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電波で人の動きを検知する「Wi-Fiセンシング」による一人暮らし老人世帯の見守りサービス、シンクレイヤが実証実験

実証実験で使用されたWi-Fiセンシング機器(左:子機、右:親機)

 シンクレイヤ株式会社は7月17日、株式会社ケーブルテレビ富山および株式会社ディライトアメニティと協働で実施した、Wi-Fiセンシング技術を活用した不動産管理会社向け見守りサービスの実証実験の結果を発表した。

 Wi-Fiセンシング(Wi-Fi Sencing)は、Wi-Fi電波を用いて人の動きを検知する技術で、「IEEE 802.11bf」としての標準化が進められている。人の動きはWi-Fi電波の波形に影響を与えるため、例えば室内の波形の記録をAIによって分析することで、在室状況の確認などができる。

 現在のみまもりサービスは、カメラや赤外線による人感センサーなどを用いるが、Wi-FiセンシングではWi-Fi通信機器自体がセンサーとなりうるため、プライバシーやコスト、使いやすさといった観点から、メリットが大きいソリューションとして期待されている。

Wi-Fi電波を用いた動作検知イメージ(不在時)
Wi-Fi電波を用いた動作検知イメージ(在室時)

 本実験の目的は、「孤独死問題」の深刻化へ向けた早期対応を図るもので、従来の不動産管理会社向け見守りサービスで課題となっている、導入の手間やコストの大きさの解消も目的としている。

従来の不動産会社向け見守りサービスにおける課題

 実証実験は、2024年3月~6月に、富山県内の一般単身世帯を対象として実施。導入が想定される類似環境下でWi-Fiセンシング用機器を宅内に設置し、センシング機器の検知結果と実際の在室状況を比較し、有効性と単身世帯に向けたサービス性を評価した。下図のように機器を設置を6パターン設定、設置個所による検知精度の差異を、実際の在室状況と比較している。

 結果は、在室状況を下図例の通り正確に検知し、一時的な帰宅時にも在室判定となり、検知結果の正確性を示唆した。また、隣室の状況の変化や電子レンジの動作などがあっても、誤作動を伴うほどの影響はないとしている。

機器検知結果と実際の在宅時間の比較(平日)
機器検知結果と在宅時間の比較(休日)

 検証の協力者からは、「以前検討していたサービスはボタンが多く、操作がわかりにくいものでした。一方Wi-Fiセンシングは、こちらから別途操作をする必要もないため非常に使いやすく、機器の存在も気になりませんでした。一人暮らしの高齢者の方々にはいいサービスだと思います」とのコメントがあったという。

 シンクレイヤでは本実験によりWi-Fiセンシングの有効性が確認されたとし、本格的な導入に向けて進行するとしている。