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岸田首相がCEATECにメッセージ「国境の枠にとらわれず、共に未来を創るイベントになることを期待している」
CEATEC 2023 オープニングレセプション
2023年10月17日 13:10
CEATEC 2023のオープニングレセプションが、10月16日午後6時から、東京・大手町のパレスホテル東京で開催された。会場には、IT/エレクトロニクス産業の経営トップをはじめとする経済界関係者、岸田文雄首相をはじめとする政府関係者、在日大使館関係者など、約700人が参加した。
岸田内閣総理大臣
「国境の枠にとらわれず、共に未来を創るイベントになることを期待している」
昨年は、ビデオメッセージによる挨拶だった岸田首相は、今年は会場を訪れ、ステージに登壇。現役の首相がCEATECのオープニングレセプションに参加したのは、2016年の安倍晋三首相(当時)に続いて2人目となる。
岸田文雄首相は、「今年のCEATECは、次世代を見据えて、グリーン、デジタル、スーパーシティなどに関する次世代の技術や、サービスが展示されると聞いている。ウクライナの企業も初めて出展する。国境の枠にとらわれず、共に未来を創るイベントになることを期待している。また、4年ぶりとなる会場でのコンファレンスでは、デジタル田園都市国家構想やAIなどをテーマに、各界のイノベーターが集結すると聞いている。全国どこでも、誰もが、便利で、快適に暮らせる社会に向けて、ドローンや自動運転などのデジタルサービスを、最速で事業化していくために、官民連携で取り組みを前に進めていく」と述べた。
さらに、「生成AIについては、私自身、今年に入り、若手研究者やAI開発企業などと、直接議論を重ねるなかで、無限の可能性を感じてきた。G7広島サミットで、広島AIプロセスを提案し、各国首脳の合意を取り付けた。年末に向けて、全てのAI関係者向けの国際的な指針や、開発者向けの行動規範の策定を進めていく。皆さんの知恵をもらいながら、国際的なルール作りを主導していきたい」と語った。
また、「日本経済は、長いコロナ禍を経て、30年来で、最も良いパフォーマンスを示しつつある。長年続いてきたコストカット型の経済から、活発な設備投資、持続的な賃上げ、人への投資による経済の好循環を実現する熱量を感じられる新たなステージへの転換を確実に進めたい。そのための鍵になるのが賃上げと投資である。積極的な経営判断を後押しできるように、今月にも取りまとめる経済対策に、成長力につながる政策をしっかりと盛り込んでいきたい」と宣言した。
JEITA 小島会長
「今年のCEATECが、新たな連携やアイデアを生む場となり、社会課題の解決につながる機会にしたい」
一CEATEC 2023の主催者である一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の会長を務める日立製作所の小島啓二社長兼CEOは、「新型コロナウイルスにより、大きな行動変容が起きた。それを支えたのがデジタルの技術である」と挨拶した。
「昨今では生成AIをはじめとする技術の急速な進歩により、デジタルイノベーションはますます加速している。CEATECは、経済発展と社会課題の解決を両立するSociety 5.0の実現を目指し、あらゆる産業や業種の人と技術、情報が1カ所に集うデジタルイノベーションの総合展示会である。デジタル技術が実現する未来社会となるデジタル田園都市国家構想をはじめ、持続可能な社会を目指したイノベーションやソリューションが幅広く発信され、未来社会を支えるキーテクノロジーが多数披露される。今年は、コンセプトに次世代を掲げている。次の時代を担う企業や人が一堂に会して、新たなテクノロジーによって実現される社会像を発信していく。また、社会全体のDXの在り方、未来の暮らし、それを支えるテクノロジーなどを、共創の観点から紹介している。今年のCEATECが、新たな連携やアイデアを生む場となり、社会課題の解決につながる機会にしたい」と、期待を述べた。
鈴木総務大臣
「国際競争力の強化に向けて、企業や大学などの研究開発を強力に支援するとともに、国際標準化を支援し、早期の社会実装を後押しする」
総務省の鈴木淳司大臣は、「CEATEC 2023は、5つの『次世代』をキーワードにしている。また、会場ではデジタル田園都市国家構想をテーマとした企画展示も行われている。総務省では、2023年4月に改定したデジタル田園都市国家インフラ整備計画において、光ファイバー、5G、データセンター、海底ケーブルの整備を地方のニーズに則して、スピード感を持って推進している。また、国際競争力の強化に向けて、企業や大学などの研究開発を強力に支援するとともに、国際標準化を支援し、早期の社会実装を後押しする。生成AIに関しては、責任ある活用に向けて、G7広島サミット首脳宣言を経て、広島AIプロセスを立ち上げた。年内の成果創出に向けて、さらに議論を進めていくことになる。さらに、ウクライナにおける経済復興を推進する観点から、総務省がウクライナパビリオンの出展を支援した」と語った。
西村経済産業大臣
「日本はイノベーションしかない。これで世界をリードしたい。」
経済産業省の西村康稔大臣は、「毎日のように、スタートアップ企業や大企業の人たちと会っている。生成AIをはじめとして、量子コンピュータやスーパーコンピュータ、半導体、5G、自動運転、ライフサイエンスなどの分野を、これらの企業が支えていることを感じており、なにか応援ができないかという姿勢で議論をしている。私のところに来ていない企業の人はぜひ来てほしい。画期的な技術を持ってきてほしい。俺こそは、と思う人は手を挙げてほしい。面白くないと思ったら1分で帰ってもらう」と会場を沸かせたあと、「日本はイノベーションしかない。これで世界をリードしたい。CEATECを楽しみにしている」と締めくくった。
河野デジタル大臣
「一緒に規制改革をやろう。こんな規制で困っているということがあれば、規制改革を一緒にやりたい」
デジタル庁の河野太郎大臣は、「日本は毎年人口が80万人ずつ減少している。これは山梨県の人口に相当する。また、都市部に人が集まり、それ以外の場所が過疎化し、人手で足りないという状況にある。高齢化先進国である日本から、人々が便利で、豊かに暮らせるという新たな技術やサービスが出てきて、海外に展開されなくてはならない。だが、そうはなっていない。サンフランシスコでは自動運転のタクシーが何100台も走っているのに、日本はライドシェアをどうするかという議論に留まっている。これは、規制の失敗である。岸田首相の強い思い入れで、デジタル行財政改革を進め、規制改革、行政改革、財政改革をまとめてやることになった。ぜひ、さまざまな業界の規制に詳しい人を、デジタル行財政改革事務局に出向させてほしい。一緒に規制改革をやろう。こんな規制で困っているということがあれば、規制改革を一緒にやりたい」と述べた。
河野大臣は、開催初日となる10月17日に「デジタル田園都市国家構想~官民連携によるデジタルを活用した地方創生~」と題したセッションでも挨拶を行う予定となっている。
経団連 澤田副会長
「CEATECが成長することで、よりよい社会に近づくことになる」
乾杯の音頭を取った経団連の澤田純副会長(NTT会長)は、「CEATECは、Society 5.0を目指すイベントである。経団連も足並みを揃えながら、よい社会を作るための活動をしているところである。また、生成AIが注目されているが、半導体、デバイス、サーバー、データセンターまで、さまざまな生態系が集まって、これを実現している。CEATECはそれらの協業の場である。CEATECが成長することで、よりよい社会に近づくことになる」と語った。
CEATEC AWARD 2023授賞式も実施
会場では、CEATEC AWARD 2023の3つの大臣賞の受賞式も行われ、各受賞者には、それぞれの大臣から表彰状と楯が手渡された。
総務大臣賞は、東芝の「空間セキュリティマネジメントソリューション」が受賞した。防衛レーダー技術と半導体技術を基盤とした車載ミリ波レーダーICによる独自統合技術とともに、独自の走査技術によって、1秒以下で、衣服のなかに隠された危険物の可視化と検知を行うことができるウォークスルー検査装置となっている。
経済産業大臣賞は、エレファンテックの「金属インクジェット印刷技術を用いた環境負荷低減PCB」となった。金属インクジェット印刷技術を活用し、必要な部分にだけ金属を印刷する「ピュアアディティブ法」によって、電子回路基板の量産化に初めて成功した。CO2排出量や水の消費量を大幅に削減。また、銅などの金属使用量も大幅に削減できることから、カーボンニュートラルや脱炭素社会への貢献も期待される。
デジタル大臣賞は、ザクティの「リアルタイム映像DXソリューション " Xacti LIVE(ザクティライブ)"」が受賞した。従来モデルよりも容積で1/7、重量で1/3へと小型軽量化し、30gを切る軽さを実現していることから、メガネや帽子、シャツなどに装着して使用できる。出張メンテナンスや物流、警備、エンターテインメントなどでの活用が期待されている。