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2008/05/12~2008/05/18


 Googleが「Google Doctype」「Friend Connect」など新サービスを発表、Microsoftも「WorldWide Telescope」を公開、ニコニコ動画は「ニコニコ大百科(仮)」を公開と、先週は気になるサービスが次々と登場した1週間でした。

 他方では、Microsoftの撤退でひと段落ついていたYahoo!買収提案について、著名投資家が参入を表明、これにYahoo!が反論するというニュースもありました。もしYahoo!の意志が変わるようなことがあれば、Microsoftにとっては棚からボタモチ的な展開になるかもしれません。


Winnyの「原田ウイルス」作者に、懲役2年・執行猶予3年の有罪判決
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/05/16/19585.html
 5月16日、京都地方裁判所は、いわゆる「原田ウイルス」のアニメ画像を使った亜種などを作成した大学院生に対して著作権法違反と名誉毀損の罪で懲役2年・執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。詳しくは後半で解説します。

XP SP3適用でエンドレス再起動の原因判明、マイクロソフトが公表
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/05/16/19586.html
 5月12日、Windows XP SP3をインストールすると一部環境で再起動が繰り返される不具合が報告された。マイクロソフトは16日、Intel製CPU搭載機で作成したイメージが非Intel製CPU搭載機で展開されたときに、この不具合が発生しうると公表した。

Fujisan.co.jpがサイト改竄、SQLインジェクションでウイルス仕込まれる
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/05/14/19543.html
 5月12日、富士山マガジンサービスは同社が運営する雑誌専門オンライン書店「Fujisan.co.jp」がサイト改竄の被害に遭い、閲覧者にウイルスをダウンロードさせるコードが埋め込まれたと発表。個人情報漏洩の事実はないとした。

米Google、Webサイトをソーシャルにできる「Friend Connect」発表
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/05/13/19519.html
 5月12日、米GoogleはWebサイトにソーシャル機能を追加できる「Google Friend Connect」を発表。プログラミングの知識がなくても簡単に組み込むことができ、OpenIDなどの認証APIやFacebook、GoogleなどのデータポータビリティAPIに対応。友人同士のコメントのやりとりやプロフィールの表示などが可能になる。

Microsoftが天体観測アプリ「WorldWide Telescope」を無料公開
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/05/13/19529.html
 5月12日、米Microsoftが天体観測アプリケーション「WorldWide Telescope」ベータ版を公開。星雲を観測、天文学者によるガイドつき天体観測ツアー、世界の望遠鏡の画像閲覧などの機能がある。利用は無料。


ウイルス作者に懲役2年・執行猶予3年。罪状は「著作権侵害」と「名誉毀損」

 「原田ウイルス」とは、WinnyなどP2Pファイル共有ソフトのネットワークを通じて感染するウイルス(トロイの木馬)です。ウイルスが起動すると「原田」と名乗る人物が表示され勝手に動画が再生されたり、ハードディスク内のファイルが消去されたり、といった動作をします。

 この「原田ウイルス」に関しては2006年の6月にシマンテックが警告を発しています。その後、2006年~2007年にかけて亜種と見られるウイルスが次々と報告されましたが、「涼宮ハルヒ」「らき☆すた」など、アニメのキャラクターを使ったものが多いのが特徴でした。

 こうした中、2008年1月に京都府警は「原田ウイルス」亜種で、アニメ「CLANNAD」の画像を使用したウイルスを作成した大学院生を、アニメの画像を利用した著作権法違反の容疑で逮捕しました。この時のニュースでは、アニメ映像をWinnyネットワークに流した容疑で男性2名も逮捕されています。大学院生の所属していた大阪電気通信大学は翌日に謝罪のコメントを発表。3月には無期停学の処分を発表しました。

 日本ではウイルスの作成そのものを罰する法律はないため(そのため逮捕時の容疑も著作権法違反でした)、大学院生はアニメ画像を利用したことによる著作権法違反と、別のウイルスで同級生の顔写真を利用したことによる名誉毀損の罪で起訴されました。大学院生は3月18日の初公判で起訴事実を認め、5月16日に、懲役2年・執行猶予3年の有罪判決が言い渡されます。

 本件は、日本でウイルス作成者が初めて逮捕された事例となります。とはいえ、裁判でもウイルスを作成したこと自体を問われることはなく、あくまで著作権法違反と名誉毀損について罰せられたのみ。所属大学のみが、ウイルスを流通させた行為に対して無期停学処分を下しています。

 P2Pファイル共有ソフト関連では、2004年にはWinny作者の金子氏が著作権法違反幇助の罪で逮捕され、2006年に有罪判決が出た事件(控訴中)が大きなものでした。また先々週の5月9日には、「Share」ユーザー3人がアニメ画像を送信していたとして著作権法違反の疑いで逮捕されています。

 インターネットと著作権について様々な問題提起もあり、また、インターネットに適応した法整備が進まない中、特にP2Pファイル共有ソフトのユーザーに対して、著作権法違反での逮捕が続いている観があります。

 こうした人たちが裁かれるのは現行の著作権法という観点からだけで良いのか、原田ウイルス作者の大学院生は、自分の顔やオリジナル画像を利用したウイルスを作っていれば無罪だったのか、といった議論も、今後さらに行なわれていくことになるでしょう。



2008/05/19 11:58
小林祐一郎
プログラマ、編集者、Webディレクター等を経て、ライター・編集者として活動。興味のあるテーマは「人はどうすればネットで“いい思い”ができるのか」 。ごく普通の人の生活に、IT技術やネットのコミュニケーションツールがどんな影響を与え、どう活用できるのかを研究している。近著「Web2.0超入門講座」(インプレス)

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