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TSUTAYAのスマホ「TONE」販売開始、freebit mobile改め「トーンモバイル」始動

 トーンモバイル株式会社、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)、CCCモバイル株式会社の3社は、モバイルサービス「TONE」を5月5日より提供開始すると発表した。

スマートフォン「TONE」を持つトーンモバイル代表取締役社長の石田宏樹氏

 トーンモバイルは、フリービットが展開していた「freebit mobile」の移管先となったフリービットモバイル株式会社の商号を変更したもの。CCCを割当先とする第三者割当増資を実施し、CCCが51%、フリービットが49%を出資する合弁会社となった。また、ブランドもこれまで使用してきた「PandA」からTONEに変更されている。

 トーンモバイルでは、これまでfreebit mobileで培ってきた「回線」「端末」「サービス」の垂直統合モデルを維持しつつ、新たにCCCの得意とする「ライフスタイル提案」を組み込んでいる。全国5304万人(重複なし)のTカードユーザーをターゲットに、シンプルな料金プランや初心者でも利用しやすい機能・サポートを提供することで、スマートフォンにまだ乗り換えていないフィーチャーフォンユーザーやファミリー層、「プレミアムエイジ」と呼ばれるシニア層などを狙い、当面は100万台の販売を目標に据える。

「TONE」は電話の延長線上ではなく、「PCが小型化していった過程のスマートフォン」という位置付け
高い技術力を持つフリービットと「世界一の企画会社」のCCCが手を組む

 また、TONEの特徴として、CCCが提供しているサービスとの親和性を高めていることがある。基本プランの月額料金と端末代金に対し、200円につき1ポイントの「Tポイント」が付与される。10月からはTポイントでの料金支払いにも対応。また、TSUTAYA店舗において毎月CD/DVDを1枚ずつ無料でレンタル(新作を除く)できるほか、第1弾キャンペーン(2015年10月末まで)としてCD/DVDをレンタルするとTポイント付与率が10倍になる。

 PCとの強力な連携機能や、写真/動画の閲覧、音楽再生、ファイル/ドキュメント管理、メモ機能を統合したスマートフォンアプリ「ONE」も提供。新たにマーケット機能も統合(Google Playも引き続き利用可能)し、アプリをONEからインストールできるほか、「オンライン音楽サービス powered by TSUTAYA MUSICO」と連携し、1曲150円から購入できる。音楽の購入代金は、TONEの通信費と合算して決済できる「TONEかんたん決済」に対応する。6月には、CCCが展開するフォトプリントサービス「しまうまプリント」とも連携し、ONEから直接1枚5円で写真プリントを手配できる。

 トーンモバイルでは、音楽配信サービスよりもレンタルCDサービスの方を利用するユーザー向けに、レンタルしたCDを直接スマートフォンにリッピングできるWi-Fi対応CDドライブ「T Air(仮称)」も提供予定としている。オンラインでのCDタイトルや曲名取得に対応する。また、TONEスマートフォンの音楽再生形式としてFLACに対応。外部DACの接続にも対応し、別途ハイレゾファイルを用意することで高音質で音楽を楽しめるという。

TONEスマートフォンにWi-FiでCDリッピングできる「T-Air」
T-Airを持つ石田氏
統合アプリ「ONE」にCCCのサービスが追加される
音楽の購入などが可能

 freebit mobileの「PandA Family」で提供してきたのと同様の機能も「TONE Family」として引き継がれており、子供や高齢者の所在地確認、健康管理、アプリの利用・時間制限といった強力な見守り機能が利用できる。さらに、TONEの特徴である遠隔操作によるリモートサポート機能を家族間に開放。使い方が分からない家族がいた場合、家族間でリモートで操作を補助できる。

 そのほか、電話機能を応用したライフスタイル提案として「104検索」機能を提供。電話アプリから「104」と入力すると「食べる」「美容」「泊まる」「近くのTSUTAYA」の4項目が表示され、それぞれ現在地から近い店舗順にリストアップ。そのうち1つを選択するとGoogle マップによる案内が始まる。なお、飲食店の店舗情報は、フリービットの子会社であるベッコアメ・インターネットの「Alike」が提供している。

電話アプリから「104」を入力
4つの選択肢が現れる
表示される店舗は現在地から近い順にリストアップされる
Google マップが起動して目的地まで案内してくれる

 TONEの基本プランは月額1000円(税別)。これには、NTTドコモの3G回線によるデータ通信サービス、SMS、IP電話、リモートサポートを含むアフターサポート、TSUTAYAの関連サービスが含まれている。高速オプションは1GBあたり300円。端末代は2万4000円(税別、24回払いでは月々1000円)。なお、端末のハードウェアはPandAのサードロットから変更はなく、主にファームウェアやソフトウェアを強化し、新機能の追加、端末の反応速度やタッチパネルのフィーリングの改善を図ったという。また、回線速度は500~600kbpsだが、アプリごとの通信量をマネジメントおよび最適化することで、体感1.1~1.2Mbps相当としている。

 販売は、5月5日に「SHIBUYA TSUTAYA」店舗で開始するほか、順次TSUTAYAの12店舗と、TONE直営の4店舗(フリービット時代に「ATELIER」として運営していた店舗)で開始。さらに、その他のTSUTAYA店舗にも順次拡大する予定としている。ウェブでの購入も可能で、MNPによる転入にも対応しているが、開通から商品到着までの“使用できない期間”に対処する施策として、ウェブで端末を購入後、店頭でMNP転入手続きを行うことも可能。

基本料金は「PandA」時代と変わらず月額1000円
7月末までにTSUTAYAの12店舗で展開

TONEからCCCへのTカード情報提供は約款通り、LTE端末は「粛々と準備中」

 トーンモバイル代表取締役社長の石田宏樹氏(フリービット株式会社代表取締役会長)は、「MVNOサービスは、モバイル通信業界への新規参入を広げ、選択の多様化をもたらした。ただし、NTTドコモからのモバイル回線の卸値が決まっており、ボリュームディスカウントも無い状況において、価格競争となると劣等者側になってしまう」と説明。また、MVNOのプランも複雑化していると指摘する。

 5月1日に開始されるSIMロック解除の義務化については、「キャリア間の競争を促すかもしれないが、トーンモバイルではSIMの販売をしておらず、ビジネスではそれほど大きな変化はないだろう」と冷ややかな反応だったが、基本的にはSIMロック解除の義務化に対しては歓迎だという。「結論として、ユーザーは安く高品質なサービスを利用したい。それに対して業界は何ができるかが重要」と述べた。

SIMロック解除義務化までのモバイルサービスの歴史

 ユーザーの情報の取り扱いについては、TONEでTポイントサービスが利用できるため、TONEはTポイントの約款に沿っているという。そのため、ユーザーがオプトアウトしない限り、TONEの決済データはCCCに送信される。

 PandA時代に提携していた株式会社エイブルとの関係は継続しており、TONEストアに順次移行する。また、CCCの光回線サービス「TSUTAYA光」はトーンモバイルよりも前にサービスを開始しているが、今後はフリービットの「DTI光」との統合や連携など、ユーザーメリットをもたらす方向へ進む可能性もあるという。

 そのほか、LTEへの対応は、端末の部品価格の変動なども考慮し、然るべきタイミングで発表する予定であり、粛々と準備しているとした。また、通信料金についても据え置きで提供できるよう調整中だという。

(山川 晶之)