編集部コラム

INTERNET Watchは、2026年に30周年を迎えます

 1995年12月1日、今から30年前に、INTERNET Watchはプレ創刊として、メールマガジンの配信を開始しました。

 プレ創刊号のトップニュースは「M-BoneとStreamWorksで坂本龍一のコンサートを生中継」というものでした。そして、1996年2月1日に正式創刊し、1997年1月からウェブサイトを開設しました。

 というわけで、INTERNET Watchは、2026年に30周年を迎えます。いつもご覧いただいている読者の皆様、さまざまな機会でお助けいただいた関係者の皆様のおかげで、何とかたどり着けそうです。

 現在、30周年の振り返り企画を準備しながら、次の30年に向けた取り組みも進めています。

 1995年、一般への普及が始まったばかりのインターネットは、今の姿と比べればずっと小さな存在でしたが、人々の注目の的でした。この年の新語・流行語大賞トップ10にも「インターネット」は選出されています。

 一方で、今のインターネットは大きな存在になり、多くのものがインターネットなしでは成り立たないほどですが、まるで背景のような、当たり前すぎる存在になっていて、誰も「インターネット」を見ていないのではないか、と思えます。

 特別な知識や技術がなくてもインターネットのサービスを利用し、恩恵を得られるのはいいことです。ですが、無防備な利用者を狙うサイバー攻撃は激化する一方ですし、もっと多くの人がインターネットやITの知識を高め、深い理解を持って利用するようになったら、よりよい使い方ができるのかもしれません。

「インターネットって言うと、ちょっと怖いよな(笑)」

 しばらく前に、お笑い芸人のどなたかのラジオで、イベントのネット予約の話からの流れだったと思いますが、ポツリと「インターネットって言うと、ちょっと怖いよな(笑)」とつぶやかれたのが、記憶に残っています。

 お笑い芸人の方にとって怖いといえば、SNSでのいわゆる「炎上」を指しているのだろうと思われます。あらためて「インターネット」の存在を意識する機会は、そういう怖さを感じたときになるんだなと、ちょっと予想外の発見をした気持ちになりました。

 私たちは、もう少しSNSの「怖くならない使い方」について考えた方がいいのかもしれません。もしくは、「よりよいSNSはどんなサービスか?」と、あらためて議論するのが有意義なのかもしれません。

 今、日々使っている「インターネット」を捉え直し、当たり前すぎてあまり語られなくなっていることを語り直すなどして、何らかの意味で「再発見」することで、次の30年につながる何かが得られるのではないかと考えています。

 このような取り組みの一環は、実はすでに始めています。若い世代のインターネットに対する疑問に、IIJの皆さんから答えていただく「掘り下げると長くなるネットの疑問」は、世代や技術に関する知識の深さによってギャップがある「インターネット観」をすり合わせて、共通言語・共通認識を作りたい、という狙いがありました。本日記事を公開した、プロ(家庭用ルーターを多数見てきた清水理史さん)の疑問を法人向けルーターの専門家に伺った記事でも、IIJの皆さんにご協力いただいています。

 毎年11月11日の「Wi-Fiルーター見直しの日」は、身近なところからセキュリティに取り組んで行きましょう、という提案となります。今年からは、データ管理の当たり前を問い直す、「バックアップ」に関する提案もしていきたいと考えています。

 また、先日記事を公開したレンタルサーバー事業者が突然サービス停止したトラブルのような問題は、インターネットが歴史を重ねてきた中で発生した“勤続疲労”のようなもので、今あらためて考えておくべきことだと思えます。

 これはまだ十分に取材できていない話題ですが、先日、P2Pファイル共有ソフト「BitTorrent」に関する記事を公開しました。この記事には「まだファイル共有ソフトが使われているのか」のような反響が多くありました。

 過去のWinny事件が記憶にある方は、ファイル共有ソフトの特性や注意すべき点もご存知かと思いますが、そのような話題も聞かれなくなった中で、十分な知識のないままにファイル共有ソフトを使う人が問題を起こしてしまうケースも、あるのではないかと思われます。

 本誌では2010年公開の「セキュリティ対策の心得、基礎の基礎5カ条 番外編:P2Pファイル共有ソフトに潜む脅威」などで、P2Pファイル共有ソフトの問題を取り上げ、近年でも国民生活センターの発表を紹介した記事などで説明を行っていますが、周知徹底には至っていないと考えています。

 引き続き、皆様がインターネットを仕事や生活の中で便利に、安全に、楽しく活用するための情報をお届けしてまいります。よろしくお願いいたします。