インタビュー
「イノベーションは特別なものではない」、明日から始まる「CEATEC」はどうやって「イノベーションの場」を作ろうとしているのか?
体験し、考え、共創する……エグゼクティブプロデューサーに聞く「リアル開催の価値」
2023年10月16日 10:36
CEATEC 2023が、2023年10月17日から20日までの4日間、千葉県千葉市の幕張メッセで開催される。
「デジタルイノベーションの総合展示会」と位置づけるCEATEC 2023は、4年ぶりに展示とコンファレンスをリアル会場で実施し、会期中に10万人の来場者を見込んでいる。「CEATEC 2023は、未来を変える10万人のイノベーターのための共創の場になる」と語るCEATECの鹿野清エグゼクティブプロデューサーに、開催を間近に控えたCEATEC 2023のポイントを聞いた。
「見て」「聴いて」「感じて」「考えて」「動き出す」=リアル会場でのCEATEC体験を!
――今年のCEATEC 2023は、4年ぶりのリアル開催となりました。久しぶりに熱気が戻ってきそうですね。
[鹿野氏]CEATEC 2023は、幕張メッセの4~8ホールまでの5ホールを使用したリアル展示と、幕張メッセ国際会議場を使用したリアルでのコンファレンスの組み合わせによって開催します。
CEATECは、クルマの両輪のように、展示会とコンファレンスを位置づけ、展示を「見て」、コンファレンスを「聴いて」、未来の社会を「感じて」「考えて」、共創に向けて「動き出す」ことを、「CEATEC体験」と位置づけています。これは、やはりリアル会場だからこそ、実現できる要素が多いといえます。
CEATECに参加する方々には、できるだけ会場に足を運んでいただきたいと思っています。
そのきっかけのひとつになるのが、コンファレンスです。コンファレンスでは、会期初日を「Innovators Gathering in CEATEC」と銘打ち、「サステナブルな社会の実現に向けて」、「AI等のエマージング技術を活用したデジタル社会基盤の構築」、「デジタル田園都市国家構想~官民連携によるデジタルを活用した地方創生~」の3つのテーマで、1000人規模の参加者が聴講できるリアル会場にて開催します。
オンラインであれば入場者数の制限がなくなり、5000人以上の参加も可能ですが、CEATEC体験をしていただくには、1000人という人数制限があっても、会場に足を運んでいただきたいと思い、これらのコンファレンスは、リアル会場だけの開催としました。それぞれのテーマに関して、より深く理解をしていただくために、リアルのコンファレンスと展示会にあわせて参加してもらうことが最適である、という判断に至りました。
ここは、人数の問題ではなく、体験する価値を優先した、ということです。
――オンラインはまったく活用しないのですか。
[鹿野氏]コロナ禍の3年間で培ってきたノウハウがありますから、それは最大限活用します。
CEATEC 2023の公式サイトでは、10月2日から、出展各社のページを用意し、ブースの展示内容などの告知が展開されています。昨年までは「オンライン会場」として、会期中には担当者がチャットなどで対応できるようにしていましたが、今年は、それはやりません。
オンラインは、あくまでも幕張メッセのリアル展示を補完する機能となります。ですから「ハイブリッド開催」という表現は見送りました。ただ、なかには会社のルールによって、現時点でも、リアルの展示会には出展できないという企業があり、今回は、3社がオンラインだけで出展をし、オンライン上で情報提供を行うことになります。
来場者の方々には、まずは公式サイトで、来場事前登録をしてもらい、さらに出展各社の情報を入手し、この情報を17日から行われるリアル会場を訪れる際の参考にしてもらいたいですね。また、今回は200以上のコンファレンスを用意しています。これらの情報もオンラインで公開していますし、10月31日までは、オンラインセッションも公開しています。
DXやカーボンニュートラル、デジタル田園都市国家構想、NEXT Generationといったテーマごとに検索することもできますので、このなかから、目的のコンファレンスを見つけていただきたいと思っています。
「イノベーションは特別なものではない」「CEATECを訪れる来場者、出展者のすべてがイノベーターになれる」
――今回のCEATEC 2023では、「デジタルイノベーションの総合展示会」と位置づけました。この狙いはなんでしょうか。
[鹿野氏]CEATECは、2016年に家電見本市からCPS/IoT Exhibitionへと舵を切り、2017年から、Society 5.0の実現を掲げる総合展示会へと進化してきました。そのときから基本姿勢はブレていません。
ただ、CPSやIoTというと、インフラやテクノロジーという側面が強くなります。もちろん、CEATECは、Combined Exhibition of Advanced Technologiesの略称であり、そこからもわかるように、技術オリエンテッドな展示会です。
今年もAIや5Gといったテクノロジーは重要な切り口です。しかし、共創をテーマとしているCEATECにとって、テクノロジーだけを語るわけにはいきませんし、豊かな社会を目指すSociety 5.0を実現するためにも、テクノロジーやツールだけの訴求では不十分です。
そこで、CEATEC 2023では、Society 5.0を、より身近に感じてもらうこと、そして、CEATECの意味に立ち返り、Advanced Technologiesによって、豊かで、楽しい社会づくりを支援していくということを目指し、デジタルによるイノベーションを起こすための展示会ということを改めて示したわけです。
――もうひとつ、新たなメッセージとして、「未来を変える10万人のイノベーターのための共創の場」ということを打ち出しました。イノベーターとは、どんな人のことを指しますか。
[鹿野氏]「イノベーターは“特別な人”であって、自分はイノベーターではない」と思っている人が多いのではないでしょうか。
私は、日本を本気で変えていくには、日本の国民全員がイノベーターにならなくてはいけないし、そもそも「イノベーションは特別なものではなく、普段の生活のなかでもイノベーションを起こすことはできる」と思っています。
CEATEC 2023を訪れる来場者、出展者のすべてがイノベーターであり、Society 5.0によって豊かな社会を作ることができる。そうした前提のもと、CEATEC 2023に関わるすべての人たちのことをイノベーターと表現しました。
CEATEC 2023では、イノベーションを起こすための様々なツールやサービスが一堂に展示され、それを見つけ出したり、共創によって新たなものを作り上げることができる。そうしたことを求めている人たちが集う展示会がCEATECとなります。
かつての展示会は、「様々なブースを回り、カタログを集め、情報を収集する」というものでした。しかし、オンラインで様々な情報が収集できるようになり、さらにコロナ禍で、オンラインでの情報収集が当たり前になりました。そうした環境変化の中、CEATECはどんな役割を果たすべきかということを考えたとき、イノベーター同士が刺激を与えあって、化学反応を起こし、新たな共創ができる展示会になることが大切であると考えました。
「売ります」「買います」といった商談ベースの展示会ではなく、「一緒に考えていきましょう」というのが、CEATECに訪れる来場者と出展者の関係であり、国内外のあらゆる展示会との大きな違いになります。
実際、CEATECに出展したり、来場したりすることで、イノベーションのヒントが欲しいという声が年々増えています。そのためには、CEATECに来場した経験がある人だけでなく、これまでにCEATECに来場したことがない人や、新たな発想やユニークなセンス、異なった視点を持った様々な業界の方々に新たに参加していただくことが大切です。
20年前の電子部品メーカーは、家電メーカーをはじめとしたエレクトロニクス業界にしか、部品を供給していませんでした。いまは違います。異なる業界の方々がお客様であり、そうした企業こそ、新たな発想をもたらしてくれます。
新たなセンスを持った人にCEATECに来てもらうこと、そして、CEATECを通じてセンスを磨いてもらう場にしてもらいたいですね。CEATEC 2023には、600社/団体以上の出展が予定されていますが、そのうち初出展となるのは250社/団体に達しており、展示会場においても新たな刺激が生まれると思っています。
共創のきっかけをつくる「パートナーズパーク」は今年も実施
――展示会場では、2年目となるパートナーズパークが目玉となりそうですね。今年は、デジタル田園都市国家構想の観点から22のテーマを設け、130社/団体を超える企業が出展することになります。昨年からはどんな進化を遂げていますか。
[鹿野氏]パートナーズパークは、個別の企業による単独出展ブースではなく、共通のプラットフォーム、共通のインフラ、共通のサービスを提供する企業がイニシアティブを持ち、そこに多くの企業が集まり、共同で出展することになります。このコンセプトは変わりません。
そして、共創のきっかけを作る場ではなく、共創から生まれた成果をみせる場となっている点も特徴です。
昨年は、日本マイクロソフトやAWS、Metaといった外資系IT企業のもとに、日本の企業が集まるというブースが目立ったのですが、今年は日本の企業が中心となって、そこに日本の企業が集まるブースが中心となっています。
さらに、主催者である一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)では、会員企業が参加する様々な部会活動を行っていますが、それらの部会が中心となって、複数の企業が参加するブースも増えています。
昨年、等身大の人生ゲームをブース内に設置して話題を集めた半導体部会のほかに、電子部品部会とディスプレイデバイス部会による共同ブース、先端交通システム部会、スマートホーム部会が、会員企業とともに出展を行います。
部会の活動説明ではなく、取り組んできた成果をSociety 5.0という観点からお見せします。そのほかにも、ALANコンソーシアムと日本水中ドローン協会との共同出展、Green×Digitalコンソーシアムなどが出展します。パートナーズパークで掲げた22テーマのうち、約3分の1が、JEITAの部会や、業界団体などが主導した展示となっている点も、昨年との大きな違いだといえます。
また、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局と連携し、デジタル田園都市国家構想をテーマとする特設パビリオンを用意しました。
このように、パートナーズパークは、ユースケースが多く展示されますし、生活に密着したテーマの出展が多く、Society 5.0の観点から、いま、日本でどんなことが起きているのかを知ることができます。
――国内外のスタートアップ企業や大学や研究機関が出展するスタートアップ&ユニバーシティエリアは、前年比1.8倍となる140社/団体以上が出展することになりますね。
[鹿野氏]これに関しては、むしろ、昨年の出展者数が少なかったという反省があります。今年は、サステナブルやAIに関するスタートアップ企業のほか、大学の研究室からの出展も多いのが特徴です。
以前から、来場者の要望にあったのは、「多くのスタートアップ企業が出展していても、目的に合致したブースに辿り着きにくい」という課題の解決でした。
そこで、今年のスタートアップ&ユニバーシティエリアでは、サステナビリティやアドバンスドテクノロジー、ビジネスクリエイションなどのテーマごとに、ブースを5つのテーマに色分けし、わかりやすくします。色を辿っていけば、目的のところに到達しやすくなります。
さらに、「共創のプロ」であるアビームコンサルティングが、これまで培ってきたスタートアップ企業のマッチングの実績や育成、支援のノウハウを活用して、スタートアップ&ユニバーシティエリアに出展している企業と来場者をマッチングし、共創を支援します。これもCEATECの新たな姿をみせることにつながると期待しています。
ウクライナからの出展もあるグローバルエリア海外出展者は8つの国と地域から
――グローバルエリアでは、どのあたりが見どころになりますか。
[鹿野氏]米国やフィンランド、デンマーク、UAE、カナダ、フランス、台湾のほかに、総務省による招聘企画としてウクライナが初めてパビリオンを出展することになります。
ウクライナは、広島で行われたG7会合で話し合われた復興支援をベースにした取り組みであり、IT先進国であるウクライナの企業の出展が実現します。
また、フィンランドは初出展となります。さらに、台湾やUAE、デンマーク、フランス、米国、カナダは継続的にCEATECに出展することになりました。このように8つの国と地域の企業から、最新トレンドや革新的なソリューションが展示されます。また、英国は、今回はブースの出展はありませんが、独自にコンファレンスを開催することになります。ここでは、量子コンピュータなどの最新技術についても触れる予定です。
コンファレンスも「共創」を軸に再構成「パネルディスカッション形式で、共創の実践の場にしたい」
――一方で、今年のコンファレンスでは、どんな点にこだわりましたか。
[鹿野氏]これまでのCEATECのコンファレンスは、「1人のスピーカーが、特定のテーマについて講演する」という形が多かったのですが、CEATECで共創を重要なテーマに掲げて以降、参加者が共感したり、納得感を得たりするには、一方通行の講演ではなく、参加者と同じ立場の人が登壇し、対話をすることが重要だと感じていました。
そこで、今回のコンファレンスでは、基調講演と呼ぶものはなくし、多くをパネルディスカッション方式としました。立場や企業規模、視野が異なる人たちが登壇し、それぞれに意見を戦わせ、情報を共有し、そこから新たなアイデアが生まれることに期待しています。
いわば、コンファレンスにおいても、展示会場と同じように、共創を実践する場になるというわけです。モデレータの役割がより重要になり、大変な仕事になると思われますが、非常に楽しみです(笑)
また、展示会場内には、未来を担う学生や若手人材を対象にした「Future-Hub」、未来のテクノロジーを探求し、次世代のイノベーションを発見する「Tech-Hub」、共創事例や最新トレンドを発信する「トークステージ」、国内外のスタートアップや大学や研究機関による「ピッチステージ」の4つのステージを設置しました。
それぞれに該当する展示エリアの真ん中や、すぐ横にステージを設置しました。展示を見ただけではわからなかったものを、ステージでの話を聞いて理解する、ということや、逆に、ステージのセミナーに参加して、そのテクノロジーなどに興味を持ったら、すぐ近くにあるブースに行って、直接触ってみたりといったことができます。リアル展示会ならではのCEATEC体験を可能にした企画のひとつです。
さらに、CEATEC 2023は、「Toward Society 5.0」をコンセプトに掲げていますが、Society 5.0を身近に感じてもらうには、地方における社会課題解決に向けた取り組みがわかりやすいと思っています。そのための仕掛けにも力を注ぎました。
自治体のSociety 5.0の取り組みやDXでは、実証実験が終わり、実装へ踏み出しているケースが少なくありません。その一例として、会期初日のコンファレンスに、群馬県の山本一太知事と、福井県の鷲頭美央副知事に登場いただき、MaaSをはじめとした官民連携によるデジタル活用の地方創生の姿について語っていただきます。
誤解を恐れずに言えば、Society 5.0の取り組みは地方都市のほうが進んでいます。また、それを実現するカギは、企業と自治体との共創です。パートナーズパーク内の「デジタル田園都市国家構想特設パビリオン」にも、ミニステージを用意して、岐阜県や仙台市、JR東日本、TOPPANデジタル、日本旅行などが、官民連携による具体的な成果を紹介します。ここは、Society 5.0の成果を実感してもらえる場になると思います。
「閉場後の会場」でネットワーキングイベントを実施次世代の人事育成で
――昨年のリアル会場への来場者数は8万1612人で、CEATEC史上、初めて10万人を切りました。今年は来場者数の目標として10万人を掲げました。10万人にはどんな思いを込めていますか。
[鹿野氏]昨年は、3年ぶりのリアル展示に加え、3万307人がオンラインで参加するハイブリッド開催だったので、これをあわせると11万人の規模となりました。しかし正直なところ、CEATECは「来場者数だけを追う展示会」ではなくなってきていると感じています。とはいえ、一定の規模感がないと、共創が生まれませんし、影響力がありません。そこに10万人という数字の意味があります。
――ここ数年のCEATECでは、次世代人材の育成が重要になっています。今年のCEATECでは、次世代人材育成ではどんな取り組みを行いますか。
[鹿野氏]次世代の社会を担う人材の育成および支援は、CEATEC 2023の重要なキーワードのひとつです。
すでに、千葉県内の学校や首都圏の専門学校をはじめとして、多くの学校からの見学の申し込みがありますし、東京医科歯科大学では、デザイン思考の学習のなかで、今年も「CEATEC視察」実習を行います。
また、JEITA半導体部会では、昨年好評だった人生ゲームを今年も進化させる形で展示し、若い世代に対して、半導体業界の魅力を訴えることになります。
さらに、先に触れた展示会場内に設置するステージのひとつであるFuture-Hubでは、未来を担う学生や若手のキーパーソンにスポットを当て、デジタル産業の魅力やキャリア選択に役立つ情報を発信する場と位置づけています。アルプスアルパインの栗山年弘会長や東芝の亀渕丈司チーフエグゼクティブエキスパートがそれぞれ登壇する「学生とTOPリーダーとの対話型トークセッション」なども予定しています。
このほか、会期中には、一般来場者が退場したあとの午後5時30分から、Future-HubやTech-Hubを使って、ネットワーキングイベントを開催します。初日から3日目まで、毎日、スタートアップやグローバル、若手エンジニアといったテーマで開催し、共創の場を提供します。これも次世代人材育成支援のひとつになります。
「環境に配慮したブースづくり」は今年も
――昨年のCEATECから、環境に配慮したブースづくりが目立ちましたが、今年はどうですか。
[鹿野氏]昨年同様、大規模ブースで出展する企業を中心に、再生できる材料を使用したり、グリーンエネルギーを使用したりといった取り組みが行われる見込みです。
また、CEATEC 2023では、「SDGs for MICE評価制度」に参加し、「宣言書」を取得しました。これは、主催者が、来場者、出展者のほか、関係団体や地域など、関係するすべてのステークホルダーに配慮したMICEを開催することを目的に宣言したもので、参加者の安全および安心を担保しながら、SDGsの自律的好循環に貢献することになります。
「CEATEC AWARDの応募作が変わってきた」
――今年で13回目を迎えるCEATEC AWARD 2023への応募には、どんな傾向がありますか。
[鹿野氏]CEATEC AWARDは、学術的、技術的、市場性や将来性などの観点から、イノベーティブ性が高い技術や製品、サービスを表彰するものです。
今年も総務大臣賞や経済産業大臣賞、デジタル大臣賞のほか、各部門賞がそれぞれ選出され、10月16日に開催されるオープニングレセプションで各大臣賞の表彰式を行います。また、部門賞では、アドバンストテクノロジー部門、デバイス部門、スタートアップ部門、コ・クリエイション部門に加えて、国外から出展した製品やサービスを対象にしたグローバルエリア部門を新設します。
今年の応募件数は、昨年よりも4割増になっています。例年通り、先進技術を採用した新たなデバイスの応募も多いのですが、その一方で、AIを活用したり、データを活用したりといった内容の応募が増えています。むしろ、AIを当たり前に使っているという印象があります。
昨年の受賞や、今年の応募を通じて感じているのは、最終審査のプレゼンテーションの際に、従来であれば「こう使ってください」という内容であったものから、「これをどう応用できるのか、多くの企業と話をしたい。提案をしてほしい」というものが増えていることです。
CEATEC AWARDでも、「共創」を前提とした応募が増えているのです。これは大きな変化であり、CEATECが目指してきたコンセプトに合致したものになっていることに手応えを感じています。
10万人のイノベーターがリアル会場に訪れ、直接見て、会話をして、イノベーションにつなげてほしい
――主催者として、今回のCEATEC 2023では、どんな指標を重視しますか。
[鹿野氏]来場数で10万人という目標はありますが、それよりも重視したいのは滞在時間です。
「デジタルイノベーションの総合展示会」という観点からも、じっくりと見て、体験していただき、そして共創に繋げていただけたらと思っています。今年はリアル会場でのコンファレンスもありますから、そこにも参加していただきたい。
「滞在時間が長くなる」ということは、私たちが用意した企画や、出展者のブースの内容が、「デジタルイノベーションの総合展示会」として、役割が認められたということになると考えています。
テレワークができるブースも用意していますので、「会場を回りつつ、会議の時間になったら、ここから参加する」ということもできます。是非、1日かけてじっくりとCEATEC体験をしていただければと思います。
一方の、出展者にとっても、異なる業界の来場者や、イノベーターとしてのセンスを持った人の意見を聞くことで、新たな共創が生まれたり、ヒントをもらえる展示会にしたいと思っていますし、これがCEATECの存在価値になるともいえます。
以前は、「メーカーが作った技術や製品の使い方をユーザーに聞く」なんてことはない風潮もありました。しかし、いまは聞くことこそが重要な時代になったわけです。CEATECの役割もそこにあり、対話を通じてヒントをもらったり、逆に与えたり、それに気がつく人たち全てが「イノベーター」だといえます。
来場者や出展者を含めて、10万人のイノベーターがリアルの会場に訪れ、直接見て、会話をして、そこから刺激を受け、イノベーションにつながることを期待しています。
――ありがとうございました。