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海賊版サイト「漫画村」関係者に17億円の損害賠償判決、出版3社の共同訴訟

 東京地方裁判所は4月18日、出版コンテンツの海賊版サイト「漫画村」の運営に積極的に関与していた人物に対して出版社3社が起こしていた訴訟において、17億3664万2277円の損害賠償金の支払を命じる判決を言い渡した。一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)が発表した。

 「漫画村」は、ACCSによれば2016年3月に開設。2018年ごろに最盛期を迎え、出版社が海賊版サイトを利用しないよう呼び掛けるなどの活動も行われた。その後、2019年9月に運営者が逮捕され、2021年6月に有罪判決が出された(懲役3年、罰金1000万円、追徴金6257万1336円)。

 今回の判決は、2022年7月に、株式会社KADOKAWA、株式会社集英社、株式会社小学館3社が、「漫画村」により受けたと推計される損害の一部である総額19億2960万2532円(17作品分)の賠償を求め、共同提訴していたもの。

 対象の17作品は、以下のとおり。

KADOKAWA

  • オーバーロード
  • ケロロ軍曹
  • 賢者の孫
  • 盾の勇者の成り上がり
  • トリニティセブン 7人の魔書使い
  • ヒナまつり
  • 僕だけがいない街
  • 無職転生 ~異世界行ったら本気だす~

集英社

  • キングダム
  • ONE PIECE

小学館

  • 黄金のラフ
  • カノジョは嘘を愛しすぎてる
  • からくりサーカス
  • ケンガンアシュラ
  • 黄昏流星群
  • ドロヘドロ
  • YAWARA!

 原告3社は、次のコメントを発表している。

 「漫画村」により出版コンテンツに生じた甚大な損害は今なお深く、その全てを回復することはできませんが、本判決において原告3社の主張が認められ、原告3社の17作品に限ってもその損害額が17億円強と判示されたことは妥当なものと考えております。

 原告3社は海賊版サイトを通じた権利侵害に対する大きな抑止につなげるべく提訴いたしましたが、本訴訟は改めて海賊版サイトの問題を広く訴える契機になりました。出版社は、国内のみならず、未だに深刻な被害が生じている国外においても同様の権利行使を行うなどして、作品を守り抜くため、今後も侵害に対してあらゆる手段による対策を講じてまいります。

 当時最大規模であり海賊版サイトの象徴でもあった「漫画村」に関し、刑事処罰を求めるのみならず、民事上生じた責任を追及することは、著者が安心して創作できる環境を整え、心血を注いで生み出された作品を預かる出版社の責務であることから、原告3社が共同して提訴いたしました。