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都市部に建つ「コネクティビティデータセンター」の役割とは? オプテージが大阪・曽根崎に「OC1」開所

OC1開所式の様子

 株式会社オプテージは1月29日、同社の曽根崎データセンター(OC1:Osaka Connectivity1)の開所式を行った。

 OC1は大阪・梅田(大阪駅)にほど近い都市型データセンターであり、「コネクティビティデータセンター」としての役割を担う。あまり馴染みのない方も多いであろうこのコネクティビティデータセンターの役割および概要と、OC1を軸としたオプテージの事業戦略について、本稿では主に紹介する。

「関西のデータセンターとトラフィックを関東と同等に」

 開所式のセレモニーの後、オプテージの津田和佳氏(執行役員 ソリューション事業推進本部 副本部長)が、メディア向けに事業説明を行った。

株式会社オプテージ 執行役員 ソリューション事業推進本部 副本部長 津田和佳氏

 現在、日本のデジタルインフラは首都圏に集中しており、関西圏は、データセンターの面積や通信トラフィック量において、首都圏の半分以下に留まる。しかし、さまざまな災害が発生した際、現状のような首都圏集中はリスクとなりうる。

 例として、首都直下型地震の影響や、富士山噴火時の降灰によるネットワークやデータセンターへの影響を挙げ、首都圏のデジタルインフラが停止すると、日本全体の通信機能が停止するおそれがあるとした。

 そこで、オプテージでは、関西におけるデータセンターや海底ケーブルの整備を進める。関西に関東と同等のデータセンターを整備し、通信トラフィックも関東と同等に集積することが、日本のインフラ強靭化に資すると、津田氏は語った。

 オプテージでは、2035年までにこれらの取り組みに対して3000億円程度の投資を行う予定だ。具体的には、OC1を含むコネクティビティデータセンターを3地点以上で展開し、コネクティビティデータセンターを軸とした事業拡大を目指す。あわせて、国際データセンター間接続サービスを展開し、首都圏と関西圏のそれぞれにおいて、複数の海底ケーブルプロジェクトへの参画を目指すという。

現在、関西圏のデータセンターの面積や通信トラフィック量は首都圏の半分
オプテージが目指す関西圏のデジタルインフラ強靭化。データセンターを整備し、海底ケーブルの整備においては、関西では現在1カ所(三重県・志摩)のみである陸揚局を複数にして冗長化を図る。これが日本全体のデジタルインフラ強靭化につながるとしている

都市の中心部で、事業者間やCDNサーバーへの「接続性」を提供

 あらためて、オプテージが今後の事業の軸と考えている「コネクティビティデータセンター」とは何か?

 津田氏は、多くの人が「データセンター」と聞いてまず思い浮かべるであろう、膨大な計算能力やストレージを提供する「ハイパースケールデータセンター」と対比させ、その特徴を説明した。

 ハイパースケールデータセンターは、広い土地や大量の電源を必要とすることから、都市部とは離れた郊外に設置されることが多い。言い換えると、土地や電源が必要であるため大都市の中心部に置くことは難しいのだが、AIやクラウドサービスの利用が拡大する中で、離れたデータセンターに対してより高い接続性、つまりコネクティビティ(通信の安定および速度、通信品質)が求められるようになる。

 そこで、多くのユーザーがいる都市部の中心で、ユーザーやハイパースケールデータセンター、その他の通信事業者などの間を相互に接続し、高速で安定した通信環境を提供するインフラとなるのが、コネクティビティデータセンターだ。ハイパースケールデータセンターほど広い土地や電力は必要なく、都市部にあることで、ユーザーに高品質の通信を提供しやすい。

 分かりやすい利用例として、動画配信事業者のCDNサーバーと通信事業者のサーバーをコネクティビティデータセンター内で直接接続することや、複数のコネクティビティデータセンター間で高速接続することにより、通信品質向上やコスト軽減を図ることが挙げられた。

ハイパースケールデータセンターとコネクティビティデータセンターの対比。首都圏と関西圏での各データセンターのイメージ
コネクティビティデータセンターによりCDNと通信事業者間を高速接続し、通信品質向上やコスト軽減を図るイメージ

 OC1では、内部での直接接続は「クロスコネクト」として、利用する事業者のラック間を接続する設備をすでに整えており、短時間で提供できるという。データセンター間の接続は、帯域提供の「メトロコネクト」あるいは心線提供の「ファイバーコネクト」として提供される。

 外部とOC1との接続には、関西一円に敷設されたオプテージの光ファイバーが利用できるほか、首都圏の主要データセンターと接続するDCIサービス「AOC」(All-Optical Connect)を、同日に開始している。また、2028年度には、首都圏を経由してシンガポールと国際海底ケーブルで接続する予定だという。

クロスコネクト、メトロコネクト、ファイバーコネクト
首都圏の主要データセンターとのDCIサービス「AOC」を本日より開始。2028年度にはシンガポールと国際海底ケーブルで接続予定

 なお、「コネクティビティデータセンター」は、オプテージ独自の用語ではなく、そうであるとは謳っていないが、ほかの事業者のデータセンターにも、同様の役割を持つ例はあると考えられる。

高い接続性を提供するための設備の数々

 高い接続性を提供するため、OC1にはさまざまな災害対策が施されている。南海トラフ級の巨大地震を想定した免震設計や、河川氾濫などの水害時にもサービスを継続可能だという。

地震・水害対策の概要
外部からの電源供給が絶たれても非常用発電機により72時間連続発電可能な電源設備

 データセンター利用者向けのサービスとしては、「カスタマーポータル」による遠隔管理機能のほか、ウェアラブルカメラを装着した作業員とオンラインで接続し、リアルタイムに指示できる作業代行サービス「ライブオペレーション」が提供される。ライブオペレーションは日本語および英語に対応する。

カスタマーポータルの画面イメージと機能
ライブオペレーションのデモも行われた。2人1組となった作業スタッフが、ウェアラブルカメラの映像を共有しながら指示に従い作業する

 事業説明ではこのほか、「AIコネクティビティデータセンター」としての取り組みの紹介もあった。2026年中に福井県美浜町のコンテナ型データセンターとのネットワークを開通させ、サービス提供予定だという。また、米GMI Cloudと提携し、2月から日本リージョンのユーザートライアルを開始するとした。

 OC1は同社の成長戦略の基盤であり軸となって、さまざまな顧客のビジネスを「つなぐ」データセンターを目指すとして、津田氏は説明会を締めくくった。

福井県美浜町のコンテナ型データセンターと接続
GMI Cloudのサービスでは、NVIDIA B200による環境を提供予定
データセンター内部の見学会も行われた
屋上に設置されている水冷用のチラー(熱交換装置)