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住んで分かった福岡拠点でのオフの楽しみ方、IT系移住者のための市内お買い物巡回ルート+九州の聖地巡礼スポット3選

 昨年11月に掲載した『住んで分かった福岡移住とリモートワーク環境、IT系移住者が感じた福岡の魅力とは』という記事では、福岡に拠点を持ち始めた筆者が、住環境のコストパフォーマンスの良さと、東京など日本の各都市やアジア各都市への交通至便さについて書いた。生活のコストパフォーマンスがよく、かつ食事が美味しいと言われる福岡。生活や仕事環境がよくても、オフが楽しめなければ魅力は半減だ。そこで今回は、住んで分かった福岡レポートの第2弾として、オフの楽しみ方について紹介したい。

天神駅前
カホパーツセンター
カルチャーアーツ
太刀洗レトロステーション
音楽館
指宿いわさきホテル

量販店から電子パーツショップ、レトロゲーム専門店までそろった博多・天神エリア

 オフの楽しみ方の1つには、買い物があるだろう。オンラインもいいが、リアルでも商品を見たいところ。九州地方最大の都市だから、定番のチェーン店はだいたい出店している。ほぼ出そろった感はあるが、最近では福岡都心の天神南駅から地下鉄七隈線で六本松駅(天神と同じ中央区)まで行ったところに蔦屋書店が出店し、福岡では話題のスポットとなっている。

 秋葉原的なギークな買い物に限れば、博多駅周辺と天神駅周辺に点在しているので、両駅を拠点に歩けばだいたい事足りる。なお、博多駅と天神駅は地下鉄で行く方法と、100円で乗れる路線バスで行く方法があるが、後者は時間がかかるので注意が必要だ。

 まずはオフィスビルの多い博多駅周辺から。

博多駅前

 博多駅は、天神やキャナルシティ側で華があり、映像でもよく出てくる「博多口」と、その反対の「筑紫口」がある。筑紫口に「ヨドバシカメラ マルチメディア博多」やPCショップが複数ある。

 PCショップは、ほぼ同じ区画内に新品パーツを扱う「ドスパラ」、中古PCやスマホを扱う「じゃんぱら」、それに「マウスコンピューター」の販売店がある。また、ヨドバシカメラ近くのガードを抜けて線路の反対側(博多口)に行くと、「BOOKOFF」や「GEO」もあり、こちらは中古家電や中古スマートフォンを扱っている。

 次に、商業施設が集積する天神駅・西鉄福岡(天神)駅のある天神エリアについて。

天神駅前

 天神には、家電量販店の「ビックカメラ」と「ベスト電器」がある。ビックカメラは、西鉄のガード下にあり横に長い1号店と、西鉄の駅の西側にある2号店の2店舗があり、両店はそう離れてない。1号店では、格安スマホ、PCやPCパーツ、カメラなどを扱い、また、店内には小さいながらソフマップも入っていて中古商品も販売されている。2号店ではスマートフォンやカメラ、おもちゃ、白物家電などを扱っている。

 地下鉄の天神駅に近いベスト電器は、ビックカメラやヨドバシカメラに比べると取り扱い商品は少ないものの、7階には1フロア丸ごとPCパーツショップの「ツクモ」が入っている。福岡の家電量販店は複数あるものの、展示品を専門に格安で販売するアウトレット店はない。

 地下鉄天神駅の北側には「BOOKOFF SUPER BAZAAR」があり、家電やスマートフォン、ゲームなどの取り扱いがそれなりに期待できる。また、アニメやゲームのサブカルチャーでは、天神駅北側に「とらのあな」が、地下鉄天神駅と赤坂駅の間に「まんだらけ」がある。

 加えて天神エリアでは、ビックカメラ近くに九州唯一という電子パーツショップ「カホパーツセンター」や、天神駅の北側にレトロゲーム専門店「カルチャーアーツ」という尖った店がある。いずれも地元民御用達ではあり、品ぞろえも頑張ってはいるが、秋葉原までとはいかないのは仕方がないところ。例えばカホパーツセンターは、Raspberry Piで何かを作り上げることはできるけれど、明確に目的を持ってRaspberry Piで何かを作ろうとすると不足するといったところか。

カホパーツセンター

 中古商品を扱うまんだらけとカルチャーアーツでは、気軽に入手できるものはもちろんのこと、レアなものもしばしば売られている。まんだらけのフロアは今回挙げたショップの中では広い部類だ。

 カルチャーアーツは、それほど大きくないスペースにぎっしりとレトロゲーを展示販売。加えて店舗の一部が、10台程度ビデオゲームを主に設置しているレトロアーケードゲームコーナーとなっていて、ファンには居心地のいいスペースを提供している。カルチャーアーツについてはオフィシャルのYouTubeアカウントがあり、動画で雰囲気を見ることができる。マンションの1室にあるので、少々分かりにくいかもしれない。だが、隠れ家的お店と思えばそれもまた楽しいだろう。Google マップなどで調べればすぐに分かるのではないか?

カルチャーアーツにはレトロゲームがぎっしり。掘り出し物も
カルチャーアーツのゲームコーナー

ちょっと足を延ばして、骨董家電・レトロゲームマニアの聖地訪問はいかが?

 ここまで紹介したお店は、総じて言えば、福岡でもアキバほどではないにしろモノはそれなりにそろう、という特徴がある。

 エリアを九州に広げれば、実は東京周辺にないクラスの、日本中の知る人ぞ知るマニア絶賛の施設に行くことができる。購入することはできないので、買い物ではなく観光ということになるが、手間暇かけても、オフの日の巡回(巡礼?)ルートとして見ておきたい場所だ。

 まずは、久留米に近い筑前町や朝倉市にある、骨董品クラスの家電を展示している博物館「太刀洗レトロステーション」や「音楽館(おんらくかん)」という施設。

 太刀洗レトロステーションは、第3セクターの甘木鉄道の太刀洗駅の駅舎を利用したものなので駅を降りたらすぐだが、音楽館は山中の集落にあり、クルマは必須となる。いずれも館長の渕上宗重氏が個人で40年がかりでコレクションしたものではあるが、個人のコレクションというには信じられないほど多く、特に蓄音機やレコードプレーヤーやアンプなどアンティークなオーデイオ機器のコレクションは比類ないものだ。

太刀洗レトロステーション
「パナピック」(太刀洗レトロステーション)
「ソノシート」と呼ばれるレコード(太刀洗レトロステーション)
音楽館
館長の渕上宗重氏(音楽館)
(音楽館)
(音楽館)
(音楽館)
(音楽館)
(音楽館)
(音楽館)
(音楽館)

 また、同じ九州とはいえ遠出となるが、鹿児島県指宿市にある「指宿いわさきホテル」。ここのゲームコーナーはレトロゲームマニアの聖地と呼び声高い場所で、日本でも数少ない「アフターバーナーII」や「スペースハリアー」の筐体が現存する。コインを投入してゲームは遊べるが、筐体自体はムービングしないというものもある、そこは四半世紀以上前のモノばかりなので、実機を見て遊べることだけでも感動しよう。なお、同ホテルに取材したところ、部品を取り寄せ修理して動かせるようにしたいと言っていた。

ファンには聖地とも呼ばれる、指宿いわさきホテルのゲームコーナー

IT・ガジェット系イベント/セミナーもいろいろ開催、お仕事の人脈開拓に

 さて、話は変わるが、福岡での横のつながりを強化するべくイベントやセミナーに参加するのも、オフの過ごし方の1つ。天神と赤坂の間にある官民共働型スタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next」では、頻繁にセミナーや交流会、ピッチコンテストを開催している。

 また、福岡各地でIT系セミナーが開催されているので、まめにセミナー情報を検索するといいだろう。福岡を拠点にするということは、西日本を中心に顧客を新規開拓することもできる。東京で新規顧客を開拓するよりも競合が少ないわけだ。この辺も魅力といえよう。

 このほか、パソコン/マイコン/デジタルゲームなどの展示会「九州電遊博(KYUSHU COMPUTER & GAME HACK)」や、ガジェット系イベント「めんたいガジェットフェス」(いずれも不定期)など、多数のホビー系イベントがある。移住となると知り合いが少ないのが悩みの種だが、こうしたイベントで趣味の人脈も開拓するといいだろう。