防衛省の2013年度概算要求、「サイバー空間防衛隊」編成などで212億円


 防衛省は7日、2013年度予算の概算要求の概要を発表した。そのうち「サイバー攻撃等への対処」の項目で212億円を計上しており、新たに「サイバー空間防衛隊(仮称)」を編成することなどを盛り込んでいる。

 サイバー空間防衛隊(仮称)は、サイバー攻撃などの対処を担う中核組織で、防衛省・自衛隊のネットワークの監視および事案発生時の対処を24時間態勢で行う。また、各自衛隊に分散しているサイバー攻撃に関する情報収集・調査研究を一元的に行い、成果を防衛省全体で共有するとしている。

 サイバー攻撃等への対処の項目ではこのほか、「ネットワーク監視態勢の強化」「サイバー演習環境構築技術に関する研究」といった運用基盤の充実・強化や、人材育成、外国との連携強化などが含まれている。

 サイバー攻撃対策に関する事業としては総務省も、「日本再生に向けたICT総合戦略の推進」事業の1つとして、新規に「新たなサイバー攻撃等に対応可能な総合的なセキュリティ環境の構築」を26.2億円計上している。

 標的型攻撃など、巧妙化・複合化するサイバー攻撃に対応可能な環境を実現するため、攻撃の解析・防御モデルを検討し、官民参加型のサイバー攻撃に対する実践的な防御演習を実施する。また、DDoS攻撃など、従来から存在するサイバー攻撃の発生予知・即応を可能とする技術を確立するため、諸外国と連携して情報収集・研究開発を実施するという。

 このほか警察庁でも、「警察庁サイバーセキュリティ重点施策」として2013年度に向けた体制整備などの施策を検討・推進することを発表。主要都道府県警察に地方警察官を増員して「サイバー攻撃対策隊(仮称)」を新設すること、警察庁警備局に「サイバー攻撃対策官(仮称)」を新設することなどを盛り込んでいる。

 サイバー攻撃対策隊(仮称)では、情報通信部門と連携して、サイバー攻撃の被害の防止、初動対処、捜査に専従する。一方、サイバー攻撃対策官(仮称)は、警察庁におけるサイバー攻撃対策に関し、海外機関との情報交換などによる情報収集・分析機能、都道府県警察に対する司令塔機能、関係省庁との総合調整機能を強化するためのもの。


関連情報


(永沢 茂)

2012/9/10 14:40