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今年のCEATECはハイブリッド開催へ!「リアル会場とオンライン、それぞれの良さを生かしたい」
出展者説明会は3月に実施
2021年2月17日 08:55
CEATEC実施協議会は、「CEATEC 2020 ONLINE」のアーカイブ期間中を含めた来場者数が、累計で15万6600人に達したことを発表した。来場ユニーク数は9万6625人となった。また、コンファレンスの累計聴講者数は12万847人に達した。
なお、2021年10月19日~22日に開催が予定されている2021年のCEATECは、現在、リアル会場とオンラインを組み合わせたハイブリッド開催を前提に検討を進めている模様で、2021年3月中に出展予定者を対象にした開催概要説明会が、オンラインで開催されることになりそうだ。
完全オンラインだった2020年、総来場者数は15万人
「新しい来場」のかたちとは? 複数日や、関西・中部、そして会期後も
視聴者大幅増の「コンファレンス」、会期終了後の視聴も増える
CEATEC初の「Afterイベント」開催
2021年はリアル展示とオンラインの「ハイブリット開催」へ
出展者向け説明会は3月、オンラインで開催予定
完全オンラインだった2020年、総来場者数は15万人
CEATEC 2020 ONLINEは、2020年10月20日~23日の4日間、完全オンラインで開催され、その後はアーカイブ期間として、2020年12月31日まで開催。この間も、出展各社のブースを訪れたり、オンデマンドで見逃したコンファンレンスを視聴できたりするようになっていた。
CEATEC実施協議会によると、15万6600人の総来場者数のうち、4日間の会期中の来場者数は13万661人、アーカイブ期間中の来場者数は2万5939人となった。
また、来場ユニーク数の9万6625人のうち、会期中の来場は8万5650人、アーカイブ期間は1万975人となった。
幕張メッセの会場で開催されていた2019年のCEATEC 2019の来場者数は約14万4000人であり、それと比較するとユニーク数では67%と、約3分の2の水準に留まった。だが、総来場者数は15万6600人と、約9%上回った。
「新しい来場」のかたちとは? 複数日や、関西・中部、そして会期後も
CEATEC実施協議会の鹿野清エグゼクティブプロデューサーは、「リアルの展示会とは直接比較することはできず、新たなKPIが必要」としながらも、「これまでの幕張メッセでの開催では、距離と時間の制約から、多くの来場者の見学時間は1日間だけというケースが多かった。だが、CEATEC 2020 ONLINEでは、オンラインの特性を生かして複数日にわけて来場する人が一気に増加した。関西や中部地方からの参加者が増えたという結果も出ている。さらに、アーカイブ期間中に約1万1000人が来場したことも、オンラインならではの成果のひとつだった」とする。
ただ、会期中にはいくつかの課題もあったといえる。
ひとつは、開催初日の10月20日にはアクセスが集中し、午前9時30分頃から午後1時まで、事前登録をしていても、ログインができない状況が発生。ここで来場をあきらめた人たちが少なからずいたという点だ。これが、来場者数に影響を与えた可能性は否定できない。
もうひとつは、海外からの来場者だ。前年実績の2000人に比較して、1200人と減少しており、ここでは、場所や時間の制約を超えるオンラインの特性が生かせなかったといえる。公式サイトには訪れたものの、CEATEC 2020 ONLINEの会場には入らないで離脱してしまったというケースもあったようで、その理由についてCEATEC実施協議会でも分析を行っている最中だというが、英語サイトとしての完成度を高めるなど、解決すべき課題があるといえそうだ。
なお、海外からの来場者の内訳は、アジア・南太平洋が最も多く659人となり、次いで北・中・南米の274人、欧州・中近東・アフリカの265人となった。
視聴者大幅増の「コンファレンス」、会期終了後の視聴も増える
一方、オンラインならではの大きな成果を生んだのが、コンファレンスである。
12万847人の累計聴講者数のうち、会期中は10万5210人が聴講、アーカイブ期間は1万5637人が聴講した。前年のコンファレンス参加者の実績が2万8228人であったことと比較すると、4.3倍に増えている。
CEATEC 2019では、幕張メッセの会場でのみコンファレンスを聴講することができ、会期中はオンライン配信などが行われなかったため、会場の定員数しか聴講できなかった。だが、オンライン開催となったCEATEC 2020 ONLINEでは、聴講者数には制限がないため、多くの人が参加することができたのが、大幅増加の理由だ。オンラインだからこそのメリットともいえる。
幕張メッセの会場では約1000人の入場が限界だったが、オンライン化したことで、その5.5倍となる約5500人が参加したコンファレスがあったほか、会期終了後のアーカイブ期間中だけで750人以上の聴講を記録したセッションもあったという。会期終了後の空いた時間に、見逃したコンファレンスに参加するという人が想定以上に多かったともいえるだろう。
CEATEC実施協議会の鹿野清エグゼクティブプロデューサーは、「コンファレンスは、オンラインの特性を生かすことができ、想定よりも多くの人に参加してもらうことができた。この成果は、2021年のCEATECにも生かしていきたい」としている。
CEATEC初の「Afterイベント」開催
一方、CEATEC実施協議会では、アーカイブ期間中に「Afterイベント」を開催した。これもCEATECとしては初の試みだ。
会期中に正式な告知ができていなかった点は課題だったともいえるが、12月4日に開催した特別シンポジウム「ロボット×海×人-最先端ロボットがもたらす新たな産業・新たな暮らし」では約1400人が参加。12月22日に開催した「ニューノーマル トータルな提案の振り返り」、「ニューノーマル スタートアップ企業からの提案」にも多数の聴講者が集まった。
鹿野エグゼクティブプロデューサーは、「会期以外にも継続的にイベントを行うことで、CEATECへの関心を高めることができるという手応えがあった。開催前、開催後にもオンラインでイベントを開催するという手法は今後も活用していきたい」としている。
2021年はリアル展示とオンラインの「ハイブリット開催」へ
2021年10月19日~22日に開催が予定されている2021年のCEATECについては、現時点では詳細は発表されていないが、主催者では、幕張メッセの会場を使用したリアル展示とオンラインを活用した展示やコンファレンスを組み合わせたハイブリッド開催の方向で検討しているようだ。
「新型コロナウイルスの状況や、東京オリンピック/パラリンピックの開催方法など、社会情勢や環境変化を捉えながら決定をしていくことになるが、ハイブリッドでの開催の方向で検討を進めていく。CEATEC 2020 ONLINEの経験によって、出展者や来場者からも、オンラインの良いところを感じた一方でリアル会場ならではのメリットを再認識した、という声が出ている。体感したり、熱気を感じたり、他社の展示や盛り上がり方が理解しやすいといったように、リアル会場での展示会でなくては実現できない要素も多い。また、コンファレンスの聴講者の増加や、時間や場所の制約を受けない来場が可能になるといったオンラインだからこそのメリットも残したい。だが、リアルとオンラインが、半々と決めているものではない。それぞれの良さを生かした形での開催方法を模索している」とする。
十分な感染対策を行った上でのリアル会場での展示会についても検証を開始しており、出展方法の見直しや来場人数を時間帯別に限定する来場予約制など、様々な方法を検討しているという。
鹿野エグゼクティブプロデューサーは、「まだ決定事項ではない」と前置きしながらも、「これまでと同じ規模感でリアルな会場で展示会を行うのではなく、使用するホール数をある程度限定して開催する可能性もある。また、感染対策を優先した会場レイアウトとするため、従来とは異なる出展方法も考えなくてはならない」とするなど、様々な可能性を模索している段階だ。
その一方で、2016年から使っている「つながる社会、共創する未来」というテーマは、継承していく考えであり、CEATEC 2020 ONLINEで初めて採用した推進スローガン「ニューノーマル社会と共に歩むCEATEC」も継続することになりそうだ。
出展者向け説明会は3月、オンラインで開催予定
例年であれば、2月上旬頃のタイミングで、出展予定を対象にした開催概要説明会を行っているが、緊急事態宣言が続いており、現時点では不透明な要素も多いことから、3月頃に開催する方向で調整しているという。
その時点で、2021年のCEATECの概要が明らかになりそうだ。
なお、開催概要説明会は、オンラインで開催される予定だ。
昨年のCEATECでは、当初は例年通りの幕張メッセでの開催を予定し、1月29日に東京、1月31日には大阪でそれぞれ開催概要説明会を開催したが、その後、新型コロナウイルスの感染拡大により、完全オンラインでの開催に移行することを決定。「CEATEC 2020 ONLINE」として、改めて、6月30日にオンラインで、開催概要説明会を実施した経緯がある。ここでは、結果として1月の説明会よりも多くの参加者を集めた。
「オンライン化したほうがいいものはオンライン化していく。開催概要説明会は、そのひとつだ。CEATEC 2020 ONLINEで得たノウハウを今年のCEATECには十二分に生かしていきたい」とする。
果たして、2021年のCEATECはどんな形で開催されるのだろうか。約1カ月後には、その片鱗が明らかになる。