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「ネットいじめ」対策のカギは保護者の知識アップ、マイクロソフトが調査結果を発表

生徒・教師・保護者の声をもとにオンラインセーフティの現状をレポート

 日本マイクロソフト株式会社は8月10日、同社が中高生および教師、保護者に対して行ったオンラインでのハラスメントやいじめに関するアンケート調査の結果を発表した。あわせて、同社のブログ「Microsoft News Center」にて、オンラインセーフティにおける保護者や教師の役割について提言と情報提供を行った。

 この「デジタル上のマナーに関する調査」は、生徒の学校内外におけるオンラインでのいじめやハラスメントなどの有無や、同問題に関する保護者や教師の体験を確認し、GIGAスクール構想による影響を評価することを目的とし、2021年6月にウェブ上のパネル式アンケートとして実施された。調査対象は、インターネットを使用する中学・高校の生徒250人、保護者251人、教師250人。生徒に対しては本人、保護者に対しては自分の子ども、教師に対しては教え子の体験を尋ねている。

全体の36%がオンラインでのハラスメントやいじめの経験があると回答

 オンラインでのハラスメントやいじめ(不愉快、いじわるまたは侮辱的な行為)を受けた経験を尋ねる質問では、全体の36%が「はい」と回答した。

 調査対象別に見て「はい」の回答が最も多いのは、教師の55%。生徒は30%、保護者は22%だった。からかい、中傷など具体的な行為別に生徒が受けた経験を尋ねた質問でも、教師は高い割合で「はい」と回答し、生徒、保護者の順で割合が下がる傾向が見られた。

全体の36%が、オンラインで不愉快、いじわるまたは侮辱的な行為をされた経験があると回答

最大の悪影響は「うつや気持ちの落ち込み」

 オンラインでのハラスメントやいじめを受けた経験があるとした回答者に対し、生徒に悪影響があったかを尋ねる質問では、全体の84%が「はい」と回答した。対象別に見ると教師は91%、生徒は79%、保護者は68%だった。

 具体的な悪影響の内容では「うつや気持ちの落ち込みを経験した」が39%と最多で、「生活上のストレスが増えた」32%、「自尊心が下がった」30%と続いた。調査対象間での「はい」の割合の高低は、悪影響の内容により異なる。「うつや気持ちの落ち込みを経験した」との回答は、教師が48%と高く、保護者は31%、生徒は24%と低い。他方「SNS、ブログ、およびフォーラムの使用意欲が下がった」との回答は、生徒が12%と高く、教師は7%、保護者は6%と低くなっている。

全体の84%が、オンラインでのハラスメントやいじめによる悪影響があったと回答
悪影響として最多の内容は、うつや気分の落ち込み

生徒は保護者に助けを求めるが、保護者は知識が十分でない

 オンラインでのハラスメントやいじめを受けた経験があると回答した生徒に対し、その後に何らかの行動を起こしたかを尋ねた質問では、全体の86%が「はい」と回答。具体的な行動の内容で最多は「保護者に助けを求めた」の32%だった。

 生徒に対して、保護者、教師、学校経営者の3者がオンラインでのハラスメントやネットいじめのリスクを適切に理解していると思うか尋ねた質問では、保護者が「適切に理解している」との回答が79%で、最も高く評価された。教師は68%、学校経営者は58%だった。

生徒の86%は行動を起こし、32%が保護者に助けを求めた

 一方、保護者に対して、生徒にオンラインでの安全確保について教える自信があるかを1~6の6段階評価で尋ねた質問において、4以上と回答した保護者は59%にとどまった。また、保護者に対して、ハラスメントやいじめの問題に関しサポートを得られる場所を知っているか尋ねた質問では、「はい」の回答は15%だった。

 保護者は生徒のオンラインでの安全確保に最も大きな責任を持つが、知識は不足しており自信もなく、また、全てのハラスメントやいじめを把握できていない可能性があることが伺える。このことから、レポートでは、オンラインでのハラスメントやいじめをなくすためには、保護者への教育や支援を強化する必要があるとまとめている。

オンラインでのハラスメントやいじめをなくすには、保護者への教育や支援を強化することが必要だと結論

教師は対応に自信を持つが、生徒や保護者の認識とのギャップも

 教師に対して、保護者と同様に生徒にオンラインでの安全確保について教える自信があるかを1~6の6段階評価で尋ねた質問では、保護者よりも多い73%が4以上と回答した。また、実際に起きたオンラインでのハラスメントやいじめに対し、95%の教師が「何らかの対策を講じた」と回答している。

 しかし、教師や学校が行う指導や対応の成果に関して、教師の評価よりも生徒や保護者の評価は低い傾向が見られる。生徒、保護者、教師に対し、教師や学校が「保護者にネットいじめとその影響を理解するよう教えた」ことに同意するかを1~6の6段階で尋ねた質問では、教師の73%が4以上と回答したのに対し、生徒の4以上の回答は50%、保護者では45%にとどまった。このような結果を受け、レポートでは教師が「過大評価している」とも指摘する。

教師の95%が、生徒を助けるための行動を起こした
学校の成果に対する評価は、教師と生徒および保護者の間で開きが見られる

教師の指導と、保護者による安全確保のためのコンテンツやツールを案内

 同社のブログでは、ネットでのいじめや嫌がらせが日本の中高生の間で問題になっていることが明らかになったとし、保護者への教育やサポートが必要であることに加え、教師の役割についても言及している。

 教師は、「オンライン上での安全問題を目撃し、若者を助けるユニークな立場にいる」と総括。生徒を指導することに自信があり、行動も起こしている教師が、今後も指導を行うことを期待し、同社が公開している教師や生徒をサポートするコンテンツ「デジタルセーフティーに必要なもの(教師と生徒向け)」を案内している。

 このコンテンツでは、「自分のデータとIDの保護」「ネットいじめを我慢しない」「リスクを見極める」「善良なデジタル市民になる」の4つのトピックに対して、生徒向けのコンテンツと、指導する教師向けのメモ(PDF)が用意されている。

 また、保護者向けには「Microsoftファミリーセーフティ」を案内している。これはWindows 10などで利用できる機能で、保護者や子どものアカウントを作成し、利用時間やコンテンツの制限を設定したり、利用状況を確認したりできる。適切な利用について家族で話し合い、設定を行うことを同社では推奨している。