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東京都が職員向けに生成AIの利活用ガイドライン公開
2023年8月30日 07:30
東京都は8月23日、都職員に向けた「文章生成AI利活用ガイドライン」を発表した。あわせて、全局で約5万人が生成AIを利用できる環境を整備し、業務への活用を進めていくとしている。
ガイドラインは、東京都のウェブサイトからダウンロードできる。内容は全5章で、生成AIの特性を理解し、プラス面とマイナス面を見極めながら正しく利用できるよう解説している。
各章の概要を、以下に紹介する。
3つの視点からガイドラインを策定
第1章「文章生成AIについて」では、生成AIの活用の可能性とリスクを説明したうえで、都の取り組みの方向性を示している。具体的には、「業務で活用できる環境をどう用意するか」「情報漏えい等の懸念にどう対処するか」「業務にどのように活用できるか」の3つの視点から検討し、以降の第2〜4章で具体的な内容を示している。
データ漏えいリスク低減を重視した環境を用意
第2章「利用環境」では、都で用意した「Azure OpenAI Service」による利用環境について解説。安全性、特にデータの漏えいリスクの低減を重視した環境であることが説明されている。
職員が守るべき「4つのルール」を策定
第3章「利用上のルール」では、職員が守るべき4つのルールとして次の内容を示し、詳細を解説している。
- 個人情報等、機密性の高い情報は入力しないこと
- 著作権保護の観点から、既存の著作物に類似する文章の生成につながるようなプロンプトを入力しないこと、回答を配信・公開等する場合、既存の著作物等に類似しないか入念に確認すること、の2点を十分注意し、確認すること
- 文章生成AIが生成した回答の根拠や裏付けを必ず自ら確認すること
- 文章生成AIの回答を対外的にそのま使用する場合は、その旨を明記すること
あわせて、都が定めている東京都サイバーセキュリティポリシー(東京都サイバーセキュリティ基本方針)も遵守し、安全に活用するようにとしている。
生成AIに向く用途、向かない用途を解説
第4章「効果的な活用方法」では、デジタルサービス局で実施したアイデアソンで集まったアイデアを、行政での利用に「向いている」「向いていない」の2種類に分類し、それぞれを紹介している。
向いている活用分野としては、「文書作成の補助」「アイデア出し」「ローコードなどの生成」が挙げられている。一方、不向きなものは「情報検索」「数学的な計算」。このほかに、プロンプトのコツや有効な活用事例が詳しく紹介されている。
利用環境の改善や活用可能性の検討を継続
第5章「今後の展望」では、生成AIの今後の可能性と動向について触れるとともに、東京都でも利用環境の改善や、さらなる活用につながる取り組みを続けていくことを述べている。