【N+I 2003 レポート】
POFの普及で、各部屋に1台ずつメディアコンバータが必要に?■URL
曲げ半径の小さいプラスチック光ファイバ(POF)と、専門の業者でなくとも抜き挿しして配線できるPOF用コネクタおよびコンセントにより、“Fiber To The Room(FTTR)”も技術的には十分に可能になった。松下電工や三和電気工業のブースでは、旭硝子の高速大容量POF「Lucina」を使った屋内光配線システムを紹介していたが、これに付随するものとして目を引いたのが小型のメディアコンバータだ。 松下電工のブースで展示されていたのは、大きさが150×85×35mm(幅×高さ×厚さ)で電源内蔵、ファンレスのメディアコンバータ。壁面にスッキリと取り付けられるよう配慮されており、100BASE-FXから100BASE-TXへの変換が行なえるモデルと、1000BASE-SXから1000BASE-Tへの変換が行なえるモデルの2種類がある。各部屋の壁面のPOFコンセントからメディアコンバータまでPOFのパッチケーブルで接続し、そこから先を従来のカテゴリー5のUTP(非シールドより対線)ケーブルでパソコンなどに接続する。 三和電気工業の展示は、一般住宅をイメージした「BフレッツのためのPOF光屋内配線方式」というもの。住宅内に引き込まれたBフレッツの光ファイバを終端装置で電気信号に変換したのち、再び光に変換。これを各部屋のコンセントまでPOFで分配する。コンセントから先は松下電工と同様、POFのパッチケーブルで小型のメディアコンバータに接続し、さらにUTPケーブルでパソコンやテレビなどのネット端末につながる流れだ。三和電気工業のメディアコンバータは電源が外部アダプター式で、大きさは60×100×36mm(幅×高さ×厚さ)と、松下電工の製品よりさら小さい。こちらは、10/100BASE-T対応の製品となっている。 このように、FTTR実用化の可能性を感じさせる展示だが、現時点ではまだメリットがあるとは言いがたい。従来のように分岐前にメディアコンバータをかませ、あとはUTPケーブルで各部屋に分配したほうが部屋内の配線もシンプルになる。確かに、潜在的な伝送能力はUTPよりもPOFのほうが優れているかもしれないが、より対線でもすでに1Gbpsを実現する規格も出てきている。 また、今のところはアプリケーションの要求する帯域自体、UTPでもまかなえる範囲である。新築住宅ではUTPを先行配線する事例も増えている模様だが、「POFを先行配線した事例は、まだ聞いたことがない」(松下電工)。現時点でUTPよりもPOFのほうにメリットがあるとすれば、伝送距離ということになるという。三和電気工業によれば、UTPでは最大90mのところが、POFでは500mまで伝送が可能になるとしている。 実際のところ、パソコンなどのネット端末に100BASE-FXや1000BASE-SXのポートが標準搭載されるようにならない限り、POFを各部屋まで引き回すメリットは活かせそうにない。今回展示されているような小型メディアコンバータは、そうなるまでの過渡期的な製品と言えそうだ。
◎関連記事 (2003/7/4) [Reported by nagasawa@impress.co.jp] |
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