テレワークグッズ・ミニレビュー

第109回

iPhone 16とWi-Fi 7ルーターでどれだけ速いか実測! 6GHz帯で繋いだらサクッと1.7ギガ超え!?

Wi-Fi 7に対応したiPhone 16の通信速度を、同じくWi-Fi 7に対応したWXR18000BE10Pと組み合わせて使ってみた

 9月20日に、iPhone 16シリーズが発売されたが、みなさん無事入手されただろうか? 筆者はいち早くiPhone 16 Pro MAXのレビューをする機会を得たのだが、INTERNET Watch編集部からのお話もあって、バッファローのWi-Fi 7対応ルーターもお借りして、Wi-Fi 7に対応したiPhone 16シリーズのパフォーマンスを体験してみたので、その模様をお届けしたい。

Wi-Fi 7普及の嚆矢となるであろうiPhone 16シリーズ

 iPhone 16シリーズは全機種がこれから登場するApple Intelligenceに対応が予定されているので、同サービスのローンチがとても楽しみだ。筆者は、アップルデバイスに多くのデータを依存しているので、それを活用したAIはかなり便利になるのではないかと待ち遠しい。

 たとえば、忙しさ加減に配慮しつつどうしても伝えるべきメールだけ通知を出したり、メッセージでもらった住所を「連絡先に入れておいて」と言うだけで連絡先データに登録することができる。また、「○○さんの写真のうち、一番新しいものを本人にメッセージしておいて」と、複数のアプリを跨いだ処理も可能なのだそうだ。

 だが、残念ながら日本語の対応は2025年内と発表されている。いくらなんでもiPhone 17シリーズが登場してからというのは遅過ぎだとは思うのだが、今のところいつになるのかは分からない。去年のVision Proの日本語対応のことを考えると、おそらく6月のWWDC前ぐらいに対応されるのではないかと思うが、それは単なる予想に過ぎない。

 そのほか、カメラコントロールボタンが設けられたり、カメラ機能全般にさまざまなアップデートが行われたりしたが、全体的にいうと「Apple Intelligenceに備えての熟成」という点がiPhone 16シリーズの特徴だといえるだろう。

Apple Intelligenceがローンチされるまで本領発揮とはいえないところがつらいiPhone 16 Proシリーズだが、カメラの性能の高さも素晴らしい

 特に、Proモデルはもちろん、スタンダードモデルもApple Intelligenceに対応するために、iPhone 16/16 Plusに搭載されるA18も、上位モデルに搭載されるA18 Proに肉薄する性能を実現している。今回は、スタンダードモデルがお買い得だと多くのアップルに詳しいライターが書いているし、筆者もそう思う。

 もうひとつ、地味ではあるが、うれしいアップデートが、Wi-Fi 7への対応だ。iPhone 15ではProモデルだけがWi-Fi 6Eへ対応していたが、iPhone 16ではProモデルだけでなく、スタンダードモデルもWi-Fi 7対応となった。

 Wi-Fi 7への移行は徐々に行われていくだろうが、Wi-Fiルーターとデバイスの両方をWi-Fi 7対応にしないと得られるメリットが少ないし、双方に魅力的な製品が登場することで、ようやく移行の理由が生まれる。そういう意味では、販売台数の多いiPhoneがWi-Fi 7に移行したことはビッグニュースで、これから一気に普及が進むきっかけになりそうだ。

 いつもの例でいうと、iPhoneにWi-Fi 7が導入されたら、追ってiPadやMacにも搭載されるはず。こうしてデバイスが増えれば、業界全体で移行が進んでいくはずだ。

Wi-Fi 7のメリットとは?

 今回はWi-Fi 7の概要・メリットを説明するとともに、バッファローのWi-Fi 7対応最新のフラグシップモデルであるWXR18000BE10Pで実際に稼働させ、通信速度を計測してみた。

バッファローのフラグシップモデルであるWXR18000BE10P。4本の外付けアンテナは効率は優れているらしく、特に高速通信したいデバイスがある場合には有効だそうだ。ちなみに、アンテナの側方に電波が飛ぶので、通信したいデバイスに対して垂直の方向に伸ばす

 まずはWi-Fi 7の特徴だが、従来の2.4GHz帯、5GHz帯に加えて、6GHz帯が使えるようになっている。詳しい人ならご存じの通り、6GHz帯自体は、1つ前の規格となるWi-Fi 6Eでも利用可能だったが、Wi-Fi 7では最大で320MHz幅での接続が可能になっている。

 さらに4096QAMに対応したことで、Wi-Fi 6Eまでの1024QAMに比べてデータ転送量が20%増加。

 また、複数の周波数帯を同時にリンクしておけるようにする、Multi-Link Operation(MLO)が可能になったというのも特長だ。

 Wi-Fiでは、主に2.4GHz帯と5GHz帯、そしてWi-Fi 6EとWi-Fi 7ではその2つに加えて6GHz帯が使われる。これら周波数帯ごとの一般的な違いとして、高周波のほうが高速な通信が可能なので、ネットをサクサクと使いたければ、5GHzや6GHzを選ぶほうがいい。一方で周波数が高いほど障害物に弱く、ルーターから離れた場合に接続が不安定になりがち。ルーターから離れた場所でも安定して通信ができるのは2.4GHz帯なのだ。

 そのため、従来であれば、状況に応じて接続しなおす必要があったが、MLOに対応していれば、2.4GHz、5GHz、6GHzの複数の周波数帯を同時にリンクしておくことで、スマホを持ちながら家の中を移動しるようなシチュエーションでも、安定して通信を行うことが可能になる。

 ただし、こうしたWi-Fi 7の特長であるMLOでの接続や320MHz幅での通信を利用するには、ルーター側とクライアント側の双方が対応している必要がある。iPhone 16がMLOや、320MHz帯域の通信など、どこまで対応しているのかは、記事執筆時点では情報不足でまだはっきりしていない。

WXR18000BE10Pの場合、LAN 1が10GbEに対応しているので、マルチギガに対応する製品をこのポートに繋げばギガビットを超える速度での接続が可能だ

 といっても、現在のところ6GHz帯を利用している人が少ないから、帯域を独占して使えるし、ほかの人の電波と干渉する可能性も少なく、安定して効率的な通信を行うことができる。2.4GHz帯は電子レンジの利用でも影響を受けたりもするし、5GHz帯も利用する人が多く、会社のオフィスなど、人が集まるところでは混雑している。その点、6GHz帯はまだまだ利用している人が少なく、空いているというわけである。

 また、さまざまな帯域を使えるということで、数多くのデバイスを安定して利用できるというメリットもある。以前だと、Wi-Fiに繋がっているのはPCとスマホぐらいだったが、今やTVを見るのもネット経由だし、スマートスピーカーや、セットトップボックス、電子レンジ、冷蔵庫、スマートロック、セキュリティカメラ、室温を計るためなどのセンサーモジュールなど、非常に多くのデバイスがWi-Fiルーターを介して接続されている。さらに夫婦そろってテレワークで、2台のPCで同時にWeb会議に出るようなシーンもあるだろう。そうした中においても、一部を6GHz帯に振り分けることで余裕が生まれ、通信を安定して利用することができる。

iPhone 16 Pro MaxとバッファローWXR18000BE10Pで、速度を計測

 まずは、iPhone 16 Pro MaxをWi-Fi 7対応のバッファローWXR18000BE10Pを使って、インターネットに接続してスピードテストを行なった。

 わが家は、NURO 光の2G契約なのだが、軽々と1.1Gbpsの通信速度を実現してくれた。これまで使っていたルーターでは600~700Mbpsだったので、これだけでも効果は大きい。

わが家のNURO 光(2G)に繋いでテストすると1.1Gbpsをマーク。しかし、1ギガの有線LANポートしか持たないONUがボトルネックとなってWi-Fi 7の本領発揮とはいえない

 ただし、我が家で使っているNURO 光のONUが、ギガビットの有線LANしか持っていないため、どんなにWi-Fiが速くてもこれ以上の速度は出ない。

 そこで、INTERNET Watch編集部の協力を得て、iPerf3を使った通信速度の計測を行なってみた。バッファローWXR18000BE10Pに有線LANでPCを接続(2.5GbEのUSB LANアダプターを経由)し、さらにiPhoneをWi-Fi接続して、PCとiPhone間での転送速度を計測する。これであればネット回線の影響を受けずにWi-Fiの速度を計測できるというわけだ。

iPerf3をインストールしたPCをサーバーとしてWXR18000BE10Pに接続し、それをiPhone 16 Pro Max側のiPerf3をクライアントとして接続して速度を計測した

 実は最初は速度があまり出なかったのだが、6GHz帯固有のSSIDを有効にして接続してみたところ一気に速度がアップした。

 その結果はというと、ギガビットをサクッと超えてきて、5回ずつ計測した平均値で、アップロード1761Mbps、ダウンロードで1470Mbpsというもの。

 筆者的にはかなり速いと感じたが、Wi-Fi 7の理論値であればもっと出てもおかしくないそうだ。もしかしたらファームウェアのアップデートでさらに向上する可能性もあるが、現時点ではなんとも言えない。

 ちなみに編集部 瀬戸氏の手持ちのiPhone 12(Wi-Fi 6対応)で計測してもらったところ、おおよそ850~860Mbpsというところだったので、かなり高速化していることが分かる。Wi-Fi 6Eに対応したiPhone 15 Proシリーズからの変更だとそれほど差を感じないかもしれないが、それ以外のWi-Fi 6対応モデルからの買い換えであれば、かなり差を体感できると思う。

5回の実測値の平均でアップロード時は1761Mbps、ダウンロード時でも1470Mbpsを発揮。理論値には遠いが、ネット回線も有線LANも1Gbpsが一般的なことを考えれば十分に速いと思う

Wi-Fi 7到来に向けて、ルーター側も更新しておきたい

 Wi-Fiルーターは、インフラとしてついつい長い間継続して使いがちだが、家庭のネットワークの一番肝心な部分だ。どんどん新しいガジェットを買っていても、Wi-Fiルーターが古い規格だとそこがボトルネックになってしまう。

 かくいう筆者も家のWi-Fiルーターは恥ずかしながらWi-Fi 5世代のものを使っていた。それでも600Mbpsぐらい出るので満足していたが、Wi-Fiルーターを替えただけで2倍近い速度が出たので驚いた。

 今後、iPhone 16シリーズだけでなく、MacBook ProやiPadなどもWi-Fi 7に対応したものに買い替えていくだろうから、それらの性能を生かすためにも、新しいWi-Fiルーターを導入したいと思った。

INTERNET Watch編集部員やライター陣が、実際に使ってオススメできると思ったテレワークグッズをリレー形式で紹介していく「テレワークグッズ・ミニレビュー」。もし今テレワークに困りごとを抱えているなら、解決するグッズが見つかるかも!? バックナンバーもぜひお楽しみください。