自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!

【使いこなし編】第239回

NASを自宅で便利に使う「IPアドレス固定」の方法〜アイ・オー「HDL1-LA02」で実践する

 本連載の第237回から、アイ・オー・データ機器のNAS「LANDISK」シリーズ「HDL1-LA02」を使い始めてみる。同社のNAS「LAN DISK」シリーズの家庭向けモデルの中でも最も廉価で、気軽にスマートフォンのバックアップ用として、2TBの容量を活用できる。

アイ・オー・データ機器のNAS「HDL1-LA02」。設定を続けてみよう

IPアドレスを変わらないようにして、アクセスを簡単に

 前回行った初期設定ですでに使えるようにはなっているが、筆者は、家庭内でNASを使うときには、IPアドレスを固定して使うことをおすすめしている。

 自宅のWi-Fi(家庭内LAN)に接続した機器には、それぞれ「192.168.1.1」のようなIPアドレスが割り振られるが、ネットワークのおおもと(DHCPサーバー)であるWi-Fiルーターやそれぞれの機器を再起動したり、一定の時間が経過したりすることで、割り振られるIPアドレスが変わってしまうことがある。しかし、NASにはIPアドレスを入力してアクセスするので、変わらない方がアクセスしやすいのだ。

 本連載では何度かIPアドレスの固定を実践していて、今回も必要な手順をひととおり紹介するが、最初に注意点を1つ。IPアドレスを固定するには、NAS(HDL1-LA02)側の設定だけでなく、Wi-Fiルーターなど家庭のDHCPサーバー側での設定も、一部必要になる。これは家庭ごとに使っている機種が異なり、すべてのケースを紹介しきれない。もしも設定方法が分からなかったら、IPアドレスの固定にこだわらないようにしてほしい。IPアドレスが変更されたときに、前回使った「Magical Finder」などを使ってIPアドレスを調べる必要が生じるが、毎日やらないといけなかったりするわけではない。

 なお、IPアドレスの固定についてより詳しく知りたい人は、本連載の第38回第41回あたりで、より詳しく解説しているので、あわせて読んでみてほしい。

 要は、Wi-FiルーターのDHCPサーバー機能が自動配布するIPアドレスの範囲を一部制限したうえで、自動で割り振られない任意のIPアドレスを指定する。たいていはDHCPサーバーで配布する「開始IPアドレス」を設定できるので、この数値を少し後ろにずらして、それよりも前の数値に固定すればいい。

DHCPサーバーの設定後、IPアドレス固定の設定を行う

 ここからIPアドレスを固定するための操作を実践するが、「HDL1-LA02」上で設定を変更する前に、自宅のDHCPサーバー機能で、割り振るIPアドレスの範囲を設定しておく必要がある。

 DHCPサーバーの設定をしないでNAS側でIPアドレスの固定だけを行うと、一見うまく動作しているように見えても、ある日突然IPアドレスがほかの機器と重複して、動作が不安定になる場合があるので、注意してほしい。

 筆者宅では、フレッツ光回線で使用中のホームゲートウェイ(ルーター/DHCPサーバー機能を持つ機器)である「PR-400MI」のDHCPサーバーの設定を変更して、IPアドレスを「192.168.1.100」から自動配布するようにしている。つまり、接続した機器に「192.168.1.2」〜「192.168.1.99」のIPアドレスは自動で割り振られないようにしているので、この間の数値を固定に使えるということになる。

筆者宅のPR-400MIのDHCPサーバーの設定。設定項目の名称などは製品により異なる

 ウェブブラウザーのアドレスバーに、HDL1-LA02のIPアドレスを入力して、設定画面にアクセスする。設定画面はPCのウェブブラウザーの方が見やすいが、操作自体はスマートフォンからも可能だ。

ウェブブラウザーのアドレスバーに、HDL1-LA02のIPアドレスを入力してアクセスする。[ユーザー名]は「admin」で、前回設定したパスワードを入力してログインする
NarSuSに登録していないと「ぜひ NarSuS にご登録ください」画面が表示される。登録は任意で、この実践では不要だ
設定画面が表示される。以降、このログイン作業は省略して、この設定画面から説明する。[ネットワーク]を選ぶ
[LAN1]を選ぶ
[IPv4]を選ぶ
[IPアドレス設定方式]で[手動で設定する]にして、[IPアドレス]で固定したいIPアドレスを入力する。ここで設定している「192.168.1.19」はあくまでも筆者宅の例。DHCPの設定に対応して、適切な値を入力してほしい
下の[追加設定]で[設定方法]を[手動で設定する]に切り替える。[デフォルトゲートウェイ]と[DNS]を「192.168.X.1」にする。「X」部分には、LANの環境に合わせる。NASに自動で割り振られたIPアドレスが「192.168.1.XXX」なら「192.168.1.1」だし、「192.168.11.XXX」なら「192.168.11.1」になる。要はWi-FiルーターのIPアドレスだ。両方設定したら[適用]をクリックする
「設定を開始しました~」と表示されたらOK。LEDランプが点灯になるのを待つ
ブラウザのアドレス欄に設定したIPアドレスを記入し、「Enter」キーを押してログイン画面が表示されれば成功。ログインしよう。ウェブブラウザーにパスワード入力を記憶させていた場合、IPアドレスが変わるため、再度覚えさせる必要がある。ただこれ以降変わることがない

ついでに「IPv6」をオンにしておく(必須ではない)

 続けて、初期設定でオフになっている「IPv6」をオンにする操作を行う。ここではIPv6について詳細な解説は省くが、これにより、IPv6回線でつながる確率が上がる。とはいえ、実際の通信で関連するアプリなどがIPv6を使っているのかは不明で、この設定は必須ではないが、今回の実践では念のためIPv6を使う設定にしておいた。

 この状態で、スマートフォンアプリ「Remote Link Files」を使って、外出先から自宅内にあるHDL1-LA02にアクセスできることを確認している。IPv6をオフにしてもつながっているので、動作に関係はないと思われるが、今後利用するアプリによってはネットワーク接続が安定すると考えられる。例えば、iPhone向けのアプリは、IPv6通信に対応していないと登録できないので、すべてIPv6通信をしているはずだ。

設定画面の[IPアドレス]を確認しておく。再度[ネットワーク]の[LAN1]を選ぶ
[IPv6]を選ぶ
[IPアドレス設定方式]で[自動で設定する]に切り替えると、下の[設定方法]が[自動で取得する]に切り替わる。この状態で[適用]をクリックする。
[情報・ログ表示]の[ネットワーク情報]を表示させて確認してみると、このように表示されるはずだ。[IPアドレス]の項目で[IPv4]が固定したいIPアドレスになっていて、[IPv6]に数値が入っていればOK

【今回の教訓(ポイント)】

LAN DISKシリーズに限らず、NASはIPアドレスを固定しておくと便利
先にWi-FiルーターのDHCPサーバー設定でIPアドレスを固定できるように設定しておく

村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。