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トレンドマイクロの新AIサービス「Kaleida」、セキュリティの概念を超え“家族の行動を守る”がコンセプト
個人向けブランド「TrendLife」の中核サービスをレポート
2026年4月16日 08:30
トレンドマイクロ株式会社は4月15日、事業戦略発表会を実施し、個人向けビジネスを「TrendLife」として展開することと、2026年第3四半期に提供予定の家族向けAIサービス「Kaleida」(カレイダ)を発表した。本稿では、このTrendLifeとKaleidaについて、詳しくレポートする。
発表会では、同社の全体的なAIを活用した戦略や、法人向けソリューション「TrendAI」の説明も行われた。詳しくは別の記事を参照いただきたいが、そちらで語られた「エージェント型AI」と「ソフトウェアの本質」の変化が、TrendLifeにも強く関係している。
現在「AI」と聞くと、多くの人はChatGPTのようなAIチャットを思い浮かべるかもしれない。エージェント型AIは、姿も働きもAIチャットとは異なり、より柔軟な存在になるとイメージした方がいいだろう。ユーザーから受け取る入力データはテキストや音声だけではなく、さまざまな行動の記録や健康データなど、日々蓄積される膨大なデータが含まれるようになる。また、ユーザーへの働きかけも、音声や通知機能などさまざまな形態になり、別のアプリをAIが操作することもある。そして、エージェント型AIはユーザーが操作しなくても、データを分析・判断し、AI側から自律的にユーザーへ働きかけるようになる。
これからのソフトウェアの本質は、「独自のデータを作成・収集し、データに基づく推論を行い、ユーザーの意思決定をサポートする」ものとなる。従来よりも自律的に多くのデータを収集し、より高度な分析を行って、ただ結果を提示するのではなく、ユーザーの意思決定に対してより柔軟なサポートを行える、といったイメージを持っておくといいだろう。
デバイスだけでなく、人の「行動」を守るのがTrendLife
「従来のセキュリティソリューションは、スマートフォンやPCといったデバイスのシステムを保護するものだった。TrendLifeは、人々の行動(ビヘイビア)を保護する」
トレンドマイクロのフランク・クオ氏(TrendLife 最高コンシューマー事業責任者)は、TrendLifeの特徴を、このように語った。まさに、今のサイバー攻撃者は、ユーザーの「行動」を狙っていると言える。ソーシャルエンジニアリングとも呼ばれる各種詐欺などの手法は、買い物や公共料金の支払い、旅行といったユーザーの行動の中で生じる隙を狙ったり、上司や取引先といった仕事の関係者を偽装したり、副業や儲け話を装ったりと、ターゲットの行動を分析したうえで、攻撃を仕掛けている。
従来のセキュリティアプリも「リンクを開く」とか「電話を受ける」とかいったユーザーの行動を保護していると言えなくもない。しかし、AIを活用したTrendLifeは、ユーザーの行動に対する「解像度」が段違いに高い、と考えるのがいいだろう。
開発中のKaleidaは、家族皆のスケジュールのほか、関係性や好み、共有したいこと/したくないことなどを理解するという。例えば詐欺対策機能でいえば、家族のデータや関係性だけでなく家族外の交友範囲、行動パターンなどまで理解し、従来のセキュリティアプリよりも高い確度でメールや電話による詐欺をブロックしたり、詐欺の可能性に注意するよう警告したりできると期待される。
子どもも親も心配な「サンドイッチ世代」をサポート
サイバー攻撃はあらゆる世代を狙う。未成年の子どもはゲームやSNS、マッチングアプリなどにおける犯罪被害が心配だし、高齢者はフィッシング詐欺のほか投資詐欺など特殊詐欺の被害事例が、しばしばニュースになる。子ども世代と親世代の両方の心配をしなければならない世代は「サンドイッチ世代」と呼ばれることもあるが、Kaleidaは、このサンドイッチ世代をメインユーザーと想定している。
未成年も高齢者も、それぞれ異なる上に日々巧妙化する脅威に囲まれており、ひとりひとりITリテラシーも異なれば、脅威に関する考え方も異なる。全員に適切なコミュニケーションを図り、セキュリティを保つのは大変なことだ。Kaleidaは、それをAIでサポートする。
しかも、ひとりひとりに対応するだけでなく、家族間の調整のようなことも行える。発表会中には「家族のルール」という言葉が使われたが、その後の取材において、クオ氏は「家族のコンテクスト」(文脈)という言葉も使った。ルールと聞くといささか厳格な印象も受けるが、コンテクストという言葉からは、同じ目線の高さからの寄り添いがイメージできる。
家族それぞれの関係性や価値観、その日の行動といったコンテクストを理解したうえで、家族が共有し尊重しているルールも考慮し、現在の状況において皆が納得できる解決案の提示を行う例のデモが、発表会では紹介された。
セキュリティだけでなく「Life」全体を守る
サンドイッチ世代の悩みは、セキュリティだけとは限らない。特に子どもの学びについては、AIの登場によって自分で考えなくなってしまうのではないか、という指摘もされる。また、AIで簡単に画像や動画を作成できることから、すばらしい作品ができても、何を自分がして、どこに自分の力が反映されたのか、分からなくなってしまうかもしれない。
TrendLifeは、子どもの学びや創造もサポートし、そのような広い意味で「Life」を守ることをコンセプトとしているという。発表会では、動画などの編集アプリのようなKaleidaのインターフェースも紹介された。
Kaleidaは、ユーザーの状況や目的・やりたいことに応じてAIモデルやソリューションを選択し、提供できるAIオーケストレーション(複数のシステムを連携させてソリューションを構築する)技術が基盤になっているという。そして、ただ回答を提供するのでなく、自分の力で考えることを促し、そのプロセスを記録し、フィードバックする機能も持つ。
「信頼されるAI」になることを重視
AIについて、そしてKaleidaについて、漠然とした不安を感じる人も少なくないだろう。ユーザーを深く知る機械があるとして、それをどこまで信頼していいのか? という疑問が浮かぶのは、当然のことと思われる。
トレンドマイクロも、もちろんそれを承知しており、「信頼されるAI」となることを非常に重視している。Kaleidaは家族に提案をすることがあっても、決して指示を出してコントロールするような存在にはならず、Kaleidaとの接し方は家族が決める。あくまでも人間が主であり、AIは従であると強調した。
いち早く試せる事前登録制プログラムも実施予定
現在開発中のKaleidaは、先述の通り2026年第3四半期の提供予定だが、早期提供に向け、事前登録制のプログラムも実施予定だ。
すでに、TrendLifeのウェブサイトには登録フォームが設置されている。試してみたい人は、今からメールアドレスを登録しておくといいだろう。












