甲斐祐樹の Work From ____
第2回:「カラオケパセラ」のワークスペース時間貸しサービス
「おしごとパセラ」なら “テレビ会議できる個室”が低廉な料金で利用可能
2020年9月25日 07:00
「おしごとパセラ」は、株式会社ニュートンが展開する「カラオケパセラ」のカラオケ用個室をワークスペースとして時間貸しするサービス。対応店舗は現在のところ全11店舗で、エリアは東京都内中心だが、横浜や大阪でもサービスを提供している。
料金(税込)は店舗共通で、2時間1400円から利用が可能。料金内で1時間に1回ドリンクが注文可能なほか、後述する設備も追加料金なく無料で利用できる。
また、「カラオケパセラ」上野公園前店の1階にある「クロックカフェ」上野アクア店は、オープン席エリアとなるものの、1時間500円から利用できるほか、約20種類のドリンクが料金内で飲み放題だ。
「外出先でテレビ会議できる場所が無い!」との悩みを解決
おしごとパセラの特徴は、低廉な価格で個室を利用できる点にある。リモートワークの作業場所としてカフェやファミリーレストラン、コワーキングスペースで仕事をする機会は増えているが、課題となるのはテレビ会議の利用時だ。周囲に人がいる場所であれば声を出しての打ち合わせがしにくいし、企業秘密に関わるような内容であればなおさら難しい。
しかし、カフェやレストランでは当然ながら会議室のような場所は無く、コワーキングスペースなども会議室は別料金だったり、ドロップインと呼ばれる1日限定の利用者では利用できないこともある。「外出先でテレビ会議できる場所が無くて困る」という悩みは、多くのリモートワーカーが直面する悩みの1つだろう。
その点、おしごとパセラであれば、自分だけの個室を2時間1400円から利用可能。ドリンクも1時間に1杯無料のため、カフェでドリンクを注文することを考えればよりリーズナブルだ。
カラオケだと隣の人の歌声が気になる、という人もいるかもしれないが、おしごとパセラではその心配も不要だ。おしごとパセラ対応店舗では、カラオケの利用者とおしごとパセラの利用者のエリアが別になっており、多層階の場合はフロアも異なるため、カラオケの歌声が入るという心配はほぼない。部屋の防音効果も高く、ビデオ会議のような会話の音量であれば、隣の部屋に声が聞こえることもないという。
無料で利用できる周辺機器が充実。キーボードやマウスのほか、外付けディスプレイも
設備の充実度もおしごとパセラの重要なポイントだ。おしごとパセラのフロアは入り口にディスプレイやキーボード、マウスといった周辺機器が用意されている。いずれも無料で利用でき、スタッフに声をかけることもなく、空いているものをすぐに使えるという手軽さも魅力だ。
貸出品は、PC周辺機器だけでなく、室内が暗めなカラオケ個室のためのデスクライトや除菌用のウェットティッシュといった備品に加え、プリンターやホワイトボードといった機材も用意されている。
カラオケならではの大画面をディスプレイとして利用可能。「昇降式テーブル」も導入開始
個室内では、前述の貸出用ディスプレイはもちろん、カラオケならではの大画面ディスプレイも外部ディスプレイとして利用可能で、接続用のHDMIケーブルも用意されている。また、当然ながら電源や充電ケーブルも完備されている。
個室内のテーブルもリモートワーク用に昇降式のテーブルを導入。カラオケのテーブルはPCで作業するには低めだが、昇降式テーブルなら作業しやすい高さに調節できる。昇降式テーブルは全店舗ではないものの、おしごとパセラ対応店舗で順次導入を進めているという。
カラオケで提供してきたフードメニューの設備を活用し、おしごとパセラ用のランチサービスも提供。「実際には1000円近い価格帯」というランチをワンコイン、500円から注文できる。
設備やサービスは、利用者の要望に応えて随時アップデート
おしごとパセラのサービスが始まったのは今年の3月6日だが、カラオケの店舗をワークスペースとして提供するという試みはそれよりも前から展開されていた。パセラでは、コワーキングに特化した「パセラのコワーク」を2014年10月に東新宿で、2018年5月に東神田でオープン。さらにパセラのコワークの延長として、カラオケ店舗の一部を「パセラのコワーク サテライト」という名称でコワーキング用に提供してきた。
コワーキング事業は順調に伸びていたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、一時期はドロップインの利用を停止して会員のみとするなど営業を縮小。さらに、カラオケ事業も国からの休業要請を受けて臨時休業を余儀なくされるなど、事業全体で大きなダメージを受けたという。
事業全体が厳しい状況の中で、コロナ禍においては制限の対象であったカラオケを、リモートワークという別の価値として提供するという発想によっておしごとパセラが実現。単なる場所の提供にとどまらず、パセラのコワークで培ってきた運営ノウハウも活用することでサービスの充実を図っている。
こだわりの1つが、設備やサービスのこまめなアップデートだ。これはカラオケ事業とも通じる経営理念とのことで、利用者の要望をサービスの改善につなげるためのミーティングを毎週実施。カラオケとコワーキングでフロアを分けるという施策も、利用者の声から生まれたのだという。
利用者に対してはアンケートをただ実施するだけでなく、アンケートを手渡しして「お客さまの声が改善につながります」というメッセージを伝えるとともに、実際のアンケート結果を店内やウェブで公開。利用者の声を反映していることを利用者に伝えることで、利用者とともにサービスを作っていく方針だ。
もともとが非常に低廉な価格帯ながら、リピーター向けの回数券や定期券といったサービスも開始。月2回以上の利用であれば確実に得をする価格設定だという。おしごとパセラでは今後も利用者の声に耳を傾けながらサービスの向上を図っていく。利用者はぜひ、利用してみた率直な感想をアンケートで答えてみて欲しい。
この連載について
ビジネスパーソンが仕事をする/できる場所が多様化しています。従来からの企業の自社オフィスやシェアオフィス/コワーキングスペースはもとより、コロナ禍で広まった在宅勤務(Work From Home)、ホテルやカラオケボックスのテレワークプラン、さらにはお寺や銭湯まで(!?)。この連載では、そうしたざまざまな「Work From ○○」の事例や、実際にそこで仕事をしている人・企業の取り組みなどを、フリーランスライター・甲斐祐樹がレポートします。