都の青少年健全育成条例改正、グーグルやMS、楽天なども反対意見
ネットビジネスイノベーション研究コンソーシアムは12日、東京都議会に提出されている青少年健全育成条例の改正案について反対意見を表明した。
同コンソーシアムは、ディー・エヌ・エー、グーグル、マイクロソフト、ヤフー、楽天が幹事を務め、ケンコーコムや、慶應義塾大学の國領二郎氏(総合政策学部長)、同じく金正勲氏(政策・メディア研究科特別研究准教授)らもメンバーとして参加している。国の政策決定について課題を検討するなどの活動を行っており、2008年には一般医薬品のネット販売規制についての反対声明を出したことがある。
今回、コンソーシアムが反対している条例改正案では、「インターネット利用環境の整備等に関する規定を改めるほか、規定を整備する必要がある」(改正案)として、フィルタリングの水準に言及した規定や、青少年が利用するのに適した携帯電話端末を都知事が推奨する制度の導入、保護者が携帯フィルタリングを解除する際に「理由書」の提出を求める規定などを盛り込んだ。
コンソーシアムでは改正案について、「インターネットを基盤とする社会・文化・産業全般のイノベーション及び将来においてそれを担う青少年の育成に対する重大な阻害要因を含んでいる」と指摘。以下の4項目について、条例に盛り込むべきではないとしている。
- 東京都知事による、インターネットを利用して「有害な行為」、「被害」の「誘発」等を行った青少年の保護者に対する指導、助言及び調査等
- 「自己若しくは他人の尊前を傷つけ、違法若しくは有害な行為を行い、又は犯罪若しくは被害を誘発することを容易にする情報」等の曖昧・広範な文言による、フィルタリングサービスの水準の規定
- 東京都知事が特定の携帯電話を推奨する制度
- フィルタリング解除を認めるべき正当事由の限定
このうち「フィルタリングサービスの水準」は、フィルタリングソフト開発事業者やフィルタリングサービスの提供事業者に対して、努力義務として課すものだが、「それを背景に東京都が指導等を強め、表現内容に介入する危険性がある。すなわち、表現の自由・知る権利等を侵害する可能性がある」と指摘する。
例えば、学校名や顔写真がWebサイトに掲載されただけで「犯罪」を「誘発」しているとみなされたり、「バカ」「あほ」などの冗談なのかどうか判別が難しい言葉も「尊厳を傷つけ」ていると判断されるケースも生じる可能性があるという。
さらに、民間で進めている自主的取り組みに対して、「東京都が介入する下地を作り、Webサイト運営等への萎縮効果を与える」、子どもにどのような携帯電話を持たせるべきか、フィルタリングを解除するか否かといった「保護者の監護権に対し東京都が介入するもの」と指摘している。
楽天では、コンソーシアムの発表とは別に自社でも見解を発表。フィルタリングの水準の規定が事実上、都による「検閲」のおそれがあることや、健全サイトまでもが制約されかねず、正当な表現活動も阻害されてしまうおそれがあることなどの問題点を指摘している。
関連情報
(永沢 茂)
2010/3/15 15:33
-ページの先頭へ-