“アニメの殿堂”基本計画が確定、あとは政権しだい


文化庁の玉井日出夫長官(左)と準備委員会座長の浜野保樹氏
漫画家の里中満智子氏

 マンガやアニメ、ゲームなどのメディア芸術を収集展示する拠点施設「国立メディア芸術総合センター(仮称)」設立に関する準備委員会は26日、施設の事業内容や管理運営のあり方などをまとめた基本計画を文化庁の玉井日出夫長官に提出した。

 基本計画には、歴史的価値のある作品や失われるおそれがある貴重な資料などを収集して保存・継承するとともに、メディア芸術の歴史的な流れを常設展や企画展などを通じて紹介することなどが盛り込まれている。

 メディア芸術総合センター設立にあたっては、2009年度補正予算に約117億円が盛り込まれている。これに対して民主党代表の鳩山由紀夫氏は、「巨大な国営マンガ喫茶」などと批判。民主党が政権を獲得した際には、施設の予算を執行停止する考えを示している。

 こうした動向について準備委員会の座長を務める東京大学大学院教授の浜野保樹氏は、基本計画提出後に開いた記者会見で「我々の役割は基本計画を策定すること。お金の使い方は政治家の先生に決めてもらいたい」と語った。

 その一方で浜野氏は、「文化を足がかりにしていないからこそ、経済がじり貧になっている」として、メディア芸術が軽視されていると指摘。その上で、メディア芸術などへの予算を増やすためには、「文化庁を文化省に格上げすべきだ」との思いも漏らした。

 会見に同席した漫画家の里中満智子氏は、「(民主党が)いまだに漫画喫茶やアニメの殿堂と言っているが、基本計画を読めば、この政策こそが国の文化産業の発展に貢献すると理解してもらえるはず。文化庁にも底力を見せてほしい」として設立に期待を示した。

 「国が文化輸出を支援しなければ100年後は惨めな結果になる。ルーブル美術館や大英博物館は文化発信力があるが、そこにあるのは他国の作品ばかり。幸いにもセンターは我が国の作品ばかりで作れる。100年後の効果を考えると、なんと少ない予算で作れるのかという声の方が大きい。」(里中氏)


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(増田 覚)

2009/8/26 20:03