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エプソン、エコタンク搭載インクジェットプリンターの新製品、“使い切れる大容量”の「EW-M754TW/TB」など3機種

“商品を大切に長く使う”ことをサポートする新サービス「カラリオスマイルPlus」も発表

「EW-M754TW」(右奥)でのスマホプリント利用イメージ

 エプソン販売株式会社は10月28日、家庭向けインクジェットプリンターの新製品を発表した。エコタンク搭載の複合機である「EW-M754TW/TB」「EW-M674FT」「EW-M634T」の3機種で、いずれも発売日は11月11日を予定している。

 同時に、新しい5年サポートサービス「カラリオスマイルPlus」も発表した。発売日は11月26日を予定している。

(左から)「EW-M754TW」「EW-M754TB」「EW-M674FT」「EW-M634T」

在宅需要の拡大と、大容量インクモデルの増加

 2020年のホームおよびホームビジネスのインクジェットプリンター市場については、コロナ禍によるテレワーク需要や在宅学習需要の影響が大きい。エプソン調べによると、こうした在宅印刷需要が拡大し、以前からの下降トレンドから下げ止まりとなった。他社も含めて大容量インクモデルの割合が増加しており、特にエプソンのエコタンク搭載モデルは順調に拡大している。ただし、部品調達や生産といった商品供給量の制約から、需要に応えられていないことが最大の課題だという。

 また、コロナ禍での影響は、プリンターの選択基準に影響を与えた。購入者の決め手になった項目を見ると、「価格」は以前から全体の中で一番高いスコアだが、コロナの影響で購入した顧客の間では割合がそれより少し低くなっている。その一方で「サイズ」「デザイン」「ランニングコスト」といった項目の割合が上がっている。

 こうした背景から、エプソンの大容量インク搭載モデルの「EW-M752T」や「EW-M630T」が高いシェアを得ている。従来からのランニンコストに加えて、サイズやデザインも評価されているという。

 コロナ禍での在宅需要へのエプソンの対応としては、知育・学習コンテンツの提供がある。エプソン調べによると、コロナ禍でプリンターの活用が増えたという声が35%、ドリルなどでの子どもの学習効果が「ある」「大変ある」合わせて82%だった。事例としては、ベネッセコーポレーションとのタイアップ企画で、自由研究のテーマ、まとめ方、レポート用テンプレートを提供する「簡単!1時間ですぐできる自由研究ラボ」が紹介された。

在宅需要への対応:知育・学習コンテンツの提供

 これらを踏まえた販売戦略も語られた。1つめは「従来リーチできなかったプリントニーズの取り込み」だ。自宅でのプリンター利用へ分散する印刷需要の取り込みを狙っていく。

 2つめは「商品の安定供給への取り組み」。製造現場への新商品切り替えに伴う高負荷を避けるため、カートリッジモデルは年明け以降の発表に変更する。

 3つめは「環境循環型社内実現への取り組み」。3R(Reduce:不要なものを減らす、Reuse:繰り返し使う、Recycle:リサイクル)、特にReduceを重視する。

販売戦略

 この販売戦略のもと、エコタンク搭載の「EW-M754TW/TB」「EW-M674FT」「EW-M634T」の3機種を新たに発売する。

今回発表された新製品は3機種ともに、エコタンク搭載モデルだ

Bluetooth LE対応で操作性を向上させた「EW-M754TW/TB」

 EW-M754TW/TBは、ベストセラーモデルの「EW-M752T」の後継にあたる。顔料・染料2本のブラックインクを含む、計5色のインクで、写真も文書もきれいなスタンダードモデルとの位置付けだ。価格はオープンプライスで、市場想定価格は5万円台後半。

「EW-M754TW」
「EW-M754TB」
「EW-M754TW/TB」の商品概要

 EW-M752Tからの大きな変更点としては、まず、Bluetooth LE対応による操作性の向上がある。1つには、エプソンプリンターを操作するAndroid/iOSアプリ「Epson Smart Panel」からBluetooth LEによって初期セットアップできるようになった。Epson Smart Panelを起動してプリンターの電源を入れると、Bluetooth LEによってスマートフォンとプリンターを自動接続する。その状態で、作業の流れを写真で確認したり、プリンターをWi-Fi接続したり、初期セットアップしたりできる。

 また、プリンターとスマートフォンをつなぐWi-Fi Directで接続するときにも、Bluetooth LEを使えるようになった。これもEpson Smart Panelを起動し、スマートフォンをプリンターに近づけて接続を許可するだけで、Wi-Fi Directでスマホとつながる。なお、従来のQRコードを使った接続にも引き続き対応する。

Bluetooth LEでスマートフォンの「Epson Smart Panel」と自動接続して初期設定
Bluetooth LEでWi-Fi Direct接続

 2つめの変更点としては、排紙トレイの自動オープンに対応した。普段は排紙トレイが本体に収納されており、印刷を開始するとトレイが自動でオープンする。印刷パネルのボタンを押すと、またトレイを収納する。

 3つめの変更点としては、清潔感のあるシンプルな本体デザインがある。液晶の回りや、LEDの背面を白で統一して、LEDの色も青に変更した。

排紙トレイの自動オープン、清潔感のあるシンプルな本体デザイン

 EW-M754TW/TBの商品コンセプトは「使い切れる大容量」だ。プリンター検討時に消耗品の価格が重視されており、前モデルのEW-M752Tは「求めやすい消耗品」「低印刷コスト」というランニングコストの低さで共感を得られたという。

 エプソン調査で、EW-M752Tの商品検討時に確認した項目を見ると、「本体の価格」は全体で83.2%のところ、EW-M752Tでは76.1%と低い。その一方で、「インクの価格」が全体で35.4%のところ、EW-M752Tでは67.0%と非常に高くなっている。また、「1枚あたりの印刷コスト」は全体で25.7%のところ、EW-M752Tでは47.8%と高くなっている。

 そのほか、年末商戦で競合他社を含む計58機種を購入したユーザーへの調査では、31項目中でEW-M752Tが平均スコアを5%以上上回った項目が25項目に上った。

「EW-M754TW/TB」の商品コンセプトは「使い切れる大容量」
競合他社を含む計58機種を購入したユーザーへの調査。「EW-M752T」が31項目中25項目で平均スコアを5%以上上回る

Bluetooth LE対応と大容量給紙カセットに対応した「EW-M674FT」「EW-M634T」

 EW-M674FTは、FAXにも対応した「EW-M670FT」の後継で、価格はオープンプライスだが、市場指定価格は5万円台中盤。EW-M634Tは「EW-M630T」の後継で、価格はオープンプライスだが、市場指定価格は4万円台中盤。2機種とも白モデルのみ。いずれも顔料のブラックインクとカラー3色の染料インクで、ビジネスを中心に家庭でも活躍するモデルだとしている。

「EW-M674FT」
「EW-M634T」

 前モデルからの大きな変更点としては、まずEW-M754TW/TBと同様の、Bluetooth LE対応による操作性の向上がある。

 また、大容量給紙カセットがある。EW-M640TがA4用紙150枚給紙だったのに対し、EW-M634Tでは250枚給紙できる。

「EW-M674FT」と「EW-M634T」の商品概要

 OSの対応としては、Windowsでは今回発表された3機種ともWindows XPからWindows 11までサポートする。macOSについては、EW-M674FTとEW-M634TはOS X 10.6.8以降に対応、EW-M754TW/TBはOS X 10.9.5以降に対応する。Chrome OS Ver.89以降にも対応する。

OS対応状況

 そのほか、「両面写真用紙<光沢>」も新発売する。2022年2月発売予定。A4サイズ10枚入りで、価格はオープンプライスだが、市場想定価格は1000円台中盤。自作のアルバムや飲食店のメニューなどの要望に応えたものだという。

両面写真用紙<光沢>

エコタンク搭載モデルや全額サポートにも対応した新サービス「カラリオスマイルPlus」

 前述した販売戦略の1つである環境配慮への取り組みも、今回の発表において強調された。

 3Rのうち、Reduceでは、梱包のコートボールをラベルに変更し、紙の使用料を減らすことでCO2排出量を約10%削減した。Reeuseでは、エコタンク方式により消耗品を減らす。Recycleでは、本体の素材に再生材を使用する。

環境への取り組み

 その一環として、「商品を大切に長く使う」をサポートする新サービスを開始する。

 エプソンの調査によると、ユーザーがプリンターの購入を検討した理由は「今まで使っていたプリンターが故障したから」が多く、どのようなプリンターを購入したいかは「使い慣れたメーカー」が多い。ここから顧客の要望は「長く安心して使いたい」だとエプソンはみる。

 また、エコタンク搭載モデルを購入した顧客の声として、故障せず長く使えるか不安ということがあると、エプソンはみる。

顧客の困りごと

 これに対して、新しい5年サポートサービス「カラリオスマイルPlus」を発売する。発売は11月26日の予定。

 修理料金を全額または半額サポートし、引き取り料金も無償。修理回数制限なし。さらに、故障してプリンターを買い替える場合には、前の機種用の未開封純正インクをポイント交換する。

 従来の「カラリオスマイル」がカートリッジモデル専用だったのに対し、カラリオスマイルPlusでは、エコタンク搭載モデルとカートリッジモデルのそれぞれのプランを用意する。また、カラリオスマイルでは修理料金を半額サポートするものだったのに対し、カラリオスマイルPlusでは、全額サポートと全額サポートのそれぞれのプランを用意する。

 販売方法としては、カラリオスマイルがドキュメントパック形式で主にECで販売していたのに加え、カラリオスマイルPlusではPOSAカードによる店頭販売にも拡大する。

 価格は、全額サポートプランのエコタンク搭載モデル向けが8800円、カートリッジモデル向けが5500円。半額サポートプランのエコタンク搭載モデル向けが5500円、カートリッジモデル向けが3300円。

新サポートサービス「カラリオスマイルPlus」
「カラリオスマイルPlus」のプランと、従来の「カラリオスマイル」との比較

【お詫びと訂正 11:55】
 記事初出時、インクジェットプリンターの新製品について「カラリオ」と記述しておりましたが、今回発表された製品は全てエコタンク搭載モデルであり、カラリオシリーズの製品ではありません。お詫びして訂正いたします。