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Wi-Fi 6を含む「Wi-Fi CERTIFIED Vantage」の新機能、Wi-Fi Allianceが発表
2020年11月24日 12:44
Wi-Fi Allianceは、公衆Wi-Fiアクセスポイント向けの製品認証プログラム「Wi-Fi CERTIFIED Vantage」の新機能を発表した。
Wi-Fi CERTIFIED Vantageは、公衆Wi-Fiアクセスポイントの体験の向上を目的とし、複数の関連テクノロジーへの対応を要件とする認証プログラムの集合体だ。Wi-Fi CERTIFIED Vantageの認証プログラムそのものは2016年から公開されているが、その特性上、関連技術が公開されるたびに認証要件となるプログラムを更新しており、今回はその最新版がリリースされた、という発表となる。
最新の「Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)」を「Wi-Fi CERTIFIED Vantage」認証要件へ追加
Wi-Fi CERTIFIED Vantage最新版のポイントは、Wi-Fiの最新世代である「Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)」を正式に認証要件に加えた点だ。高密度環境での通信性に優れるWi-Fi 6のサポートにより、サービスプロバイダーや ITマネージャー、ネットワークオペレーターは、公共施設や空港、企業など高密度なWi-Fiネットワーク通信が想定される環境で、これまで以上に優れた安定性で質の高い利用体験を提供可能になるとしている。
そのほかに新たな認証要件となったプログラムとしては、Wi-Fiセキュリティに関する「Wi-Fi CERTIFIED WPA3」、フリーWi-Fiの安全性を高める「Wi-Fi CERTIFIED Enhanced Open」が挙げられており、これら個別の認証を満たすことでWi-Fi CERTIFIED Vantageの認証を取得できる。
オンラインで実施された会見には、Wi-Fi Allianceのケビン・ロビンソン氏(マーケティング担当シニアバイスプレジデント)が登壇。最新のWi-Fi CERTIFIED Vantageについて、「現在は認証を進めるプロセスが進行中」とし、今後認証を取得したデバイスが市場へ登場すると述べた。
新たにサポートされたWi-Fi 6に関しては、これまでの規格で最もスム-ズに普及が進んでいるとし、対応機器は2021年までにWi-Fi関係のデバイスの出荷量の半分を占めると予測。さらに2023年にかけ、世界のネットワーク接続デバイスは300億程度まで増えることが予想されるが、そのトラフィックは半分以上がWi-Fi経由となることを指摘し、トラフィック増とネットワークの高密度化により、Wi-Fi CERTIFIED Vantage認証が優れたメリットとなることをアピールした。
加えて、新型コロナウィルス流行後のニューノーマルな社会におけるWi-Fiのメリットについても言及。「毎日のようにオフィスへ出社することのない環境においては、必ずしも雇用主に提供された端末でビジネスを行うわけではない。こうしたトレンドにおいて、Wi-Fiの丁寧なオンボーディングは大きなメリットであり、どんな端末でもシンプルなネットワーク接続が提供される。そしてネットワークに入れば、優れたサービスデリバリーがあり、ネットワーク内でスムーズにアクセスポイント間を移行できるため、常にモビリティが担保されている」と述べた。
「Wi-Fi CERTIFIED Vantageは、マネージドネットワークにおいて常に新しい機能を追加し、経験を改善するという進化を続けてきた」と同氏。
そして、Wi-Fi CERTIFIED Vantageの改善点について、「例えばデバイスメーカーの場合、Wi-Fiに関するすべての機能を必ずしも把握していない、何が利便性の高い機能なのかを判断できない場合もあると思う。そうしたデバイスメーカー、サービスプロバイダー各社に配慮し、トレンドに応じて利便性の高い機能を分かりやすく伝えるための仕組みがWi-Fi CERTIFIED Vantageである」とし、「過去のテクノロジーを使用し続けるだけでは不十分というのは常に真実だ。我々は、ユーザー側からの需要や期待に十分なスピードで対応してきている」と解説した。
「Wi-Fi CERTIFIED Vantage」の構成要素は「WPA 3」など5つ
最新版であるWi-Fi CERTIFIED Vantageの主要構成要素は、新たにサポートされたWi-Fi 6およびWPA 3に、従来も認証要件となっていた「Wi-Fi Passpoint」「Wi-Fi Agile Multiband」「Wi-Fi Optimized Connectivity」を加えた計5つ。従来の路線を引き継ぎつつ、Wi-Fi 6で総合的なパフォーマンスを、WPA 3でセキュリティ面を順当に強化したのが今回のリリースの特徴と言えるだろう。
5つの構成要素のうち、最も重要な基盤となるのがWi-Fi 6だ。同氏はWi-Fi 6のメリットについて、「厳しい環境でも優れたユーザー体験を実現できること」であると指摘する。もともと密度の高いネットワーク環境を想定しているため、デバイス数が増えるほどメリットを発揮しやすい点がユーザー体験に繋がるというのが大きな理由だ。
ちなみにネットワーク密度が高いロケーションとしては、日本の混み合った列車などがその好例であるとした。加えてWi-Fi 6は多様なデバイスに対応可能であり、ロースペックなセンサーからハイエンドスマートフォンまでが対応できるのも大きなメリットと述べている。
さらに、Wi-Fi 6環境では最新のセキュリティ機能であるWPA3が利用できる。WPA3は、簡素化されたセキュリティと堅牢な認証、暗号化機能の強化を実現するのが特徴で、個人向けに提供される「WPA3-Personal」、企業向けに提供される「WPA3-Enterprise」という2つのモードがすでに利用可能となっている。前者は、ユーザーが短いパスワードを使っていても強力なセキュリティが保証しやすく、後者は192ビットの暗号強度を実現できるのが利点だ。
Wi-Fi CERTIFIED Vantageは、「総じて、マネージドWi-Fiネットワークで質の高い体験を提供する点が共通しており、これこそが最もよいアプローチ」と同氏。「業界各社の合意もあり、今後も多くのデバイスがこのアプローチに参入してくるが、Wi-Fiを使うユーザーはこれらを気にする必要がない。Wi-Fi CERTIFIED Vantageによって、モビリティ、管理の容易性、パフォーマンス、セキュリティの最新機能が常にサポートされるからだ」と総括。Wi-Fi CERTIFIED Vantage認証によるWi-Fi利用体験の向上に自信を見せた。
なお、質疑応答のセッションでは、5Gのセルラーネットワークとの関係についても言及。「Wi-Fiとセルラーネットワークはお互いに強力に補完し合う関係にある。3Gも4Gもそうだったし、5Gでも同じ。Wi-Fi 6の登場により、Wi-Fi CERTIFIED Vantageは5Gとの組み合わせで利便性の高いユースケースが多く考えられるようになった。インドア環境でのパフォーマンスの強さが、5Gを補完するものとして、今後も大きなトラフィックを担っていくと思う」と述べている。