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会社にいる“働かないおじさん”について調査結果。若手社員が「自分も将来そうなるかも」と思ってしまう原因は……識学調べ
2022年6月8日 18:36
経営・組織コンサルティング事業などを手掛ける株式会社識学が実施した「“働かないおじさん”に関する調査」の結果が発表され、“働かないおじさん”がいる企業では、20~30代の社員の3割が「自分も将来そうなるかもしれない」と思っていることなどが分かった。現状では精力的に働いていても、会社の人事評価制度や給与によっては、将来“働かないおじさん”になる可能性がある――。識学では今回の調査から、「成果で評価をする」ことの重要性が明らかになったとしている。
半数の企業に“働かないおじさん”がいる
調査は4月27日・28日、従業員300人以上の企業に勤める20歳~39歳を対象にインターネットで実施した(この調査における“おじさん”“おばさん”とは、回答者が思う“おじさん”“おばさん”であり、年齢や役職などの明確な定義はされていない)。
まず、「あなたがお勤めの会社に、“働かないおじさん”はいますか」(n=1385)との質問では、「いる」が49.2%、「いない」が50.8%だった。ほぼ半数の企業に“働かないおじさん”がいることになる。なお、“おじさん”の年齢や、どのように“働いていない”のかは問われておらず、回答者が思う“働かないおじさん”がいるかどうかを聞いたものだ。
“働かないおじさん”は、仕事中に何をしている?
ここからは、勤める会社に“働かないおじさん”がいると回答した人のうち、有効回答300サンプルの調査結果だ。
「あなたがお勤めの会社にいる“働かないおじさん”は、仕事をしないで何をしていますか」(n=300、複数回答可)との質問では、「休憩が多い(タバコを吸っている・お菓子を食べているなど)」が49.7%、「ボーっとしている」が47.7%、「無駄話をしている」が47.3%、「ネットサーフィンをしている」が35.3%、「プライベート・趣味について調べている」が28.7%、「寝ている」が18.7%、「新聞・雑誌などを読んでいる」が18.3%、その他が3.7%。
これらの行動のうち、休憩が多い、ボーっとしている、無駄話は、仕事をしていないことがはた目からはっきりと分かる。一方、ネットサーフィンや、プライベート・趣味について調べることは、PCに向かって仕事をしているように振る舞っている行動といえる。
“働かないおばさん”も、同様の傾向だ。「あなたがお勤めの会社に“働かないおばさん”はいますか」(n=300)との質問に、「いる」が47.3%、「いない」が52.7%。
「“働かないおばさん”は、仕事をしないで何をしていますか」(n=142、複数回答可)との質問では、「無駄話をしている」が64.1%、「休憩が多い(タバコを吸っている・お菓子を食べているなど)」が39.4%、「ボーっとしている」が35.2%、「プライベート・趣味について調べている」が31.0%、「ネットサーフィンをしている」が27.5%、「寝ている」が14.8%、「新聞・雑誌などを読んでいる」が12.7%、その他が5.6%。
“働かないおじさん”と比較すると、順位は異なるが上位3項目は同じであり、“働かない社員”の仕事中の行動は性別を問わず変わらないようだとしている。
「“働かないおじさん”が社内にいることでどのような悪影響があると思いますか」(n=300、複数回答可)との質問では、「周りの社員の士気が下がる」が59.7%、「働かない人の分の業務が回ってくる」が49.0%、「会社の経営圧迫(人件費)」が35.3%、「無駄話に付き合わされる」が26.7%、「周りの社員の役職や給与が上がらない」が24.7%、その他が1.0%、「特に悪影響はない」が9.0%。9割以上の人が何かしらの悪影響を感じているようだ。
自分も“働かないおじさん”になってしまう状況・条件とは?
「“働かないおじさん”が、仕事をしなくなってしまった原因は何だと思いますか」(n=300、複数回答可)との質問では、「仕事への意欲がないから」が45.0%、「年功序列制度で成果を出さなくても給与が上がるから」が41.0%、「仕事を任されないから」が26.3%、「目標がないから」が21.7%、「成果を出しても評価につながらないから」が20.7%、「評価する人がいないから」が20.7%、「体力・気力が落ちているから」が16.7%、「周囲が遠慮して仕事を頼まないから」が13.0%など。
「あなたは自分も将来、“働かない社員”になるかもしれないと思いますか」(n=300)という質問には、30.3%が「思う」、69.7%が「思わない」と答えている。
働かない社員になるかもしれないと答えた人に「どのような状況・条件だと自分も将来働かなくなるかもしれないと思うか」(n=91)を尋ねたところ、「成果が給与に反映されない」が59.3%、「良い上司に恵まれない」が37.4%、「周りに“働かない人”ばかりいる」が34.1%、「給与が下がる査定がない」が27.5%、「人事評価制度がない」が23.1%などだった。
「人事評価が定められているか」(n=300)との質問では、「はい」が80.7%、「いいえ」が19.3%だった。
また、人事評価に関して、「自分の成果を会社から適正に評価されていると思いますか」(n=138)との質問では、「はい」が65.9%、「いいえ」が34.1%。さらに、「あなたがお勤めの企業では、業務の成果と給与が連動していますか」(n=242)では、「はい」が62.0%、「いいえ」が38.0%だった。
会社の仕組みが“働かないおじさん”を生んだ?
識学では、“働かないおじさん”が仕事をしなくなったと考えられる原因や、自分も“働かないおじさん”になるかもしれない状況・条件についての調査結果で、「成果」や「評価」に関する項目に高い数値が出ている点に着目。「社員の“働く意欲”には自社の『評価制度』が関係していそうだ」と指摘する。
また、「業務の成果と給与が連動しているか」「自分の成果を会社から適正に評価されていると思うか」との質問で、ぞれぞれ3割以上が「いいえ」と答えていることをから、評価制度は存在しているが成果が給与に反映されない(または、反映されているか分からない)企業もあるようだとし、「社員の働く意欲につながる『成果に対する評価』と『評価の結果としての給与』が結び付かなければ、社員は頑張るだけ損と感じ、働く意欲が削がれていく」と指摘。年功序列で給与が上がる仕組みも成果に対する意欲を低下させるとし、「評価と給与の仕組みが“働かないおじさん"を生み、この瞬間も密かに“働かない社員予備軍”を増殖させている可能性もある」としている。
最後に“働かないおじさん”の発生を防ぐ方法として、“働かないおじさん”は本人だけが悪いわけではなく、「会社の仕組みが“働かないおじさん”を生んできた」とし、「明確な『結果評価』の制度を導入し、常に成果に報いる体制を整えることが、“働かない社員”をなくし、会社の業績を上げる第一歩だ」としている。