこれまでも電子決裁サービスを展開していたが、社外に送信する文書も電子署名ができるようにして欲しいという要望が多く寄せられていたとして、Shachihata Cloud Businessにて実現した。

 また、電子署名の利点として、署名後の編集は行えない、承認の操作が記録できる、閲覧権限が設定できる――などが挙げられる。

 記者発表会では、このようなShachihata Cloud Businessのデモが披露された。社内の承認を経て、社外と秘密保持契約を締結するというシナリオだ。

 まずは、担当者がShachihata Cloud Businessにログインし、必要な書類をPCまたはオンラインストレージから追加。タブの概念があり、例えば社外秘の書類が保存できる。その後、上長や部長など回覧ルートを設定する。

 社内で必要な電子決裁が得られると、社外に送信する。この際、文書を送付した社外の取引先などには、社内での決裁ルートや社外秘の文書は見えないようになっている。社外に送った文書が決裁されると、関係者にメールが送信されるという流れだ。

電子決裁を手がけて25年、「ようやく役に立つ日が来た」

 シヤチハタはネーム印と印鑑が主力商品だが、押印廃止が急激に進んでいるため、「危機感がある」(シヤチハタ代表取締役社長の舟橋正剛氏)という。しかし、シヤチハタは電子決裁も長年にわたり提供しており、今回提供開始するShachihata Cloud Businessについて「ようやく役に立つ日が来た」(舟橋氏)と語る。

シヤチハタ株式会社代表取締役社長の舟橋正剛氏

 シヤチハタが電子決裁を開始したのは1995年発売の電子決裁ソフト「パソコン決裁」からで、以降、25年にわたり電子決裁を提供している。その後、PDFへの対応、2000年前後にはペーパーレスの推進運動、2001年には電子証明書に対応。そして2012年にはクラウドでの提供を開始した。また、今年10月にはオンラインストレージの「Box」上で電子決裁ができる「パソコン決裁 Cloud with Box」を提供開始したばかりだ。

シヤチハタのパソコン決裁の歴史。1995年4月に発売された「パソコン決裁」から始まる

 また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止のためテレワークが推奨された時期には、「ハンコ出社」という言葉も聞かれた。テレワークを行っているが、書類にハンコが必要なため出社するということだ。

 そのような状況を受けてシヤチハタでは、パソコン決裁Cloudを期間限定で無料開放。それまで1カ月間で2000件程度だった申し込みが、3月は1万5000件、6月末には27万件にまで増加した。利用者からは、「在宅勤務でも仕事が進む」「これまで3日かかっていた見積書の取得が30分に短縮された」「使い方を教えなくても利用が広がっていく」という声が聞かれたとしている。