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LIXIL、IoT機器を装備した実験住宅「みらいえらぼ」を開設しオープンイノベーションを推進

 株式会社LIXIL(リクシル)は10月12日、スマートホームの普及に向けた実験住宅「みらいえらぼ」を埼玉県越谷市に開設した。LIXILはこれまでもIoT実験住宅を開設しているが、今回は機器を進化に合わせて最新のものとし、他社製品との連携開発を目的にオープンイノベーション活動を推進する場としても活用するという。

スマートホームを進化・成長・普及させるための実験住宅

 「みらいえらぼ」では、LIXILの市販スマートホーム製品「Life Assist2(ライフアシスト2)」を中心にスマートホームのIoT機器を設置した。今回、オープンイノベーション活動の推進というテーマがあるため、「みらいえらぼ」では他社の機器との連携開発を目的に、同社以外の製品も配置している。

実験住宅「みらいえらぼ」
IoT宅配ボックスのようだ

 建物内は「プレゼンルーム」「遠隔操作ルーム」「未来提案ルーム」「社内検証ルーム」の4つのエリアで構成。「プレゼンルーム」が全体の中心で、Life Assist2を中心に、家中の設備や家電との連携による暮らしを体感できる。

 「遠隔操作ルーム」では、Life Assist2の設定や操作方法の説明がされる。「未来提案ルーム」は、リクシルが考えるこれからのスマートホームを提案するエリアで、連携機器強化のため、魅力ある他社製品があれば積極的に設置を検討するという。最後の「社内検証ルーム」では、製品化前の機器の検証や研究を行う。

 リクシルでは、これまでにも実証実験・効果検証から市場導入までを目指してIoTの実験住宅を開設している。今回の「みらいえらぼ」は、オープンイノベーションを取り入れることで進化・成長・普及を目的としていることが違いとなる。

 室内外のIoT機器は、ほぼ市販品でそろえられており、実用的で、今後の発展を見据えたものになっている。

 「みらいえらぼ」は、「人生100歳時代の未来住宅」として作られていた既存の未来住宅のコンセプトモデル「五世代」をリノベーションし、IoTを機器を取りそろえられように改装が施されたものだ。完全な新築でない状態からでも、ここまでIoT機器に囲まれたスマートホームを実現できる点も注目だ。

Life Assist2で、お風呂掃除から換気まで、まとめて家を制御

みらいえらぼの説明をする株式会社LIXIL LIXIL HOUSING TECHNOLOGY デバイス事業部 デバイス商品開発部 第三開発室室長 倉林慶太氏

 「みらいえらぼ」で行われた説明会では、LIXIL HOUSING TECHNOLOGY デバイス事業部 デバイス商品開発部 第三開発室室長の倉林慶太氏が主に説明を行い、プレゼンルームにて、実際のLife Assist 2を使って家中の設備が動作する様子のデモを行った。

 スマートスピーカーに対して、「おはよう」などのシーン名を読みあげると、あらかじめプリセットされた動作が実行される。例えば朝なら、寒色の照明をつけて、シャッターやカーテンなどを開き、扇風機や音楽プレーヤーなどを起動する。

スマートスピーカーによる指示で動作するデバイス

 LIXILでは、スマートホームシステムとしてLife Assist2を訴求、電動シャッターや横辷り(すべり)窓用の電動ユニットなど、建材メーカーらしく後付け感が少ないものもそろえている。

白い四角いユニットが2つあるが、それがLife Assist2の「ホームデバイス」となる
カメラはWi-Fiか有線LAN接続となる

 今回、新しい試みとして、窓の鍵部分をスマート化した「スマートクレセント」を用意、窓の鍵の状態がスマートフォンで確認できるだけでなく、ほかの機器との連動も可能となっている。ただし、これは鍵操作を自動化するものではなく、鍵の状態を知るためのセンサー。鍵の遠隔操作をするとなれば、操作のための電源の確保などの課題があり、まだ実用化されていない。

スマートクレセント。傾きから鍵の状態をホームデバイスに通知する機能がある
部屋のライトもスマートスピーカーへの「おはよう」などの指示で動作する
必要に応じて電動窓も開く開閉のためのユニットは右下にある
Life Assist2の画面。これは室温が33.6℃になり、エアコンや電動窓が動作しているように色がついている

 さらに、新製品として自動洗浄機能付き浴槽も装備している。これは発売したばかりの製品で、風呂を沸かす際に必要となる浴槽洗浄を自動化したもの。洗剤を入れておけば浴槽内にあるノズルから水と洗剤が噴射され、自動で浴槽洗いがされるという遠隔操作と相性のよい浴室となっている。

浴室は、自動洗浄機能付きの浴槽を装備している。実際は風呂蓋をかぶせるが、状態がわかり、水が飛び散らないよう透明の板をのせてある
浴室の換気扇も自動で動作する

 デモでは、スマートスピーカーによる人間の指示のほか、センサーによる動作も紹介された。例えば、室内の二酸化炭素濃度が高まると自動で窓や天窓が開いて換気したり、室温が高くなりすぎるとエアコンが付いたりする。

異常検知時の動作も設定できる。CO2濃度や室温で動作させることができる
CO2のセンサー。後付けなので配線が露出している
天井に付いた天窓。こちらも換気が必要なときに電動で開く
温度と湿度のセンサー。これによってエアコンが自動で動作する
室温が上がるとエアコンが自動で作動した
寝室、カーテンもシャッターも閉まっている状態
カーテンやシャッターが自動で開いた
こちらはロールスクリーンが自動で開いた

 Life Assist2を遠隔操作するための各機器とインターネットをつなぐ「ホームデバイス」の通信仕様は、各機器とZigBee 3.0、ZigBee RF4CE、Sub-GHz、ECHONET Liteなどで接続し、インターネット側は有線LANとWi-Fiを備える。

 デバイスとの接続は、人感センサーやスマートクレセント、スマートサムターン、電動シャッターはZigBee、赤外線集中リモコンや温湿度センサーはSub-GHz、のように接続する機器によって使い分けられている。また、帯域の必要なカメラやスマートスピーカーは、Wi-Fiや有線LANを使っている。

こちらは遠隔操作ルーム。説明する際にリモート操作をするエリアとなる
この部屋にもセンサーを搭載。これは人感センサーとなる
オブジェではなく、電動ユニットと横辷り窓のデモユニットとなる
この部屋自体をカメラで遠隔地から見ながら、リモート操作を遠隔地から見るというオンライン見学も可能だ

オープンイノベーションで他社製品と連携

 今回、オープンイノベーションとして他社製品との連携も「みらいえらぼ」で行われている。Life Assist2と連携まで至らず、単体で実験しているものもある。特徴的なものとしては、「未来提案ルーム」に、洗面台の足元に体重計を埋め込み、ミラー内に内蔵したディスプレイに体重などヘルスケアデータを表示されるものが置かれていた。

こちらは未来提案ルーム
床に埋め込んだヘルスメーター
洗面の鏡がハーフミラーで情報表示が可能。前に立つとヘルスメーターから体重や体脂肪、肌温度の情報を得て表示できる

 こちらにあったものは、今後、建物のIoT製品としてLife Assist2との連携が期待される。

エンドユーザー向けではなく、業者向けの施設

 「みらいえらぼ」はLife Assist2製品を豊富に盛り込んだショールーム的な存在でもあるが、実際の用途としては、エンドユーザーに訴求する施設ではなく、建築事業者などに向けたものとなる。

 エンドユーザーに提案する前に十分にIoTやスマートホームの知識や、実際にできることや導入できる製品などを知り、LIXILのスマートホーム機器を使う、よりよい提案ができることも狙っている。

「みらいえらぼ」の建築模型。もともと未来住宅「五世代」だったものをIoTを装備したものとなる