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フクロウから着想を得た「羽ばたき型送風機」や次世代ユニバーサルUIなど、シャープブースでは多様な最新技術を展示
「Next-generation global environment」がテーマ
2023年10月17日 14:15
CEATEC 2023のシャープブースは「Next-generation global environment」をテーマに、「創・蓄・省で実現するSHARPのカーボンニュートラル」「SHARPのサスティナビリティ」「DIGITAL HEALTHCARE」「独自技術(ネイチャーテクノロジー)」の4つのゾーンで、参考展示を含む最新技術やソリューションを展示している。そのなかから、注目の展示を見てみよう。
ネイチャーテクノロジーブースでは「羽ばたき型送風機」を展示
ブース中央に展示されているのが、15周年を迎えたネイチャーテクノロジーのコーナーだ。ネイチャーテクノロジーは、生物の構造から着想を得て、製品の性能改善を行うシャープ独自の取り組みで、これまでにイルカの尾びれや表皮しわを応用した洗濯乾燥機のパルセータ、アマツバメの翼形状を応用したドライヤーファンなどを製品化してきた経緯がある。
今回、参考展示されたのが、フクロウの羽ばたきをもとに、心地よい自然の風を再現したヒーリングファン「はねやすめ」だ。風を送って「冷やす」のではなく、「いやす」のだという。家庭内での設置よりも、オフィスや公共施設など人が集まる場所への設置を想定しており、BtoB利用がメインとなりそうだ。2024年に商品化を目指しており、15周年記念モデルに位置づける製品となりそうだ。
実は、「はねやすめ」は、ネイチャーテクノロジーの推進役である公文ゆい氏が、大学の卒業論文としてまとめた「羽ばたき型送風機」がベースにしており、それ以来、13年をかけて実現に挑戦しているものだという。製品化を楽しみにしたい。
カーボンニュートラルブースでは消費電力0Wの電子ポスターや次世代UIを展示
「創・蓄・省で実現するSHARPのカーボンニュートラル」のゾーンでは、消費電力0Wで表示保持が可能な電子ポスター「ePoster」のカラーモデルを展示。ブース内では、7.3型の4色表示モデル、13.3型および25.3型のカラーモデル、42型のグレースケールモデルを展示した。バックライトがなく、射角の課題もないのが特徴。軽量、薄型で、様々な場所に設置できる様子を紹介していた。
Click Display(クリック ディスプレイ)は、静電容量タッチと高感度の圧力検知機能を持つ独自の透明フレキシブルセンサーシートによって、触れる動きと押す動きを判別。誰にとっても使いやすく、操作性に優れたユニバーサルUIを実現したという。運転中に触覚だけで操作が行えるように支援したり、視覚障害がある人が簡単に入力できる装置への応用を想定している。
そのほか、大容量で、高い安全性を持ちながら、ベースメタルである亜鉛を用いた次世代蓄電技術となる「フロー型亜鉛空気電池」を展示しているほか、昨年のCEATECでも話題を集めた屋内光発電デバイス「LC-LH」、住宅用太陽電池モジュール「BLACKSOLAR ZERO」、EV連携型創蓄連携システム「V2Hシステム」などを展示している。
サスティナビリティゾーンでは防災に注目、AIoT家電やフェムテックなど
「SHARPのサスティナビリティ」ゾーンでは、防災情報活用ソリューションを展示している。
2023年2月につくば市で実施したAIoT(AI+IoT)家電による音声発話機能を用いた防災情報伝達の実証実験の結果を紹介。空気清浄機に搭載した様々なセンサーが搭載されており、そこから得られる情報を自治体に提供。家電を通じて、停電や災害時の状況を把握したり、それをもとに救助作業を行うといったことができる。また、NHK技研と検討している放送技術を活用した災害情報受信方法に関しても参考展示。土砂災害避難情報をテレビに画面表示するだけでなく、エアコンや空気清浄機がその内容を発話。テレビがない部屋にも情報が届くようになるという。
また、フェムテックとして、防災備蓄生理用品の有効活用ソリューションを展示。静岡県浜松市との共同実験の様子を紹介した。ここでは、新たに開発した「生理用ナプキンIoTディスペンサー」と「在庫管理システム」を活用した生理用品無料配布の実証実験を行っている。
浜松市が保有する使用期限までに活用されない可能性がある防災備蓄品の生理用ナプキンを、浜松市立高等学校や浜松市立中央図書館、浜松市役所、あいホールの4施設に設置した44台のIoTディスペンサーを通じて無料で配布しているという。生理用ナプキンIoTディスペンサーは、浜松市の要望を反映し、一から開発を進めたもので、今後、社会実装に向けた研究を進めていくという。
DIGITAL HEALTHCAREゾーンでは転倒リスクを測定できる体験型展示も
「DIGITAL HEALTHCARE」では、ユースケースをもとにした展示が相次いでいた。
参考展示を行った睡眠環境ソリューションでは、ユーザーの睡眠状態に合わせて、エアコン制御などによる快適な空間の実現と、睡眠用香りデバイスにより、入眠および起床時に、心地よい睡眠空間を演出する。各種データの収集、分析により、睡眠にあわせた機器の制御が可能になるという。
さらに、体験できる展示としては、「転倒予防ソリューション」がある。今回のCEATECで初公開されたもので、身体的負担の少ない方法で身体機能と感覚機能を測定し、転倒リスクを約1分間で判定。計測体験および結果に応じた改善プログラムなどを紹介するというものだ。
ここでは、「立位年齢」という言葉を用い、その計測結果を年齢で表示し、結果レベルをわかりやすくしている。このソリューションを使って定期的に検査し、データ推移を確認することで、健康、安全意識の維持や改善効果を確認できるという。結果に基づいたお勧めトレーニングも示されているのも特徴のひとつだ。
筆者もやってみたが、立位年齢は「66歳」という衝撃の結果。日頃の運動不足を実感した次第だ。