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つぶやきビッグデータで見える人々のシンクロ、米Twitterが“パルス”可視化
(2013/8/2 06:00)
テレビのスポーツ中継で劇的な展開になった時などに視聴者が一斉にTwitterにつぶやくように、世の中の出来事がTwitterユーザーをシンクロさせることがあるが、膨大なツイートデータを可視化した結果、より大きなスケールで世界各地の人々がシンクロしている様子が浮かび上がっていたという。7月31日付の米Twitter公式ブログで、同社のデータアナリストらによる分析レポート「Visualizing the“Pulse”of World Cities on Twitter」を紹介している。
同ブログによると、こうしたシンクロを引き起こす要素としては、自然現象、日課、文化の3つがあるという。まず自然現象だが、世界6地域において「sunset」に関するツイートがつぶやかれた時刻(現地時間)を1年を通じてマッピングしていったヒートマップを見ると、ツイートが集中している時間の帯の形が地域によって異なっていることが分かる。
「sunset」に関するツイートは当然ながら日没時に多くツイートされることから、この帯はそれぞれの地域の日没時間と一致することになる。赤道近くの地域では1年を通じてほぼ同じ時刻に直線上に集中しているのに対し、緯度が上がると季節により日没時間が変動することから帯は山なりになっており、北半球と南半球で凹凸が逆になる点もきちんと再現されている。
また、「sunset」に関するツイートが1日のうちのどの時間で多くつぶやかれているか、1分あたりのツイート数を示したグラフもある。ここからも、赤道近くの地域では1年を通じて一定の時間に集中しているのに対し、例えばニューヨークなどでは季節によって異なり、16~21時に分散しているのが分かる。
次に日課によるシンクロについては、「good morning」といったツイートがつぶやかれた時間をヒートマップ化して説明。多くつぶやかれる時間帯が、夏時間の期間に合わせてシフトしている点などを指摘している。
最後の文化的なシンクロについては、特定のキーワードではなく、全ツイートの数をヒートマップ化したものを用いて説明している。サウジアラビアのリヤドのヒートマップを見ると、ツイートが比較的少ない時間が1日のうちに何度かあり、1年を通じて見ると、ヒートマップの色が薄い5本の帯となって浮かび上がっている。これは、イスラム教徒が1日5回行う祈りの時間にはツイートが減ることを反映しているという。そのうちの2回は日の出・日没に合わせて行われるため、帯もそれぞれ日の出・日没の時間と一致する。
中でも7~8月にかけてのラマダンの期間は、日没の時間の帯が他の時期に比べて色が薄く、非常にくっきりと出ている。これは、ラマダンで日中に断食をしているため、日没とともに食事に集中し、ツイートどころではないためとみられる。同期間中は、日中の時間帯のツイートも少なく、ヒートマップが薄くなっているのも特徴的だ。
このようにつぶやきビッグデータを可視化することで、Twitter上で行われる会話の“パルス”を浮かび上がらせた研究レポートでは、Twitterユーザーが多い世界50都市について分析したとしており、そのうちの8都市についてヒートマップを掲載している。
例えばニューヨークのヒートマップは、くっきりとした1週間単位のしま模様が1年を通じて繰り返されているのが特徴。朝の内はツイートが活発になる時間帯が平日よりも週末の方が遅いことや、平日の勤務時間帯はツイートが少なく、週末の同じ時間帯になると増加することなどが反映されているという。また、公立学校の年度替わりで長期休暇となる7~8月には、深夜遅くまで多くツイートが行われていることも表れているとしている。
一方、東京のヒートマップは、1週間単位のしま模様があるのは同じだが、ニューヨークほど濃淡がはっきりしておらず、平日と週末であまり差がない。季節的な変化も見られないとしている。
同レポートでは、このほかにもイスタンブールやジャカルタなどのヒートマップもあり、リヤドと同様にイスラム教徒の多い都市であっても、それぞれ特色があることをが分かる。