イベントレポート

CEATEC 2023

車載機能が360°から見られる透明な車など、パナソニックグループが最新技術を展示

未来ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」を中心に環境性能をアピール

CEATEC 2023のパナソニックグループのブース

 CEATEC 2023に、5年ぶりに出展したパナソニックグループは、同社の長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」を中心に、同社が持つ環境技術や環境関連ソリューションなどを展示した。

パナソニックグループブースのステージ。「Panasonic GREEN IMPACT」を中心に環境技術を説明
ブース全体で社員を前面に押し出している点が特徴だ

「CONTRIBUTION IMPACT」エリア

クルマの中身を360度から見られるようにしている
パナソニックグループのデバイスなどがどこに使われているのかを確認できる

 「CONTRIBUTION IMPACT ~既存事業による社会への排出削減貢献事例~」のエリアでは、3つのソリューションを展示している。

 1つめは、Automotive Devices & Solutionsである。

 パナソニックグループの広範な車載デバイスやソリューションを一堂に集めて、1つのクルマとして展示。360度のあらゆる角度から、構成を見ることができるようにしている。

 パナソニックオートモーティブ、パナソニックインダストリー、パナソニックエネジーの3社が取り扱っている約60個のデバイスやモジュールを活用。環境課題の解決や、快適な車室の実現、安心安全の実現に、どんな貢献をしているのかを知ることができる。

 たとえば、タッチパネルから、EVのコアデバイスを選択すると、EVバッテリーやモーターなどを光で示す。また、インフォテイメントシステムやLEDヘッドライト、ブレーキ、アクティブサス、AD/ADAS、電動ドアなどを提供していることを、わかりやすく説明している。

EVバッテリーは車載における基幹事業のひとつ
車内インフォティメント分野でも提案を行う
LEDヘッドライトやAD/ADAS、ブレーキ/アクティブサスも提供している

エネルギー安定供給を担う「RE100」

 2つめは、RE100ソリューションである。

 RE100は、事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで賄うもので、純水素型燃料電池と太陽電池、蓄電池を組み合わせた3電池を、EMS(エネルギーマネジメントシステム)によって、高度に連携制御することで、電力需要変化や天候による再生可能エネルギーの出力変化に追随。電力需給を調整して、24時間365日の安定供給が可能になるという。パナソニックでは、滋賀県草津市の白物家電事業の拠点において、RE100ソリューション実証施設「H2 KIBOU FIELD」を展開。燃料電池工場の製造部門の全使用電力を賄っているという。

RE100ソリューションはジオラマで訴求

太陽光で作った電気を蓄える「eneplat」

 3つめが、ゼロエミッションハウスおよびV2Hである。

 クリーンエネルギーのプラットフォームであるV2H蓄電システム「eneplat」を展示。太陽光が作る電気を、蓄電池やEVに同時に貯めることで電気を余らせることなく活用できるだけでなく、必要なときに自由に使うことができる仕組みを、16面マルチスクリーンを使った映像で表現した。なお、V2H蓄電システム「eneplat」は、パナソニックホールディングスの楠見雄規グループCEOが、自宅に導入したところだという。

16面マルチスクリーンでV2H蓄電システム「eneplat」などを説明
V2H蓄電システムは、パナソニックホールディングスの楠見雄規グループCEOが自宅に導入したという

「FUTURE IMPACT」エリア

 「FUTURE IMPACT ~新事業・新技術による社会への排出削減貢献事例~」のエリアでは、今後、事業化を目指している新たな技術を3つ展示した。

 こちらの1つめは、ペロブスカイト太陽電池である。

 同社では、独自の材料技術やインクジェット塗布工法により、発電層をガラス基板上に直接形成したガラス建材一体型ペロブスカイト太陽電池を開発。これを「発電するガラス」と位置づけて、さまざまな建築物への利用を目指している。

 レーザー加工技術と組み合わせることで、サイズ、透過度、デザインなどの自由度を高めることができ、カスタマイズにも対応できる。会場では、全面塗布、20%透過、40%透過、グラデーションの4種類のモジュールを展示。ビルや住宅の窓など、光を取り込む必要がある場所にも利用できるようになる。実用サイズ(30cm角)のモジュールとしては、世界最高レベルの光電変換効率17.9%を達成しているという。

開発中のペロブスカイト太陽電池
透過度が異なるペロブスカイト太陽電池も展示
ペロブスカイト太陽電池はビルの窓などにも使用することを想定している

高機能セルロースエコマテリアル「kinari」

 そして、2つめは、セルロースエコマテリアル/kinariである。従来の石油由来樹脂とほぼ同じ性質をもちながら、最低で55%、最大で85%のセルロース(植物繊維)を含むサステナブルな高機能素材である「kinari」を紹介。福知山市の小中学校では、2023年9月から、地元間伐材で製作した給食食器を使用している例などを示した。また、竹や杉、コーヒー豆かすなどを原料にしたkinari製品も展示している。

kinariで作られたセルロース素材のカップを触ることができる
福知山市の小中学校で使用されているセルロースによる給食食器
竹や杉、コーヒー豆かすなどを原料にしたkinari製品も展示

CO2を吹きかけて収穫に貢献「バイオCO2変換」

 最後の3つめは、バイオCO2変換である。空気中のCO2をもとに、農作物の成長を刺激、補助する成分を合成し、農作物の葉に吹き付けることで、収穫量を増加させたり、安定的な生産を実現したりすることができる。ほうれん草やトマト、とうもろこし、大豆などで生育の効果が実証されており、2024年度には実用化を予定している。ブースでは、光合成微生物を使って、成長促進成分を合成させる装置模型などを展示している。

成長促進成分を合成させる装置模型。ほうれん草では収穫量が40.9%も上昇した

パナソニック インダストリーは透明導電フィルム「FineX(ファインクロス)」を展示

 パナソニック インダストリーは、キーデバイスエリアに出展し、「未来を創るテクノロジー」をコンセプトに、車載CASE、工場省人化、情報通信インフラソリューションの3点から展示を行った。

 とくに、車載CASEでは、透明導電フィルム「FineX(ファインクロス)」が注目を集めていた。人の目には見えないと言われる幅2μmの配線を両面一括で構成できるのが特徴で、高い配線アスペクト比により、低い抵抗と高い透明性を両立しているという。ブースでは、クルマのフロントガラスにFineXを使用し、見えない細さの金属配線に電流を流すことで、「透明なヒーター」を実現するデモストレーションを実施。フロントガラスに蒸気を噴出しても、FineXのガラスはまったく曇らない様子を実演していた。

パナソニックインダストリーのブース
右のガラスがFineX。左側のガラスは曇っているのがわかる