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「コロナ慣れ」「自粛疲れ」が明らかに、緊急事態宣言下でも企業の出勤率は上昇傾向

フォトシンス「Akerun入退室管理システム」の入退出データから判明

緊急事態宣言が繰り返されるほど出勤率が上昇していく傾向

 緊急事態宣言が発出されても、出勤率が減少していないことが、IoTを活用した企業の入退出データの集計で明らかになった。

 株式会社フォトシンス(Photosynth)が、全国の累計5000社以上の企業に導入している「Akerun入退室管理システム」のIoTデータを集計したところ、2020年3月2日を100とした場合、各週の1日当たりの出勤者数の割合は、東京都では、1回目(2020年4月7日~5月25日)の緊急事態宣言時には30.4%と大幅に減少したものの、2回目(2021年1月8日~3月21日)の緊急事態宣言時には48.5%と増加。3回目(2021年4月25日~6月20日)には54.4%とさらに増加したことがわかった。

 また、2回目や3回目の宣言発出時の出勤率は、緊急事態宣言が解除されている期間と比較して若干減少するが、それほど大きな差がないことも浮き彫りになった。

東京都、大阪府、45道府県のオフィス出勤状況

 そして、この状況は、4回目の緊急事態宣言が発出されている現在も変わらない。最新の集計となる7月18日からの1週間における出勤率は58.5%と、むしろ上昇傾向にある。

東京都のオフィス出勤状況の推移

 世間では、「宣言慣れ」「コロナ慣れ」「自粛疲れ」などといった言葉が使われているが、緊急事態宣言が発出されても、出勤率が減少しないという状況が生まれていることが、このデータからも明らかになっている。

 同様の結果は、東京都以外でも見られている。

 いずれも東京都の緊急事態宣言発出のタイミングでの集計だが、大阪府の出勤率は、1回目には34.9%だったものが、2回目は57.2%、3回目は50.9%と増加。東京都と大阪府を除く、45道府県での出勤者数は、1回目が49.1%と、もともと高い水準を示していたが、2回目にはさらに増加し62.3%となり、3回目には67.8%と、いずれも、コロナ前の約3分の2の水準で高止まりしている。

出勤者数の7割削減の要請も実態は遠い

 東京都では、4回目となる緊急事態宣言を、7月12日~8月22日までを期間で、発出している最中だが、その前後の期間のデータを、もう少し詳しく見てみよう。

 これによると、東京では、緊急事態宣言発出前の6月27日の週には59.6%、7月4日の週には59.7%となっていたが、緊急事態宣言が発出された7月11日の週には57.7%と若干減少。だが、7月18日の週は58.5%となっており、最新週では、緊急事態宣言発出前の水準に戻っている。

 また、大阪では、それぞれ59.1%、57.4%、57.0%、59.2%と、こちらも依然として高い水準で推移している。

 さらに、東京、大阪以外の全国では、6月27日の週で72.4%と、出勤率は高い水準となっており、その後も72.4%、72.5%、74.1%と、週を追うごとに微増している。

都道府県別のオフィス出勤状況

 政府では、在宅勤務(テレワーク)の活用などによる出勤者数の7割削減を経団連などを通じて要請、東京都でも週3日、社員の7割以上のテレワークを実施した中小企業に奨励金を支給するなどの施策を講じている。しかし、そうした目標に対して実態は大きな乖離がある状況だ。

既存のドアに導入でき、勤怠や顔認証のシステムとも連携可能な「Akerun入退室管理システム」

 今回、フォトシンスが発表したIoTデータは、同社が全国累計5000社以上に導入している「Akerun入退室管理システム」を利用して、オフィスに出入りしたアクティブユーザー数の推移をまとめたものだ。

Akerun Pro(中央)をはじめとするAkerun入退室管理システムを構成する製品群

 Akerun入退室管理システムは、既存のオフィスのドアに後付けで導入できるシステムで、社員が使っているスマートフォンや社員証、交通系ICカードを使って施錠や解錠を行える。また、入退室履歴の確認、曜日や時間帯を指定した鍵権限の付与、停止などを、クラウド上で管理できることも特徴だ。

 さらに、Akerunが提供しているAPIを活用して、外部の勤怠管理システムや会員管理システム、決済システム、顔認証システムと連携させることが可能で、オフィスの労務管理や、公共施設によるキャッシュレス決済などの付加価値も提供できる。2021年1月には、鍵・錠前大手の美和ロックと合弁会社のMIWA Akerun Technologiesを設立。スマートロックやサービスの開発に取り組んでいる。

 今回の集計では、Akerun入退室管理システムの入退室データを使用しながらも、個人情報保護の観点から、非識別化処理や集計処理、秘匿処理を行い、統計情報として集計している。