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PS5のWi-Fiが6割も高速化! 最新アップデート+Wi-Fi 6で下り600Mbps弱を確認
2021年4月15日 11:00
株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、家庭用ゲーム機「プレイステーション 5(PS5)」のシステムソフトウェア・アップデートを4月14日に実施した。
PS5初の大型アップデートとして注目されている内容だが、公開されたアップデートを適用して検証したところ、Wi-Fi 6での通信速度が6割ほど高速化されていることが判明した。ひとまずの検証では、下り600Mbpsの実効速度を確認している。
公式告知には含まれていないこの「Wi-Fi 6高速化」、さっそく状況を確認したので、お伝えしたい。
なぜか思うようなスピードが出なかったPS5のWi-Fi 6の通信速度
さて、本論に入る前に書いておかなければいけないのが、「PS5での今までの通信速度について」だ。
筆者はこれまで、PS5のWi-Fi 6に関わる記事を何度か執筆しているが、PS5のWi-Fi 6の通信速度は、なぜか思うような数字が出ていなかった。
Wi-Fi機器の場合、環境との相性や設定などでこうしたことが起こることもあり、「筆者環境だけの問題」ということもあり得るからだ。
そこで、しっかり調査・検証してから記事にするべく、原因分析と諸方面への問い合わせをしていたのだが、そこに現れたのが今回の最新アップデートだ。
このアップデートを告知する公式ブログには「(告知内容は)アップデートのごく一部にすぎません。ぜひ実際にお試しいただき、皆さんの感想をお聞かせください。」とある。
Wi-Fiの速度に関する公式な告知はないが、高速化されている可能性もある得ると考え、今回のアップデート前後で、PS5のWi-Fi 6の通信速度を測定したみたところ、高速化が確認できた次第だ。
測定は中堅クラスのWi-Fi 6ルーターで実施、リンク速度は1201Mbps
測定に使用したWi-Fi 6対応ルーターはバッファロー「WSR-5400AX6」。実売価格1万5500円前後ながら、最大4803Mbpsで通信できる中堅モデルだ。PS5側のWi-Fi 6の仕様により、リンク速度は1201Mbpsとなる。
通信速度は、PS5に標準で用意されている通信速度テストで測定した。PS5にはウェブブラウザーが搭載されておらず、スピードテストサイトなどが利用できないため、基本的にこれ以外の測定方法が使えないためだ。
PS5標準の通信速度テストでは、SIEのサーバーとの間で512MBのダウンロード・アップロードが行われる。インターネット回線やSIE側のサーバー状況による影響を受けやすく、どこにボトルネックがあるのか分かりにくいのが難点だ。
Wi-Fi 6で約6割高速化! 最速記録は582.7Mbps!
テストに使用した筆者宅のインターネット回線は、SIEと同じソニーグループのインターネット接続サービスである「NURO光 for マンション」。PCでインターネットのスピードテストサイトを試すと、下り約900Mbps、上り約700Mbpsとなっていた。テストは、NURO光向けのWi-Fi 5対応ホームゲートウェイ「HG8045Q」での測定も合わせて実施した。
結果を見ると、Wi-Fi 6接続であるWSR-5400AX6の下り速度だけが大幅に向上しているのが分かる。しかし、上りはさほど変わらず、またWi-Fi 5接続の「HG8045Q」でも速度の変化は見られなかった。
アップデート前 | アップデート後 | ||
WSR-5400AX6(Wi-Fi 6) | 下り | 304.5 | 492.1 |
上り | 246.8 | 245.1 | |
HG8045Q(Wi-Fi 5) | 下り | 237.7 | 227.5 |
上り | 252.1 | 246.2 |
※値は(下り/上り)。単位はMbps。各5回実施し、平均値を掲載
従来はWi-Fi 5とWi-Fi 6の速度に差がほとんどない状態だったが、アップデートにより、Wi-Fi 6の下り速度が向上しており、Wi-Fi 6で接続するメリットが大きく向上した。
ただ、計測値にはやや幅がある。例えば、アップデート後の「WSR-5400AX6」の通信速度を測定した内容を確認すると、5回測定したうち、画面の552.6Mbpsなど、600Mbps近い値を何度か記録した一方、一番遅い場合は399.1Mbpsとバラツキがあった。この原因が、Wi-Fi接続なのか、SIEのサーバー側なのか、はたまたインターネット回線なのか、切り分けられないのがもどかしい。
ともあれ、システムソフトウェアのアップデートによりWi-Fi 6が高速化されたのは間違いないし、アップデートにより改善できることが分かったことも安心できるポイントだ。Wi-Fi 6自体もまだ新しい規格だけに、さらなる高速化と安定化に向け、今後のアップデートにも期待したい。