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インボイス制度対応に“課題を感じる”経理担当者が7割、Sansanが「インボイス制度開始後の実態調査」結果発表

経理担当者に対する「インボイス制度の対応へ何らかの業務課題を感じているか」への回答

 Sansan株式会社は11月20日、同社のインボイス管理サービス「Bill One」が10月にインボイス制度が開始してから初めての月次決算が終了したことを踏まえ、請求書関連業務に携わるビジネスパーソンを対象に実施した「インボイス制度開始後の実態調査」の結果を発表した。

 本調査は、同社が2023年11月6日~8日に、経理部門500人、経理部門以外500人の全国の請求書を取り扱う業務を担当するビジネスパーソン計1000人を対象として、オンラインで行ったもの。

インボイス対応の主な課題は「請求書業務の負荷増大」「社内の混乱」

 経理担当者500名に対して「インボイス制度の対応へ何らかの業務課題を感じているか」という質問に、「課題を感じた」と答えた人は70.2%、「特に課題を感じなかった」と答えた人は29.8%だった。

 請求書受領について特に課題を感じたことの第1位は「請求書業務の負荷が増えた」で39.2%、第2位は「社内理解が不十分で混乱が生じた」で28.6%。そのほか、業務時間の増加により他業務への影響が生じていることも分かったという。

インボイス制度対応で感じた具体的な業務課題(経理担当者)

 「課題を感じた」と回答した人の具体的なエピソードとしては、「請求書によって登録番号が記載されている箇所が違うので、確認に時間がかかる」「インボイス制度に関する知識を現場に周知するのに課題を感じた」「受け取った請求書が適格請求書かどうか判断するのが難しい」といったものがあった。

請求書の確認は「目視」が最多、作業時間は平均約12時間増加

 「取引先から受け取った請求書が適格請求書の要件を満たしているかについて、どのように確認しているか」との質問に、登録番号、取年月日、消費税額(の検算)の全てにおいて、約70%が「経理担当者による目視確認」との回答だった。その一方で、「登録番号の確認を特にしていない」との回答も15.0%あり、受け取った請求書が適格請求書かどうかの確認を行っていない人も一定数いることが判明したとしている。

受領した適格請求書の確認方法

 また、インボイス制度開始に伴い、経理担当者が月次決算業務にかける時間が、1人あたり月平均11.9時間(1.6営業日)ほど増加しているという。これはあくまでも1人あたりの増加時間のため、経理部門全体ではより多くの時間を要していると考えられるとしている。

非経理部門も「適格請求書かの確認」「不備の修正依頼」などで業務増加

 経理以外の部門に所属する500人を対象に「インボイス制度開始後の業務工数の変化」の質問をしたところ、「業務が増えた」と回答した人は69.8%だった。

 「インボイス制度開始後に増えた業務」の質問には、「受け取った請求書が適格請求書かどうかの確認」が50.2%と最多で、次点が「受け取った請求書に不備があった場合の修正対応」で35.2%だった。

インボイス制度開始後の業務工数の変化(経理以外)
インボイス制度開始後に増えた業務(経理以外)

 具体的なエピソードとして、「まずインボイス制度を理解するのに時間がかかり、日々の確認業務にも時間を要している」「登録番号が記載されていない領収書を受け取ってしまった」などが挙げられた。また、請求書内容の確認に加えて、社内外のやりとりが増えたと感じている人も多かったとし、「立替精算のとき、経理部門から適格請求書の提出を要求されるなどコミュ二ケーションが増えてかなり時間がかかった」「適格請求書の必要要件を理解していない取引先に対しての連絡に時間を要している」との意見があった。

 Sansan株式会社Bill One事業部チーフプロダクトマーケティングマネジャーの柘植朋美氏は、業務の負担が増えて1人あたり約12時間の業務時間増加、経理部門以外の工数も増加、という結果を受けて「インボイス制度は経理部門だけの課題ではなく、全社の生産性に関わる課題だと言えます」とコメント。請求書業務フローの見直しと、デジタル移行による効率化を提案している。