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「人に優しいファイル同期」で差別化、SugarSync創業者が語る競合優位性

 PCやスマートフォン、タブレットなど複数の端末でファイルを同期できるオンラインストレージサービス「SugarSync」の新バージョン「2.0」が2月14日に公開された。これに伴い、米SugarSyncのCEOを務めるLaura Yecies(ローラ・イーシーズ)氏が来日。弊誌のインタビューに応じ、競合であるDropboxやGoogle Driveなどに対する優位点、ユーザー拡大のための戦略、お勧めの利用方法などについて語ってくれた。

「使いにくい」から「誰でも使える」サービスに

米SugarSyncのCEOを務めるLaura Yecies(ローラ・イーシーズ)氏

 SugarSyncは、テキストや写真、音楽などのファイルをクラウド上のオンラインストレージにバックアップし、複数の端末で同期できる。5GBまでは無料で利用でき、さらに容量が必要なユーザーには、追加のディスク容量を有料で提供している。

 バージョン2.0では、ファイルやフォルダーをドラッグ&ドロップで共有できるようにするなど操作性を改善。ユーザーから最も要望が多かったというファイル名による検索機能も搭載した。

 SugarSyncと同様のオンラインストレージサービスとしては「Dropbox」が多くのユーザーを集めているほか、Googleが「Google Drive」、Microsoftが「Sky Drive」を投入するなど大手企業も参入している。

 競合に対しては、「同期するフォルダーを自由に選べたり、ファイルをローカルに同期せずにクラウド上にのみ保存できるなどの機能面で優位に立っています」と、ローラ氏は自信に満ちた表情で語る。

 「以前のバージョンでは多機能であるがゆえに、操作方法がわかりづらいという声もありました。また、デスクトップ版やウェブサービス、スマートフォンアプリでユーザーインターフェイスが異なり、使いにくいという声も。バージョン2.0の開発にあたってはユーザー調査を徹底し、『誰でも使える』サービスを意識しました。」

パートナー戦略や容量アップキャンペーンでユーザー数が1年で5倍に

 ユーザー数は非公開だが、「2011年から2012年にかけて5倍増えた」とイーシーズ氏。ユーザー増の背景には、サムスンやレノボなどと提携し、スマートフォンやタブレット、ノートPCにSugarSyncをプリインストールしたり、80以上のアプリやハードウェアと連携したことを挙げる。ユーザーを紹介することでファイル容量が増える施策も奏功しているという。

 主な収益源はユーザー課金。全体に占める有料ユーザーの割合は公表していないが、「一般的なフリーミアムモデルのウェブサービスよりは高い程度」だとしている。

 今後は、全体の50%を占める法人ユーザーの需要を増やしていく方針。現在の法人利用で多くを占める個人・中小規模の事業者だけでなく、大企業への導入にも注力する。国内では提携先のBBソフトサービス株式会社を通じて法人市場を開拓していく。

 具体的な機能は明かされなかったが、90日以内に管理者向け機能やセキュリティ面を強化する。将来的には、Active Directoryのユーザー情報を利用したアクセス制限の管理にも対応し、1000人以上の規模の企業にも導入を図る。

SugarSync創業者がお勧めするファイル同期の冴えたやり方

 同期するフォルダーを自由に選べるSugarSyncならではの機能をビジネスでもプライベートでもフル活用しているというイーシーズ氏。

 ビジネスではドキュメントフォルダーを同期対象とし、その中にプロジェクトごとのフォルダーを作成することで、PCやモバイルから重要な書類にいつでもアクセスできる体制を整えている。PCのデスクトップにファイルを保存しがちの人であれば、デスクトップを同期対象にすることもでき、「ファイルの同期忘れがない」のが強みとイーシーズ氏は語る。

 「DropboxやGoogle Driveなどの競合は、それらのサービスが指定するフォルダーに同期したいファイルを保存しなければならず、ワークスタイルを変えなければいけません。つまり、技術ありきの考え方です。技術というものは本来、ライフスタイルに合わせるもので、人に優しくあるべきなんです。」

(増田 覚)