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【イベントレポート】
~ITソリューション展「NET&COM 2003」トレンドマイクロ特別講演「もはや、複合型ウイルスの侵入を完全に防ぐことはできない」Chang氏■URL ITソリューション展「NET&COM 2003」の特別講演では、トレンドマイクロ株式会社社長のSteve Chang氏が「セキュアな情報交換の環境を実現する次世代のセキュリティ」と題して講演を行なった。 ○複合型ウイルスの侵入を完全に防ぐことはできないと考えるべき
また、2001年に発生したウイルス「CodeRed」や1月に発生した「Slammer」のように“ウイルス定義ファイルで発見できない”ウイルスが出現していることも脅威だという。さらに、複合型ウイルスやSlammerなどは、いずれもマイクロソフト製品のセキュリティホールを攻撃してきており、次々にリリースされるパッチをあてなければならない状況も管理者にとっては脅威になり得る。 次々にセキュリティパッチがリリースされることについて、Chang氏はSlammerを例にとり、「Slammerが利用したセキュリティホールは、半年以上前にパッチが提供されており、パッチをあてていれば問題が無かった。しかし、マイクロソフト社内のSQLサーバーが感染してしまったこと自体が、“完璧にパッチをあてることは不可能に近い”ことを表わしているのではないだろうか」と意見を述べている。 Chang氏はこのような数々の要因から、「このような、数々の感染経路を数千台単位で完全にコントロールし、さらにパッチも完全にあてるのは難しい。もはや、どんなにファイアウォールでポートを閉じたり、IDSなどのセキュリティ機器を導入しても、完全に複合型ウイルスの侵入を防ぐことはできないだろう」と結論付けている。 ○ウイルスの脅威は、PC破壊からネットワーク破壊へと広がっている では、どのようにして複合型ウイルスから身を守るべきなのか。Chang氏はこの問題について、「確かに、ウイルスの侵入を完全に防ぐことが理想だが、現状では難しい。今後は、セカンドベストな処置として“いかに早く復旧するか”が重要になってくる」と応えている。 このChang氏の考えに基づき、トレンドマイクロでは新戦略「TM EPS」を発表している。「TM EPS」では、ウイルス発生時にウイルス定義ファイルより先に“感染を広げないための方法(事前対策)”を提供する。この事前対策をウイルス定義ファイル配布前のできるだけ早い段階で導入することによって、被害を最小限に抑えることができるという。Chang氏によると「完璧に侵入を防ぐことができないのであれば、せめて被害を最小限度に抑えよう」とのこと。 Chang氏はここでもSlammerを例に出し、「Slammerはそもそもウイルス定義ファイルでは対策できなかったが、当社ではこの事前対策を早い段階で提供した。しかし、どんなに1社が完全な対応を行なっていても、その他の99%が対策していなければ韓国のようにネットワークが機能しなくなってしまう。ウイルスの脅威は、PC破壊からネットワーク破壊へ広がっていると言える」と説明し、事前対策の必要性を説いた。 最後に今後のウイルス対策は、「基本的に複合型ウイルスを完全に止めることはできない」、「唯一できることはいかに早く対応するか」、「そのためには定義ファイル配信前に対応する必要がある」とまとめ、それらの対策を提供することを目標にトレンドマイクロはウイルス対策製品を提供していくと締めた。 ◎関連記事 (2003/2/5) [Reported by otsu-j@impress.co.jp] |
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