米Google、ウェブプログラミング構造化言語「Dart」を発表


 米Googleは10日、新プログラミング言語「Dart」を発表した。Dartは「ウェブ構造化プログラミング言語」と称され、ウェブアプリケーションのために必要な要素を備えているとされている。

「Dart」専用サイト

 Dartは、デバッグとメンテナンスを容易にし、巨大なウェブアプリケーションを開発するために考え出された。多くの場合、スクリプティング言語で開発されたウェブアプリケーションは、規模が大きくなるにつれて、デバッグ作業が非常に難しくなることが知られている。コードを速く書くことはできても、アプリケーションの他の部分との連携は、言語の構造よりも、開発者が書いたコメントに記述されていることが多く、実質的に当初の開発者以外の人がメンテナンスすることが難しくなっているという。

 こうした問題を解決するために、Dartは5つの設計目標を掲げた。1)構造化されていながらも、柔軟性のあるウェブのためのプログラミング言語を創造すること、2)Dartをプログラマーにとってなじみがあり、かつ自然にすることで学習しやすくすること、3)Dartによる成果物のパフォーマンスが高く、かつ起動時間を高速にすること、4)Dartを携帯、タブレット、ラップトップ、サーバーを含むウェブ上の全端末で適切に利用できるようにすること、5)Dartをすべてのメジャーモダンブラウザーで動作するために必要なツールを提供すること。

 Dartのコードは2つの方法で実行される。1つはネイティブバーチャルマシン上で、2つ目はDartのソースコードをJavaScriptに翻訳するコンパイラによって実行できる。

 実行環境にDartバーチャルマシンが存在すれば、そのまま動作する。もしなければ、JavaScriptに翻訳できるため、モダンブラウザーすべてで動作することになる。もっとも、翻訳のために実行スピードが遅くなることは言うまでもない。なお、小さなDartプログラムをブラウザーの中で編集して実行するための開発環境「Dartboard」も用意されており、チュートリアルはこの環境を使用して学びやすくしている。

 現時点でDartバーチャルマシンはGoogle Chromeに統合されてはいないが、発表では「我々はこの選択肢を検討する計画だ」と慎重な言い回しをしている。

Dart専用サイトで紹介しているサンプルコードの1つ。小さなDartプログラムをブラウザーで編集・実行するための開発環境「Dartboard」上で試せる

 言語の特徴として、Dartは開発者になじみのあるクラスやインターフェイスを備えている。また、オプションとして型を利用できる。アプリケーションの初期開発段階では型を使わずに開発を進め、後にプロジェクトが複雑化するにつれて型を利用できる――といった使い方が想定されている。また、ライブラリや開発ツールも提供されるとしている。

 Dartは発表されたばかりであり、今後普及するかどうかは全く未知の段階と言える。現在、言語の初期段階の実行環境や必要なツールなどがオープンソースで専用ウェブサイトにおいて公開されており、開発者たちに参加を呼びかけている。


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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2011/10/11 11:51