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五輪・緊急事態・感染爆発でもテレワーク実施率は横ばい、全国平均27.5%、東京47.3%

正社員のテレワーク実施率(全国平均)の推移。第2回調査(2020年4月10日~12日)から第5回調査(2021年7月30日~8月1日)まで、テレワーク実施率に大きな変化は見られない

 株式会社パーソル総合研究所は、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣下で開催された東京五輪の期間におけるテレワーク状況の調査結果を公表した。これによると、正社員のテレワーク実施率は27.5%で、前回調査の昨年11月の24.7%と比べ、2.8ポイントの増加にとどまった。

 今回の調査は「第五回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」として、7月30日~8月1日にインターネットを用いて行われた。対象者は、正規雇用者2万514人、非正規雇用者4931人、公務員/団体職員364人の合計2万5809人。

 この調査は過去に複数回行われており、1回目の調査の2020年3月9日~15日の時点では、テレワーク実施率は13.2%にとどまっていたが、7都府県に緊急事態宣言が発出された2020年4月10日~12日の2回目の調査では、一気に27.9%に上昇した。その後、全国に発出されていた緊急事態宣言が解除された直後の2020年5月29日~6月2日の3回目の調査では25.7%、2020年11月18日~23日の4回目の調査では24.7%だったため、テレワーク実施率は横ばいの状態が続いている。2020年4月の2回目の調査の時点ですでに、テレワークを行う企業や正社員はある程度、固定化された可能性がある。

 東京都内における正社員のテレワーク実施率も全国と同様の傾向だ。1回目の調査は23.1%、2回目は49.1%、3回目は48.1%、4回目は45.8%、今回行われた5回目の調査では47.3%で、2回目以降は横ばいだ。

東京都における正社員のテレワーク実施率

 「テレワーク実施者のテレワーク継続希望率」については、正社員の78.6%が「続けたい」または「やや続けたい」と回答している。こちらも2020年11月と今回の数字は同じだ。

テレワーク実施者のテレワーク継続希望率

 「コロナ後のテレワーク希望頻度」は、正社員でテレワークを実施している人(5632人)では、1カ月に1~3日程度希望が13.0%、1週間に1日以上希望が78.8%、実施したくないが8.3%となっている。

 一方でテレワーク非実施者(1万4882人)では、1カ月に1~3日程度希望が9.9%、1週間に1日以上希望が33.0%、実施したくないが56.9%だった。

コロナ収束後のテレワーク希望頻度

 雇用形態別のテレワーク実施率は、正社員で27.5%なのに対して、非正規雇用者(パート・アルバイト、契約社員、嘱託社員、派遣社員)は17.6%、公務員/団体職員は14.0%と大きな差が見られる。

雇用形態別のテレワーク実施率(全国平均)

 企業の規模別にテレワークの実施率を比べると、従業員10~100人未満は15.2%、従業員100人~1000人未満は25.4%、従業員1000~1万人は37.5%、従業員1万人以上は45.5%となり、従業員の数が多いほど、テレワーク実施率が高い。

企業規模別(従業員数別)の正社員のテレワーク実施率

 テレワーク非実施者(1万4882人)における「テレワークを行っていない理由」は、「テレワークで行える業務ではない」が47.4%、「テレワーク制度が整備されていない」が31.4%、「テレワークのためのICT環境が整備されていない」が11.9%、「テレワークを行う場所がない」が11.2%、「会社がテレワークに消極的で、実施しにくい」が10.3%だった。

 このうち、「テレワーク制度が整備されていない」と「テレワークのためのICT環境が整備されていない」は、アンケートを行うたびに徐々に下がりつつあるため、課題が解消されているようだ。

テレワークを行っていない理由

 パーソル総合研究所の小林祐児氏は今回の調査結果について、「『五輪開催』『緊急事態宣言』『感染爆発』など出社の抑制につながりそうな条件がそろっていたにも関わらず、正社員におけるテレワーク実施率の全国平均は27.5%となり、過去調査結果からほぼ横ばいとなった」としている。

 また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止は、ワクチン接種や飲食店への要請に注目が集まっているが、「企業側にも働き手側にも出社減によって人流を減らそうという意識はあまり見られなかったと結論付けられる」とし、さらなるテレワークの推進を呼び掛けている。