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「CEATEC 2023」出展者募集開始、これまでの出展企業が語る「アジアを代表する一大見本市」の魅力

10月17日~20日に幕張メッセにて開催

 デジタルイノベーションの総合展示会である「CEATEC 2023」の開催概要が発表された。

 会期は2023年10月17日~20日の4日間、千葉県千葉市の幕張メッセで開催。「経済発展と社会課題の解決を両立する『Society 5.0』の実現を目指し、あらゆる産業・業種の人と技術・情報が集い、『共創』によって未来を描く」を開催趣旨とした。主催は一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)。共催は一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)、一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ)。

 幕張メッセの会場は、5つのエリアで構成される。Society 5.0の実現に向けたテクノロジー全般の「アドバンスドテクノロジーエリア」。Society 5.0の実現を支える電子部品や電子デバイスの「キーデバイスエリア」。独自テーマを設定して、あらゆる産業や業種のパートナーとともにSociety 5.0の未来社会を体現する共創のための「パートナーズパーク」。国内外のスタートアップや研究成果の社会実装のほか、大学や教育機関などが出展する「スタートアップ&ユニバーシティエリア」。そして、海外企業が出展する「グローバルエリア」だ。

CEATEC 2023会場の出展者向け資料より。アドバンスドテクノロジーエリア、キーデバイスエリア、パートナーズパーク、スタートアップ&ユニバーシティエリア、そして(上記資料にない)グローバルエリアの5つのエリアで出展エリアが構成される

 また、2023年9月1日~10月31日までの期間は、公式ウェブサイトにおいて出展企業などの情報を掲載。フリーアクセス領域と、デモストレーションや動画などを配信できるログイン領域を用意する。オンラインだけの出展も可能だ。

 なお、CEATEC 2023の各種企画やコンファレンスなどの詳細は、今後順次発表されるが、コンファレンスは、コロナ前と同様に、リアル会場で開催する計画が明らかにされた。

 出展申し込み受付は2月7日午前10時から開始し、5月31日が申し込み締め切りとなっている。優先申込期限は4月28日としている。

開催までのスケジュール

「ビジネスチャンスが生まれる場に」―エグゼクティブプロデューサー鹿野氏

CEATEC エグゼクティブプロデューサーの鹿野清氏

 CEATEC エグゼクティブプロデューサーの鹿野清氏は、「CEATEC 2023は、次世代を見据えた展示会になる」と宣言。次世代の社会であるSociety 5.0の実現に向けて、デジタル田園都市構想の具体的な共創事例を紹介するとともに、出展社と来場者、出展社同士が共創する場を提供し、これを従来以上に広げていきたいと、抱負を述べた。

 スタートアップや学生、若手ビジネスパーソン向けの取り組みにも言及。「次世代を支える技術やデバイスを、エリアを特化した形で展示し、次世代の鍵を握る日本のスタートアップ企業にも、得意とする技術やノウハウ、ソリューション、サービスを展示してもらい、新たなビジネスチャンスを提供する場にしたい。さらに、次世代の人たちに向けた人材育成にも力を注ぐ。学生だけでなく、入社1年目、2年目といった人たちにもデジタルに関心を持ってもらい、世の中の変化を認識してもらえる場にしていく考えである。CEATEC 2023には、新たな提案をたくさん盛り込んでいる。ビジネスチャンスが生まれ、多くの人に出会えるチャンスになる」と述べた。

 3年ぶりにリアル会場での開催となったCEATEC 2022に続き、リアル会場に人が集うことの価値を、「CEATECは、デジタル産業を支える人たちと、デジタル技術を活用する人たちが一堂に介する場である」と強調。「一堂に介する人たちは、明日のビジネスを動かし、未来の社会を創り出していくイノベータにほかならない。政府関係者や産業団体、メディアも、イノベーションを起こすサポーターである」とも語った。

 CEATECは、2000年に第1回目を開催。当初は、デジタル家電や、PC、スマホなどのIT製品、ソリューションやサービスなど、その時代の最先端の技術、製品、ソリューション、サービスを展示してきた。昨今は超スマート社会を実現するSociety 5.0のショーケースとして位置づけ、2022年10月には、3年ぶりに幕張メッセで展示会を開催していた。

 さまざまな業種の参加者が集まるイベントとして、CEATECは、エンゲージメントの強化やブランド認知度の向上、新規案件および共創先の獲得、販路拡大といったビジネスチャンスが期待できる。それだけでなく、社内向けにも、理解度向上、モチベーション向上といった効果があるという。鹿野氏は「出展ブースを訪れた社員が、自分の会社ではこんなことをやっていたんだということに気づき、会社の価値を再認識した」という、出展社のエピソードを紹介した。

 CEATEC 2022の来場者を分析すると、年代も業種も、非常に幅が広いという。鹿野氏は「日本の全ての産業界からの来場者をカバーできる展示会にしたい」と語り、また、政府関係者や産業団体関係者からの関心が高いとも語り、CEATEC 202の2オープニングセレモニーには、岸田文雄首相がビデオメッセージを寄せたことなどを紹介した。

CEATEC 2022会場来場者の分析など
岸田首相のほか、多くの業界団体関係者もメッセージを寄せている

「新しい出会いがある、人通りの多い展示会」―出展企業が語るCEATEC効果

 説明会では、「CEATEC出展経験者が語る、出展の秘訣とポイント」と題したパネルディスカッションも行われた。

「少年野球がMLBに挑むようなもの」にも思われたが、出展して確かな手応え

 岩手県でエネルギー事業を展開している北良 代表取締役の笠井健氏は、「80人の地方都市の中小企業がCEATECに出展するのは、少年野球がMLBに挑むようなものだが、岩手では大谷翔平選手が世界に飛び立っており、それを間近に見ている。自分たちも行ってみようと考えた」とジョークを交えつつ、「実装されはじめた技術を見てもらおうと考え、2022年に初めてCEATECに出展し、来場者の意見を集め、世の中に広く実装するきっかけ作りを狙った」と、出展の意図を語った。

 「地方ほど課題が山積している。複数の会社が技術を持ち寄って、ひとつの課題を解決する場として、パートナーズパークに展示できたことがよかった」とした笠井氏は、「ひとつの会社のなかでやっていては価値が広がらない。違う軸を持った人たちに対して、自分たちがやっていることを問うことができるのがCEATECであり、道場のような場所である。課題に対するアプローチを磨き合う場であり、エンジニアを開放できる場である」と、出展しての実感を述べた。

北良 代表取締役の笠井健氏

CEATEC AWARDでの受賞が躍進のきっかけに

 ドローン事業を行っているスタートアップ企業のエアロネクスト 代表取締役 CEOの田路圭輔氏は、「大手企業との連携を目指していた2018年に、CEATECに1コマだけで出展したが、それでは誰もブースに来てくれないと思い、CEATEC AWARDにも応募し、幸運にも経済産業大臣賞を受賞した。それによって、認知度が一気に高まり、会社のステージが大きく変わった」と、成長のきっかけになったことを振り返った。

 同社はその後、メディアで取り上げられ、エアロネクストの技術を見るためにCEATECに来場した人もいたという。「ドローンの専門展示会では技術の話が中心になりがちだが、総合展示会のCEATECでは、技術をどう見てくれるのか、社会にどう受け入れられるのかを試すことができる場になる。ただし、単に展示するだけでは見過ごされてしまう。しっかりと準備をして、注目してもらうための仕掛けが必要である」と、出展にあたっての注意点も語られた。

エアロネクスト 代表取締役 CEOの田路圭輔氏

社外の来場者向けだけでなく、自社幹部に向けた社内マーケティングの場にも

 日本マイクロソフト 金融サービス事業本部 業務執行役員の藤井達人氏は、かつて在籍していた三菱UFJフィナンシャル・グループで、CEATECに出展。当時は、金融機関によるCEATECへの出展が大きな話題を集め、多くの人が集まっただけでなく、社内マーケティングにも活用できたという。「CEATECの強みは集客力であり、ものすごい数の人がブースにきた。さまざまな業界の方々とのコミュニケーションが可能になり、期待値を大きく上回った。全国の銀行店にお客様が来店したときの話題づくりになったり、グループ内の役員や社員が来場し、銀行とデジタルによってどう変わるのかを見せる場として、社内マーケティングにも活用した。また、毎年、CEATECに出展するようになると、そこに向けて、なにかを作っていくという新たな動きにもつながる。メガバンクが未完成のものを展示するということは異例だったが、来場者から生の声をもらい、それを反映することができた」。

 また、日本マイクロソフトでは、プラットフォーム上で動作するソリューションを開発するパートナー企業とともに、CEATEC 2022のパートナーズパークに出展。「サステナビリティをテーマに出展したが、社内およびパートナー企業との関係を整理でき、それを見せることができた」と語った。

日本マイクロソフト 金融サービス事業本部 業務執行役員の藤井達人氏

高いパブリシティ効果、各省庁からの関係者との出会いも

 三菱電機の酒井尚志氏は、「CEATECへの出展メリットは、各省庁の大臣や審議官、政治家、大使館員、企業の役員をはじめとして、普段会えない人に説明の機会が得られること、報道各社が積極的に記事化してくれるため、パブリシティ効果が大きいこと、産業の枠を超えた展示会であるため、他の業界の新たな顧客に対して説明ができることにある。オンライン開催の期間は厳しかったが、昨年はリアル開催に戻り、パブリシティの露出も増えてきた」と評価した。

 NECの後藤和男氏も、パブリシティ効果や、多彩な参加者を評価。「業界団体が主催しているため、日本の経済を意識したり、グローバルを目指したテーマづくりをしている点が、他の展示会とは異なる。また、NECでは呼べないようなさまざまなお客様が来場したり、後援している各省庁の関係者も数多く来場したりといったこともCEATECの特徴のひとつである。メディアによる露出の効果も大きい。NECが目指す方向性と、CEATECのキーワードが合致しており、長年出展を続けているが、NECがなにを目指しているのかといったことを伝える機会は意外と少ないため、CEATECを活用することで、ブランド認知を高める場としたり、リード獲得や、開発中の技術や製品を展示して反響を聞くという場にもなる」と述べた。

CEATEC実行委員会メンバーの酒井尚志氏(三菱電機)
CEATEC実行委員会メンバーの後藤和男氏(NEC)

アジアを代表する一大見本市

 MM総研 代表取締役所長の関口和一氏は、「CEATECは、アジアを代表する一大見本市である。プライベートイベントとは異なり、多くの人がやってくる『人通りの多い』展示会であり、新しい出会いがある」と評価したほか、Society 5.0や共創といったテーマ性を持っている点も特徴だと述べた。

 「将来の技術の方向性や、企業が進むべき道を示してくれる展示会だ。CEATECを、日本のパワーを国内外に示し、産業全体を盛り上げる効果にもつなげたいと思っている。ドローンやメタバース、量子コンピュータなど、新たな技術を見せることで、日本のプレゼンスをあげていくことができる」と、世界に向けてアピールできるCEATECの力を関口氏は語った。

MM総研 代表取締役所長の関口和一氏