スマホで確定申告
第3回「マイナンバーカード方式で提出」編
「iPhoneとマイナンバーカード」を使ってe-Taxするには? 挑戦手順をガッツリ説明
2020年3月18日 07:00
“スマホで確定申告”の手順を詳しく紹介するプチ連載、第1回は「書面で提出」する申告手順、第2回は「ID・パスワード方式」によるe-Taxの申告手順を紹介した。第3回は「マイナンバーカード方式」によるe-Taxの申告手順を紹介しよう。
書面提出かe-Taxか、提出方法で操作が異なる
今年、2020年からマイナンバーカード方式による申告書の提出が可能となり、今年は以下の3つの提出方法から選択できる。
①書面
②e-Tax(ID・パスワード方式)
③e-Tax(マイナンバーカード方式)
新機能の1つ、③のe-Tax(マイナンバーカード方式)は、マイナンバーカードを持っている人が対象となる。令和2年1月のマイナンバーカードの人口に対する交付枚数率は15%(マイナンバーカードの市区町村別交付枚数等について(令和2年1月20日現在))。加えてマイナンバーカードが読み取れるスマートフォンも機種が限定されているので、実際にe-Tax(マイナンバーカード方式)で提出できるのは一部の人に限られそうだ。
“スマホで確定申告”の全体の流れは、A:提出方法の選択、B:所得の入力、C:控除の入力、D:出力・提出の4ステップ。各ステップの概要は以下のとおり。
[A:提出方法の選択]→書面提出、e-Taxなどの選択
[B:所得の入力]→給与所得、公的年金所得、雑所得などの入力
[C:控除の入力]→医療費控除、寄附金控除、配偶者控除などの入力
[D:出力・提出]→PDF出力し書面提出、e-Taxで送信など
AとDは確定申告書の提出方法によって操作が異なってくる。第3回は「②e-Tax(マイナンバーカード方式)」による提出を紹介しよう。第1回と第2回で副業の収入の申告や医療費控除、iDeCoの控除の手順を紹介したので、今回は事例の部分は割愛。マイナンバーカード方式による[A:提出方法の選択][D:出力・提出]にフォーカスして紹介したい。
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[A:提出方法の選択]
操作を始めよう。「国税庁 確定申告書作成コーナー」を開くと、パソコンとスマートフォン、それぞれ異なる画面が開く。
スマホ画面の最初に「消費税、贈与税、収支内訳書、青色決算書はパソコンへ」とあるように、個人事業主の確定申告にスマートフォンは対応していない。
[A:提出方法の選択]で「②e-Tax(マイナンバーカード方式)」を選択する手順
まずは[作成開始]をタップ。
提出方法の選択で「e-Tax(マイナンバーカード方式)」を選択。
マイナポータルAPとe-Taxアプリ、2つのアプリをインストールする。インストールするだけで、アプリの操作は不要。
マイナポータルAPをインストール。スコアは低め。
続いてe-Taxアプリをインストール。
2つのアプリのインストールが済んだら、[マイナポータルへ]をタップ。
[マイナンバーカードでログイン]をタップ。
利用者証明用電子証明書のパスワードを入力し[次へ]。
画面の指示のように、「iPhoneの上部をマイナンバーカードの中央に置き」(←ここ重要)[読み取り開始]をタップ。
マイナンバーカードの読み取りに失敗すると、エラー画面が表示される
このエラーが出た理由はマイナンバーカードに乗せたスマホの位置が正しくなかったからだ。筆者はマイナンバーカードとスマホの上端が一致するくらいの位置に置いて読み取りに失敗した。正しい位置は画面に表示されているように「iPhoneの上部がカードの中央に重なる」で、少しスマホの位置を下げることで読み取りができた。説明をよく読め>筆者。
スマホの位置を変えながら試すと、上限はマイナンバーカード上段の名前が隠れる位置に置くとNG。下限はマイナンバーカードの顔写真が全て見える位置に置くとNGだった。結果、少しスマホの位置を少し下げると、ほぼほぼOKのようだ。
情けないことに、この位置に気付くのにそこそこ時間を要した。そのためか、その後「サーバーエラー」が発生。
それ以外にも、エラー表示は何度もあった。
クルクルと回ったまま、画面が切り替わることなくフリーズした。
マイナンバーカードに関する操作は、エラーで止まると前の画面に戻れず、最初からやり直すなど少々苦戦した。筆者の環境や操作方法のせいかもしれないが、読者も少し覚悟してチャレンジしていただきたい。
カードの読み取りが完了。
マイナポータルのサイトが開き、メールアドレスを登録することができる。
確認画面に切り替わり[完了]をタップ。
アカウント情報の登録が完了し、メインメニューへ。
同意確認の画面が表示される。この画面、スマホ用ではないようで、横長のデザイン。ちなみにこの画面は上下2画面、左右3画面、計6画面をキャプチャしてつないである。右端まで横方向にスクロールして[同意]をタップ。
アカウント登録用情報の送信をするため、マイナンバーカードを読み取る。
券面事項入力補助用のパスワードを入力して[次へ]をタップ。この後、マイナンバーカードに上にスマホを置いて読み取りを行う。以下、何度もスマホを読み取るので、その画面は省略する。
マイナンバーカードから読み取られた氏名、生年月日、住所、性別がなぜか薄い文字で表示される。確認して[送信]をタップ。
[マイナンバーカードの読み取り]をタップ。
利用者証明用電子証明書のパスワードを入力して[次へ]をタップし、マイナンバーカードに上にスマホを置いて読み取りを行う。
読み取りが完了すると「Safariを確認してください」と表示されるので[閉じる]をタップ。
マイナポータルAPのトップ画面に切り替わったら、左肩のSafariをタップ。
筆者はすでに利用者識別番号(ID・パスワード)を取得済みで、e-Taxの利用もしているため、「もっとつながる」の設定(←謎なタイトルだ)という画面が表示された。氏名、生年月日、住所、性別、利用者識別番号が表示され、その下の[同意]をタップ。
「つながり完了」とやや謎タイトルな画面に切り替わったら、[国税電子申告・納税システム(e-Tax)を利用する]をタップ。
[申告書等の作成へ]をタップ。
これでマイナンバーカードを使用してスマホで確定申告をする事前準備が完了。一番最初の画面に戻って来る。
正直、書面やID・パスワード方式と比べ、マイナンバーカード方式は事前準備がなかなか長い道のりだ。ここからやっと所得や控除の入力へ進むことができる。
初めてe-Taxを利用する人の手順
筆者のスマホに表示された画面と読者のスマホに表示され画面が異なっている可能性が高い。国税庁の資料によると、初めてe-Taxを利用する人は、マイナポータルAPのトップ画面で左肩のSafariをタップしたあと、以下の画面が表示されるようだ。ここからは国税庁の資料を元に初めてe-Taxを利用する人の手順を紹介しよう。
[初めてe-Taxをご利用される方はこちら]をタップ。
利用者情報の入力画面が表示されるので、氏名、生年月日、住所などを入力し[確認]をタップ。
提出先の税務署の確認画面が表示される。
「既に利用者識別番号を取得されている方へ」という注意画面が表示される。このまま進むと、すでに取得しているID・パスワードが無効となり、新しいID・パスワードが発行される。e-Taxが初めてで、ID・パスワードを取得していない人は[OK]をタップ。
入力内容の確認画面がが表示される。長い画面の真ん中付近に「納税用確認番号」が表示されているので、スクリーンショットを保存しておこう。
利用者識別番号の通知希望確認が表示されたら「利用者識別番号の通知を希望する」にチェックが付いていることを確認して[OK]をタップ。
利用者識別番号が表示されるので、これもスクリーンショットを保存しておこう。
「もっとつながる」の設定という謎タイトルな画面で[同意]をタップ。
ここからは同じ操作で、横長の「つながり完了」画面で[国税電子申告・納税システム(e-Tax)を利用する]をタップ。次の画面で[申告書等の作成へ]をタップすると一番最初の画面に戻って来る。
この先しばらくは、これまでの第1回の①書面、第2回の②e-Tax(ID・パスワード方式)と同じ手順なので、収入や控除の入力は大雑把にお見せしよう。まずは[作成開始]をタップしよう。
なぜか書面も選択肢として表示されるが[e-Tax]を選択して[次へ]。
画面が下に広がるので、質問に回答する。
e-Taxアプリのインストールを促す画面が出るが、すでにインストール済みなので[同意して次へ]。
住所等の情報の確認・訂正を行う。
収入、所得を入力する。
控除を入力する。
[D:出力・提出]でe-Tax(マイナンバーカード方式)を使って申告書を送信
入力が完了し、納税・還付の額が表示されると、その先は新しい手順となる。「送信前の申告内容確認」画面が開くので、[帳票表示・印刷]をタップするとPDFで申告書の確認ができる。問題がなければ[次へ]。
特記事項の記入欄が表示される。何もなければ[次へ]。
残り6ステップでe-Taxの送信作業が終わることが表示される。まずは[署名を付与する]をタップ。
署名用電子証明書のパスワードを入力して[次へ]で進み、マイナンバーカードにスマホを乗せて読み取りをする。
読み取りが完了したら[閉じる]をタップ。
STEP 2に移り、[証明書を読み取る]をタップ。
利用者証明書電子証明書のパスワードを記入して[次へ]をタップ。
読み取りが完了したら[閉じる]をタップ。
マイナポータルAPの画面が表示されたら左肩の[Safari]をタップ。
STEP 3に移り、いよいよ「確定申告書データの送信」の画面。ここで[e-Taxアプリで送信する]をタップすると作成した確定申告書が送信される。
実際に筆者が操作したのはここまで。データがダミーなので送信は行わず、この先は国税庁の資料から手順を紹介しよう。
[e-Taxアプリで送信する]をタップすると「“e-Taxアプリ”で開きますか?」と表示されるので[開く]をタップ。
STEP 4に移り、送信結果の内容が表示される。送られたことを確認して[受付結果を確認する]をタップ。
詳細が表示される。画面の最下段に表示された「遷移コード」の番号を[遷移コードをコピー]をタップしてコピーしてから、左肩の[Safari]をタップ。
いよいよ最後、STEP 6で、前のページでコピーした「遷移コード」の番号をペーストして[次へ]。
「送信票兼送付書等印刷」の画面に移るので、「帳票表示・印刷」をタップしてPDFを保存しよう。
これで③e-Tax(マイナンバーカード方式)の[A:提出方法の選択]と[D:出力・提出]の操作は完了だ。正直、この方式で申告するメリットは何?と感じる操作性だ。特にマイナンバーカードを読み取る回数の多さが「手間がかかる」印象を与えているように思う。
イメージとしてはSuicaなどで自動改札を通る際に、1つめの改札で“ピッ”と本人確認、数歩進んで2つ目の改札で“ピッ”と残高確認、また数歩進んで3つ目の改札で“ピッ”と乗車駅の登録をしているようで、「改札機、1つにしませんか」と言いたくなる。1回の読み取りで複数の行程を済ますことはできないのだろうか。
筆者としては、現状はID・パスワード方式がお勧めだが、マイナンバーカードを持っている人はチャレンジするとネタになるかもしれない。