特集
住んで分かった福岡での仕事の探し方/IT系ワークの見つけ方、福岡市に聞いてみた
(福岡移住で押さえておきたいサイト集)
2019年2月8日 06:00
東京出身で福岡に拠点を構えた筆者が、福岡移住の魅力について書いた「住んで分かった福岡」シリーズ。その第1弾では、リモートワークを前提とした東京や大阪へのアクセスの良さと住環境の良さとコワーキングスペースについて、第2弾では、福岡のパーツショップなどのショップ紹介やIT系セミナー参加などのオフの楽しみ方についてレポート。住環境が大変いいことで知られている福岡だが、コワーキングスペースが十分あり、フリーランサーが働きやすい場所であること、また、福岡市内にゲームや各種パーツなど趣味の店もそれなりにあることを紹介した。
さらに最近では、LINE Payで動植物園などの公共施設や福岡名物の屋台での支払いが利用可能になるキャッシュレス実証実験をはじめ、シェアサイクルの「メルチャリ」、シェアキックボードなどのラストワンマイルの移動、スマート宅配ボックス、それにLINEによるAI引越しや、スポーツテック(スポーツへのIT導入)の実証実験を行うなど、他の地域と比べても最新のテクノロジートレンドを積極的に取り入れている。福岡は、エンジニアにとってやりがいのある環境で魅力的に感じるのではなかろうか。
福岡市の平成30年度の市政運営方針によれば、「人と企業を呼び込むスタートアップ都市づくりを目指す」とし、「IoTなどを活用した実証実験を支援するとともに、ビッグデータやAIの活用促進などに取り組み、最先端の技術を暮らしやまちづくりの様々な場面で活用する超スマート社会へのチャレンジを進める」としている。運営方針に大きな変更がない限り、最新テクノロジーの実証実験を行おうとする姿勢は変わらないだろう。
LINEをはじめIT企業が続々と進出している一方、福岡のIT業界が抱える問題として、学生数は多いことから、若い人材は豊富だが、リーダークラスの人材が不足しているという問題がある。つまり、東京からの経験者が必要とされている。そうした状態が恒常的に続いている一方で、東京の企業からは「開発者はいるのだろうか」という疑問があり、福岡の地場企業からは「成長させるためには東京などからの人材がほしい」というニーズがある。
福岡でIT人材の経験者が必要な中で、福岡で仕事を見つけるにはどうすればいいのか。
そこで、福岡市でのクリエイティブ系の仕事を探すための方法を福岡市に聞いてみた。なお、取材には経済観光文化局創業・立地推進部企業誘致課の山下氏と内田氏が対応してくれた。
福岡市がクリエイティブ人材募集の入口として用意しているのが「福岡クリエイティブキャンプ」だ。平成27年から29年までは人材紹介業務を「マイナビ」に委託して行い、人力でじっくりと相談を行い、平成30年からは「ビズリーチ」に委託し、同社の求人検索エンジンの「スタンバイ」を活用したサイトに変更した。また、スタンバイを活用した、コンテンツは同一の「福岡市公式 求人検索アプリ by スタンバイ」をリリースした。山下氏は「登録企業もマッチングの実績も増えている実感はある。福岡での人材不足感が年々高まっているなかで、インターネットを使った手法に変えた」と語った。
山下氏は「今後も人材募集の手法や委託先が変更する可能性がある」としながらも、「まずは福岡クリエイティブキャンプのサイトを見れば、その時々で行っているサービスを見ることができるようにしたい」としている。
なお、福岡への転職・移住で民間で見るべきサイトは何か?と尋ねたところ、両氏がまず挙げたのが「福岡移住計画」というサイトだ。これは福岡に移住することを紹介するサイトで、IT系の人材マッチングよりもう少し広げて応援するものだ。情報提供、仕事の紹介、住宅の紹介などのコンテンツがある。
エンジニア向けイベントカレンダーを提供する「エンジニアフレンドリーシティ福岡」や、テクノロジー、IT系企業、スタートアップ企業の交流イベント「明星和楽」も押さえるべきだとする。ほかにも AIコミュニティや福岡市IoTコンソーシアムなど、一部テクノロジーについては産業を推進したい福岡市がバックアップするコミュニティがあるので、確認したほうがよいだろう。
リアルでは、中心地「天神」の(旧大名)小学校の旧校舎を活用したスタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next(FGN)」に行けば、カフェあり、コワーキングスペースあり、誰かしらと会えて何かしら知ることができる。こちらは第1弾の記事に現地レポートを書いたが、2019年5月31日よりリニューアルオープンするとともに、2019年6月以降の入居者募集を行っている。リニューアルオープン後は、「グローバルアクセラレーターと連携」「FGNを拠点とする10億元規模のスタートアップファンドを組成」「独自のハンズオンプログラム提供」「エンジニア支援育成プログラム」などの施策を打ち、アジアNo.1のスタートアップ支援施設を目指すとしている。
流れとしては、「福岡で働こうかな、どんな仕事があるのかな」という関心を持ったら、まずは福岡クリエイティブキャンプ。福岡で働くのが現実的となったら福岡移住計画や、エンジニアフレンドリーシティ福岡、明星和楽を見る。また、こうしたサイトなどから産業別のコミュニティがあればそれを見る。福岡で暮らし始めたら、前述のサイトを利用する以外にも、Fukuoka Growth Nextを訪ねる――というかたちとなる。福岡への移住を希望するエンジニアは、いずれのサイトも押さえておきたい。