被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
高齢者のネット詐欺被害を撲滅しよう!
SNSに旅行の予定を投稿するのは空き巣を呼び寄せる可能性があるので要注意!
2019年9月27日 06:00
最近、自分がSNSに投稿した内容が原因で、空き巣の被害に遭うケースが増えています。例えば、「○月○日から○日まで海外旅行します。楽しみ」という投稿をすれば、その期間家にいないことが確実なので、空き巣に入りやすくなります。
実際に、2019年5月4日、高須クリニック高須院長の愛知県にある別荘に空き巣が入りました。別荘にはSECOMの防犯設備が導入されていたのですが、なんとその直前に別荘近くにあるSECOMの顧客の家にも泥棒が入ったそうです。高須院長の別荘をターゲットにした陽動だとすると、入念に計画された犯行と考えられます。なぜ、犯人は高須院長が別荘にいないことを知っていたのでしょうか。
実は、高須院長は5月3日に「ありがとうございます。お礼参りいたします。明後日から台北の神社に台湾加油しに行きます。」というツイートをしていたのです。もちろん、高須院長のTwitterアカウントには鍵がかかっていないので、54万5000人のフォロワー全員が日本にいないことを知っていました。
海外旅行の投稿は、帰国してからにしましょう
有名人だから狙われていたので、一般人は安心でしょうか? そんなことはありません。愛知県稲沢市の男性は、所有しているブランド品や高級外車の写真をInstagramに投稿していました。それを見た犯人グループは、映り込んでいる写真をもとに、男性の住所を割り出し、空き巣に入ったのです。犯人は逮捕されたのですが、Instagramから標的を決めたと言っています。ちなみに、犯行グループのメンバーもSNSを通じて集っています。お互いの名前さえ知らず、稼げるからと簡単に組んでいるのです。
SNSの投稿から、自宅を見つけるのは意外に簡単です。「地震?」とか「停電」といった情報から地域を絞り込めます。背景の特徴的な建物や後継から、Google マップで撮影場所を割り込むことも可能です。窓の外にいる猫を撮ったり、庭の写真をアップしたり、玄関を写して「やっと帰ってきた~」といった投稿は全て手がかりになります。自分や子どもが通っていた学校もヒントです。もちろん、自宅でSNSの位置情報機能を使っていれば、一撃でばれます。
もし、その人が自宅周りの情報を一切上げていないなら、さっさと諦めて、別のブランド自慢をしているアカウントを見つければいいのです。
普段、いいね!をほとんど付けてもらえないので、自分のSNSは誰も見ていない、と考えるのは早計です。犯人はとことん検索します。インターネットに公開している情報は、常に誰かに見られる可能性はあるのです。これをしっかり理解しているかどうかが、デジタルリテラシーの有無となります。
SNSに書き込む投稿は、紙に印刷して玄関の外に張り出せますか? 「1週間海外旅行しています」と張り出したら、空き巣に入られるかも、と考えませんか? そうであれば、SNSにも投稿してはいけません。
デジタルリテラシーが低いと、生活の中の何気ない一言をつぶやいただけで犯罪に巻き込まれることもあります。SNSをやらなければ確かに被害に遭う可能性もなくなります。しかし、これからの世界、デジタルから完全に距離を置くことはできません。ある程度のデジタルリテラシーがあれば、身を守ることはできます。自分だけは大丈夫だと思わず、SNS投稿をする際には注意を払うようにしましょう。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
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NPO法人DLIS(デジタルリテラシー向上機構)
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。