トピック

1台500円から始められる! 企業担当者の声に応え、今も進化中のマウスコンピューターの導入支援サービスはなにができる?

法人向けに導入支援サービスを展開するマウスコンピューターの井上洋一郎氏に話を聞いた

 企業が従業員に配布するPCでは、社員がすぐに業務に使えるように、アプリケーションのインストールやネットワーク設定、セキュリティ設定、管理シールの貼り付けなどのさまざまな初期作業をする、いわゆるキッティング作業が必要となる。

 特に台数が多いとその工数も膨大だ。そのために、最初にマスターイメージを作成して各PCにコピーして複製したり、メーカーや販売業者などによるキッティング代行なども行われていたりする。

 直販による個人向けPCのイメージがある株式会社マウスコンピューターも、法人向けPCブランド「MousePro」を展開。その中で、キッティングなどの導入支援サービスを提供している。

 最初に用意したメニューは「マスターイメージコピーサービス」だというが、これだと20台以上ないと提供できず、小口の顧客は対象にならない。そこで、最近ではWindowsをクラウドから自動初期設定する「Microsoft Autopilot」のサービスを提供することで、少台数から利用できる小回りの利くサービスも充実させている。

 このように日々サービスを拡充させているマウスコンピューターの法人向けの導入支援サービスについて、具体的な内容や、他社との違いなど、マウスコンピューターの製品部 主任でデスクトップ担当の井上洋一郎氏に話を伺った。

法人PC購入企業での一括導入のカスタマイズに応える

――まず、マウスコンピューターの導入支援サービスの概要を教えてください。

井上氏:弊社のPCを大量購入いただいたお客様に対して、その企業のニーズに合わせた内容に一括でカスタマイズするためのさまざまなサービスをご用意しています。

サービスメニューの一例

――導入支援サービスを始めたのはどのような理由からでしょうか?

井上氏:もともと、いろいろな法人のお客様から、購入時にカスタマイズまで対応してほしいといった要望が多く寄せられていました。そうした要望に、はじめは個別対応していましたが、対応内容や作業手順などすべて体系化して、導入支援サービスとしてまとめていった形になります。

――主なサービスにはどのようなものがありますか?

井上氏:カスタマイズしたPCの環境をマスターイメージから複製する「マスターイメージコピーサービス」が主軸となっています。これは複雑なところがあるので、弊社でそれを代行してPCを販売できるのは、お客様にとってメリットがあります。

 ただ、マスターイメージコピーサービスは、マスターイメージの作成など工数がかかることもあって、最少で20台からと、ハードルが高いところもありました。

 そこで近年では、Windowsをクラウドから自動初期設定する「Microsoft Autopilot」のサービスも始めています。これであればもっと少ない数台からでもスタートできますので、マスターイメージコピーの導入にまでは及ばなかった小口のお客様からも、Autopilot関連の問い合わせが増えています。それに伴って、昨今はAutopilot系のサービスを拡充しているところです。

 この「Autopilot ID登録代行サービス」は、Autopilotのサービスをお持ちのお客様が弊社のPCをご購入するときに、お客様のMicrosoft Intune(デバイス管理サービス)やEntra ID(アクセス管理サービス)へ、そのPCの登録を代行するというものです。

 お客様のほうでAutopilotのサービスを借りていただく必要がありますが、そのサービスで弊社の登録作業用のIDをいただいて、PCを発送するタイミングでサーバーに登録し、その結果をお客様のほうにお渡しします。すると、PCがお客様の手元に届いたときにはAutopilotの登録が終わっているので、開梱してインターネットにつないだ瞬間に、必要なアプリケーションなどの設定がタイムラグなく実行されます。設定作業が圧倒的に楽になると思います。

マスターイメージコピーサービス

大規模だけでなく中小規模の取引にもAutopilotで対応

マウスコンピューター株式会社 製品部 主任 デスクトップ担当 井上洋一郎氏

――マウスコンピューターの導入支援サービスの特徴を教えてください。

井上氏:PCをご購入いただいた法人のお客様の作業負担を軽減するサービスですので、まずは弊社の法人営業担当に、お気軽にご相談いただければと思います。弊社のウェブサイトでも紹介しておりますが、紹介できているメニューは代表的なものだけで、実際にはお問い合わせ内容を元に、ウェブサイトにはない対応をしたり、さらにニーズが多ければ、そこからサービス化をしたりもしています。

 また特徴として、作業がすべてPCメーカーである弊社の自社内で完結している点があります。余分な輸送コストや納期などが抑えられるほか、細かいところのカスタマイズにも対応できます。

 もう1つ、マウスコンピューターの法人向けPC「MousePro」の特徴として、筐体と外観が長期間変わらない点があります。そのため一度、導入支援サービスを使って、たとえば50台を納品したあとで、CPUの世代だけ代わって見た目や仕様がほぼ同じPCを導入し、さらに同じにキッティングするという依頼も受けやすいというのも、長所だと考えています。

――他社の類似サービスと比較して、価格はどのような感じでしょうか?

井上氏:金額は内容によって異なりますが、たとえばマスターイメージコピーサービスは1台3300円からで、これは他社様を意識した価格設定ですので、メニューでの金額はお安くなっていると思います。

 また、PC購入から含めた対応なので、本体価格を含めたトータル価格でも、弊社をお選びいただくメリットがあるかと思います。

――このサービスは、御社の法人窓口からPCを買う場合のほか、販売店を通して買う場合などにも利用できるのでしょうか?

井上氏:はい、販売店様経由でもご購入いただけます。弊社製品を積極的に販売いただいているサービスパートナー様が全国にいて、製品はもちろん、サービスについても一緒に取り組んでいます。そのため、販売店様経由でも安心してご相談いただけます。

――キッティングなどのサービスは規模の大きな企業向けのイメージがありますが、マウスコンピューターの導入支援サービスで想定している層を教えてください。

井上氏:もともと中小企業のお客様が多かったので、まずはそこをターゲットとして考えていました。ただ、マスターイメージコピーサービスはどうしても台数が必要というのがありましたが、Autopilotによって規模の小さなチームや拠点単位でも導入しやすくなりましたので、あらためて中小企業のお客様に、そうした部分をアピールしていきたいと考えています。

――実際に導入支援サービスを提供してみて、利用されている企業の規模などはいかがでしょうか?

井上氏:最初は私も、中小企業が多いだろうと思っていたのですが、実際のご利用状況を見ると、中小企業だけが多いということはなく、大企業や官公庁、あるいはCGなどの専門分野のお客様などにも幅広くご利用いただいていることが分かりました。こうした様々な企業様に選ばれている実績も、安心してご利用いただける材料になるかと思います。

――利用するユーザーの視点で、どのような仕事をしている人が楽になるサービスでしょうか?

井上氏:私たちが一番楽にしたいのは、社内でPCなどの機器の導入を一点に担当している、情報システムなどの担当者です。また、それを手配する総務などの方ですね。新しいPCが届くたびに、設定やソフトのインストールなどが発生しますが、台数が増えれば増えるほどその作業に追われてしまって、ほかの業務に手が回らなくなることがあります。それが解消できれば、お客様にとってもいい効果があるんじゃないかと思っています。

――中小企業ですと、こうした導入サービスを利用していない会社も多いと思いますが、そういった方が導入支援サービスを使うとどういったメリットがあるか、ポイントをお願いします。

井上氏:弊社の導入支援サービスは、大企業だけでなく中小企業もターゲットにしていますので、中小企業ならではのお悩みを持ったお客様からの問い合わせも多く受けています。そうした声にも柔軟に対応している実績がございますので、まずは気軽にご相談をいただければ、何かしらよいご提案ができるのではないかと思っています。また、そうしたお客様のご意見を聞きながらメニューを拡充してきた歴史がありますので、中小企業のニーズにも合ってご利用いただきやすいメニューが用意できているのではないかと思います。

――特に、小規模な企業ですと、自動化すれば楽になるのは分かるけど、台数が限られるのでコストをかけたくない、という判断もあるかと思います。そのような企業へのメッセージはありますか?

井上氏:台数が増えるほど、作業は指数関数的に増えます。そのため、一定以上の台数を買われるお客様は、楽をできる方法を考えていただきたい、というのが弊社から一番言いたい点です。

 小規模で情シスが1人しかいないような企業で、設定作業を内部で行われる場合、発生する人件費は担当者様1人分かもしれませんが、実際にはその担当者様が大変な思いをされることになると思います。導入支援サービスをご利用いただくことの負担軽減の効果は大きいと考えています。

ウェブサイトで紹介しているメニューはほんの一部で、まずは相談いただければ要望に応じて柔軟に対応しているという

ユーザー企業の要望に応える中からニーズに合わせてサービスを拡充

――マスターイメージコピーサービスだけでなくAutopilotもという話でしたが、いつ頃開始されたのでしょうか?

井上氏:5年ほど前からマスターイメージコピーサービスを提供していて、そこからAutopilotにサービスを広げたり、マスターイメージコピーサービスを拡充して細かいオプションサービスを用意したりしています。

 たとえば、マスターイメージのリカバリー用USBメモリーを作成してお渡しする「USBメディア作成サービス」なども、マスターイメージコピーサービスのオプションとして用意しています。このサービスも、お客様の要望を元に対応し、汎用的に提供するサービスとして公開に至りました。

 オプションとしては、マスターイメージのコピー先のIPアドレスを設定する「IPアドレス設定サービス」や、デバイス名を設定する「PC名称設定サービス」もあり、これらもお客様から要望をいただいて、開発部門が対応した結果がサービスとなっています。

 実は「Autopilot ID登録代行サービス」も、お客様からの要望から始まったサービスです。最初は、弊社の法人向けPCのMouseProを買ったお客様に対して、端末IDを外箱に書いておくことで、PCをいちいち起動しなくてもすぐ管理ツールに登録できる、というサービスからスタートしまして、そこからだんだんとお客様の作業負担が少なくなるようにサービスが拡充してきました。

 また、PCに搭載されている有線LANや無線LANのアダプターのMACアドレスをリストアップする「MACアドレス提供サービス」も、お客様からリストアップの要望が多かったのでサービス化したものです。

システム管理者向けのAutopilot ID登録代行サービスやサービス事業者向けのPKID/ハードウェアハッシュ(4KHH)提供サービスなどもある

――特に最近利用が増えているサービスなどがあれば教えてください。

井上氏:Autopilot関連は確実に増えています。当初から利用が多くなると目論んでいて、実際に増えているので、今後も拡充していきたいと考えています。

――これから、マスターイメージコピーサービスまではいかないものの、Autopilotでの導入支援の利用を検討している企業に、アピールポイントがあればお聞かせください。

井上氏:まずは、Windowsを開発販売しているMicrosoftのサービスで、親和性が高いというのが一番大きいと思います。また、マウスコンピューターはMicrosoftの認定パートナーですので、その意味でもご相談いただけるところがあると思います。

――マウスコンピューターの法人窓口でPCを買って、Autopilotの導入支援サービスを受ける場合、どのぐらい金額がかかるんでしょうか?

井上氏:1台あたり500円で承っています。しかも追加の納期が不要です。ハードルはかなり低いと思っています。

――申し込むには、PCを買うときにオプションとしてお願いすればいいのでしょうか?

井上氏:はい、オプションとしての購入になります。ただし1点ご注意いただきたいのが、ウェブサイトのBTOサービスではオプションとして付けられないことです。お客様の情報をいただかないといけませんので。まずは、弊社にお問い合わせください。必要な情報を伺って、登録は弊社で行います。

――PCを作っている会社で一緒に提供するサービスならではの強みはありますか。

井上氏:たとえば、PCの筐体に管理シールを貼るのにも、販売店様などで対応すると一度開梱する必要があります。それがメーカーであれば梱包する前に貼れるので、効率よくできます。

 また、BIOSの設定ですね。サービスメニューにはなっていませんが、お問い合わせいただいて、技術的に可能であれば対応できることもあると思います。

 弊社では自社で製品を開発・検証していますので、他社では難しい要望にも対応できる可能性があります。まずはご相談いただきたいですね。

――ウェブサイトのサービスメニューはあくまで入口で、それ以外のいろいろなことにも相談を受けて対応できるという感じですね。

井上氏:そうですね。そのため、ウェブサイトはあえて代表的なメニューに絞って書いてあるという面もあります。ウェブ上の「導入支援サービス」のページに「お問い合わせフォームはこちら」というリンクがあるので、まずはここに知りたいことを入力いただければ、スムーズに話が進むと思います。

法人向けの問い合わせフォームや電話でまずは相談してほしいという

もっとスピーディにさまざまなサービスを展開していくのが課題

――最後に、これからのサービス拡充予定について教えてください。

井上氏:Autopilot関連はどんどんお客様が増えていますし、弊社としてもまだまだサポートしきれていない部分もあると考えています。この分野にはオプションを増やすなど引き続き力を入れていこうと考えています。

 たとえばIntuneやAutopilot自体の登録は、現時点ではあまりご案内できていないので、そこもご相談いただけるようにしていきたいとは思っています。

 また、営業からの吸い上げを、もっと強化していきたいとも考えています。実際にお問い合わせをいただいたものの案件には至らない話も多く発生していると思うので、そこを吸い上げて、もっとスピーディにさまざまなサービスを展開していくのが課題としてあります。

 今できているのがベストとは言えませんし、お客様のニーズも日々変わり、テクノロジーの進歩や製品の変化もあります。そこは常に追いかけていかないといけないと考えています。

 そのほか、Windows 10のサポート終了が2025年10月にあるので、そこで企業PCの一斉入れ替えも必ず発生すると考えています。そのときに、問い合わせをいただいたら、工数削減のために一緒にどうですかとアピールしていきたいですね。

まだまだできることはあると語る井上氏。まずは気軽に相談してほしいとのこと