ニュース
パナソニック、「CEATEC 2023」に5年ぶり出展。「GREEN IMPACT」への取り組みを紹介
2023年10月2日 14:45
パナソニックグループは、10月17日~20日に幕張メッセで開催される「CEATEC 2023」に、5年ぶりに出展することを発表し、展示内容について説明を行った。
同社の長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」を具現化する「くらし」「街・工場」「モビリティ」などの領域において、CO₂削減貢献につながる環境技術やソリューションを中心に展示する。
CEATEC2023のテーマと「Panasonic GREEN IMPACT」に親和性
「CEATEC 2023が掲げる社会課題の解決や環境課題の解決というテーマと、パナソニックグループが伸ばしていく事業との親和性ができたことから、5年ぶりの出展を決めた」と、同社の伊藤寛人氏(パナソニックオペレーショナルエクセレンス スペース&メディアコミュニケーションセンター スポンサーシップ・イベント推進室 展示・イベント課課長)は、出展の背景と展示の方向性を示した。
CEATECの主要テーマのひとつである「サステナビリティ」において、そのキープレーヤーであるパナソニックの独自性である「Panasonic GREEN IMPACT」の考え方と、削減貢献につながる環境技術が、具体的にどう社会に役立つのかをわかりやすく理解できるようにしたという。展示では、人(従業員)にハイライトしたストーリーで企業姿勢を伝えるとしている。
来場者を分析すると、CEATECのでは20~30代が全体の36.7%を占め、他の展示会よりも若いビジネスパーソンの来場が多い傾向があることを、伊藤氏は指摘。「エレクトロニクス業界に関心を持ち、業界動向を把握したい学生や若年層のビジネスパーソンに対して、パナソニックが地球環境問題の解決に向けて真剣に取り組む企業姿勢を訴求していく。幅広い領域における先進な環境への取り組みを知り、将来性を感じ、好意を伴って、記憶に残ってもらえるような展示内容を目指した」とも述べた。
会場のアドバンスドテクノロジーエリア(ホール6)に、20コマのブースで出展。ブース中央に設けたステージでは、Panasonic GREEN IMPACTを訴求するとともに、従業員によるトークセッションを実施。ブース内では、映像やグラフィックにより、担当者の思いや苦労を表現するという。
展示については、Panasonic GREEN IMPACTで打ち出している「CONTRIBUTION IMPACT」「FUTURE IMPACT」の観点から行うことになる。いずれも、すでに発表済みの展示内容となっているが、一部には現物を初めて公開するといったものもある。
Panasonic GREEN IMPACTは、同社が2022年1月に発表したもの。2030年までに全事業会社のCO2排出量を実質ゼロとし、2050年に向けて商品からのCO2排出量を減らし、さらには、B2B/Gの顧客に省エネソリューションやクリーンエネルギー技術を提供することで、社会のCO2を減らす活動を進めるとしている。
インパクト(CO2排出量削減への貢献)の具体的な取り組みとして3種類が挙げられており、自社バリューチェーンにおける取り組みを「OWN IMPACT」、既存事業による排出削減貢献を「CONTRIBUTION IMPACT」、新事業・新技術による排出削減貢献を「FUTURE IMPACT」と呼んでいる。
EV車や再生可能エネルギー技術などを展示
幅広い環境領域における先進の取り組みであり、今後、事業化に向けた共創が注目される「CONTRIBUTION IMPACT」では、3つの展示を行う。
1つめは、パナソニックオートモーティブ、パナソニックインダストリー、パナソニックエネジーが持つEV普及の貢献につながる車載ソリューションを、スケルトンカーを使って紹介する展示だ。パナソニックグループが持つ製品や技術がEVの車内でどう活用されているのかを、光を使って示したり、タッチパネルで確認できたりする展示とし、地球課題の解決や快適な車内環境の実現に貢献していることを示す。
2つめは、クリーンエネルギーを活用して、快適な暮らしを提供する「ゼロエミッションハウス」および「V2H(Vehicle to Home)」である。太陽光がつくる電気を、蓄電池や電気自動車に貯めて、必要なときに自由に使うことができる仕組みを映像で紹介。家の中が実物大で見える大きな窓を、16面マルチスクリーンで映像投影するとともに、平常時も、停電時も、効率よく電気を活用できるクリーンエネルギープラットフォームとして提案。V2H蓄電システムの「eneplat」や、V2Hスタンドなどを展示する。
3つめが、工場稼働に必要なエネルギーを、水素や太陽エネルギーで自給自足する「RE100ソリューション」である。これは、5kWタイプの純水素型燃料電池と太陽電池、蓄電池を組み合わせたEMS(エネルギーマネジメントシステム)であり、すでに、滋賀県草津市のパナソニック草津工場で実証実験を行っている。100%再生可能エネルギーでの工場稼働を目指しており、全体像をジオラマで展示する予定だ。
「ペロブスカイト太陽電池」や「kinari」などの新技術も
将来性を感じさせる先進の取り組みと位置づける「FUTURE IMPACT」でも、3つの展示を行う。
1つめのペロブスカイト太陽電池は、同社独自の材料技術やインクジェット塗布工法により、発電層をガラス基板上に直接形成してガラス建材と一体化。「発電するガラス」として開発を進めているものだ。会場では透過度の異なる4つのモジュールを展示するという。
2つめは、植物由来のマテリアル素材であるセルロースエコマテリアル「kinari」である。これは、従来の石油由来樹脂とほぼ同じ性質をもちながら、最大85%の植物繊維を含んだサステナブルな高機能素材。会場では、京都府福知山市の小中学校で使われている地元間伐材で製作した給食食器のほか、竹や杉、コーヒー豆かすなどを原料にしたkinari製品を展示する。
3つめが、空気中のCO2を活用し、農作物の収穫量を増やすことができるバイオCO2変換である。独自開発した光合成微生物の働きで、空気中のCO2から農作物の成長を刺激したり、成長を補助したりする成分を合成。農作物の葉に吹き付けることで収穫量を増加させたり、安定させたりすることができる。
なお、パナソニックグループのブースの設営においては、ファブリック素材の活用やリユース素材の採用を積極的に行っているほか、ブース内で使用する電力は、100%再生可能エネルギーを使用しており、その観点からも環境に配慮した展示になっているという。
パナソニックインダストリーは独立して「未来をつくるテクノロジー」を展示
一方、アドバンスドテクノロジーエリアでの展示とは別に、パナソニックインダストリーが、キーデバイスエリア(ホール4)に、6コマのブースを出展する。学生から技術者までを対象に、「未来をつくるテクノロジー」を体感できるという。
ブース内では、高い透明性と低い抵抗値を兼ね備えた透明導電フィルム「FineX(ファインクロス)」や、低熱抵抗、高信頼性、簡単インストールが可能な熱対策シート「Graphite TIM」のほか、低伝送損失多層基板材料「MEGTRON(メグトロン)」、半導体デバイス材料「LEXCM(レクシム)」、熱硬化性ストレッチャブルフィルム「BEYOLEX(ビヨレックス)」を展示。超軽量電磁波遮蔽材料や、カーゴドラゴン(SpaceX CRS-27)に搭載した航空宇宙向け電子材料の紹介が行われるほか、参考出展として、開発中であるバルク弾性波型MEMSジャイロセンサ技術を用いた高精度ジャイロセンサも展示する。
CEATEC 2023は、「デジタルイノベーションの総合展示会」として、2023年10月17日から20日までの4日間、千葉県千葉市の幕張メッセで開催。今年で24回目を迎える。