インタビュー

古くから使っている機器は交換を!「eo光」がWi-Fiルーターの見直しを気にかける理由

「関西・戸建シェアNo.1」をうたうオプテージに聞いてみた

「eo光」ユーザーに「Wi-Fiルーター見直し」を呼びかけるオプテージに話を聞いた

 オプテージでは、INTERNET Watch編集部が提案している、11月11日の「Wi-Fiルーター見直しの日」にあわせ、同社が提供する光インターネット接続サービス(FTTH)「eo(イオ)光」ユーザーに向けて、Wi-Fiルーターの「見直し」を公式アプリ上で呼びかけている。この取り組みについて、オンラインにて取材した。

 11月11日の「Wi-Fiルーター見直しの日」は、年に一度の頻度で、家庭でWi-Fiルーターの「見直し」をすることを提案するという呼びかけ。部屋のすみっこでホコリをかぶって放置しがちなWi-Fiルーターを、年に一度くらいは目を向けて、掃除をして設定を見直してもらいたいというような趣旨だ。

 今回、説明してくれたのは、オプテージ 技術開発部 ネットワーク技術開発チーム 藤田雄介氏と、オプテージ サービス開発部 コンシューマプロダクトチーム 西本卓恭氏。オプテージは関西電力グループで以前はケイ・オプティコムという社名だったので、そちらを覚えている人もいるかもしれない。また、FTTH接続サービス以外に、全国向けにモバイル回線のMVNO「mineo(マイネオ)」も提供しているので、そちらで知っている読者も多いだろう。

 現社名であるオプテージになったのが2019年。関西電力の電柱を使って光ケーブルを敷設しているため、FTTHのサービスエリアは関西の大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県、福井県の一部の地域となっている。

株式会社オプテージ 技術開発部 ネットワーク技術開発チーム 藤田雄介氏
株式会社オプテージ サービス開発部 コンシューマプロダクトチーム 西本卓恭氏

競争の激しい関西エリアでシェアNo.1の実績!

 現在「eo光」では、最大通信速度を10/5/1Gbpsから選択ができ、光電話や光テレビ、Netflix契約なども追加選択できる「eo光ネット」を提供しているほか、最大10Gbpsでネット接続のみを提供する「eo光シンプルプラン」を今年10月から開始しており、どちらも地域最安クラスの意欲的な料金設定となっている。

 関西エリアではインターネット接続サービスの競争が激しいようで、全国的にみても割安に家庭に光インターネットを引くことができる。2024年7月時点でのオプテージ調べで「関西の戸建て向けインターネット回線市場において、シェアNo.1を獲得」したという。スマホ回線と併せた割引はauと提携した「auスマートバリュー」とmineoで行われている。なお、eo光は、オリコンによるインターネット回線の満足度調査で4年連続、関西圏一位になっている。

 また、光回線とISPの両方を1社で提供しているというのも特徴だ。利用者としては分かりやすく、またサポートも受けやすい。回線接続機器は、有線LAN接続であれば無料でレンタルできるというお得なサービスとなっていて、無線ルーター機能を105円/月でオプションで追加できる。

独自のレンタルルーターで「使いやすさ」に注力サポートにも自信あり

 現在提供されているのは「eo光多機能ルーター」と「eoホームゲートウェイ」の2機種。違いは光ファイバーに接続するONU(光回線終端装置)の有無で、多機能ルーターでは別付け、ホームゲートウェイは本体内に内蔵されている。Wi-Fi機能は申し込めば両方とも利用でき、現行モデルの多機能ルーターはWi-Fi 6、ホームゲートウェイはWi-Fi 6Eに対応する。これらはオプテージの仕様にあわせてルーターのメーカーが製造した専用モデルとなっている。

 回線接続方法はPPPoEを使っていて、1セッションにIPv4とIPv6のデュアルスタックで接続する構成だ。この接続が可能な市販機器はあまり多くない。ちなみにPPPoE接続に「遅い」というイメージを持っている人もいると思うが、これは、PPPoE接続を使っていたフレッツ網などで過去に混雑が起きたためだと思われる。この時の理由は、収容局が接続過多になったためだったが、適正な接続数を確保していれば、PPPoE接続でも問題なく速度が出る。

現行の「eo光多機能ルーター(左)」と「eoホームゲートウェイ(右)」

 「回線接続機器のレンタルは強制ではなく任意なのですが、有線LAN機能は無料で利用できるということもあり、ほとんどのユーザーはレンタルルーターでの接続を選択しています。また、レンタルの半数程度で有償オプションの無線ルーター機能もいっしょにご契約頂いています(西本氏)」という。自前でWi-Fiルーターを用意し、アクセスポイントモードで有線LANポートに接続すれば、無料でWi-Fiも使うことができるのだが、レンタルでWi-Fi 6Eを3年間使ってもトータル3千円台(105円×36カ月)というのは破格。多くがレンタルを選択するのもうなずける。

 ほかにも、メッシュWi-Fi(550円/月)とWi-Fi中継機(100円/月)もレンタルを行っている。接続機器がレンタルであれば、困ったときの問い合わせ先がISPに一本化でき、シンプルに解決できるというメリットがある。

新しいレンタルルーターの色分けされたポート(右)。古いレンタルルーターは色分けがない(左)

 レンタルされるルーターは、誰にでも使えるように細かな部分で工夫があるそうだ。

 例えば、再起動用のリセットスイッチを用意する、インジケータやポートなど全ての表記を日本語にする、有線のLANとWANポートを色分けする、ACアダプターのケーブルにラベルをつける、といったポイントがある。また、設定画面には、Wi-Fiのチャンネルグラフが表示され、周波数帯別に今どんな使われ方をしているのかが判別でき、必要に応じて利用チャンネルを移動させることもできる。

レンタルルーターに用意された「再起動」ボタン。表示は全て日本語表記
レンタルルーター用のACアダプターにはラベルが付いていて抜いても判別できる作り

 Wi-Fiチャンネルグラフは、Androidスマホのアプリなどでも確認できるが、設定画面で手軽に確認できるのは便利だ。また、設定画面にアクセスする動機にもなるので、市販ルーターにはあまり搭載されていないが、とてもいい機能だと思う。「ルーターの設定画面は、お客さまからご要望があれば、サポートオペレーターからも確認できますので、無線チャンネルの混雑状態を見ながら、チャンネル変更をうながしたりすることも行っています。ルーターは色分けや判別しやすいラベルを付けることで、意思疎通しやすく双方に分かりやすいサポートができるような作りにしています(藤田氏)」とサポートする側にも大きなメリットがあるようだ。

設定画面にあるWi-Fiチャンネルグラフの表示。空いているチャンネルが視覚的に判別できる

独自のアプリでサポート様々なお知らせも

公式アプリの「eoアプリ」

 また、サポートに使われているのが公式アプリの「eoアプリ」。

 このアプリで「Wi-Fiルーター見直しの日」に呼びかけも行っているのだが、基本機能としては、開通前の工事ステータスや契約内容の料金の確認、回線速度測定、サポートへの問い合わせなどがある。

 レンタルルーターの設定もできるとスゴイのだが、残念ながらそこまでは対応していないとのこと。それにしても、月々の料金や獲得ポイントのチェックに使うので、ユーザーが割と頻繁に起動するアプリということになる。「このeoアプリ経由でのサポートも含め、お客様対応には一番力を入れている部分です。コールセンターのオペレーターの質のよさも自負していて、実際に反応としてとても好評です(西本氏)」と、サポート体制には自信を見せる。

「Wi-Fiルーター見直しの日」の呼びかけ画面
回線速度測定も利用できる

「古くから使っている機器は交換してほしい」

 そうしたレンタルWi-Fiルーターだが、今回の「Wi-Fiルーター見直しの日」のお知らせを含め、古くから使っている機器の交換は広く告知するようにしているという。

 とくに長期契約ユーザーで古く、サポートができないと思われるルーターに関しては、DMを送付して交換をうながしているそう。そうしたケースでは交換も無償。一方、「まだ新しいがWi-Fiの新規格を使いたい」などユーザー側の理由で交換したい場合は、有料、あるいはプレミアムクラブのポイントを使っての交換になる。

 いずれにしても交換は強制ではなく、ユーザーが判断して動く必要がある。どの程度古いと交換した方がいいか判断に迷う場合は、サポートに相談するといいだろう。早い時期からDLPAが推奨する機能を取り入れていて、現行モデルでは自動ファームウェア更新と、ログインIDもしくはパスワードの固有化といったセキュリティー対策がされている。

 ルーター交換時は、すでに接続情報が書き込まれた新ルーターが送付され、つなぎ換えて交換、接続し、電源を入れるだけで利用できる状態になっているとのこと。こういった機器変更の簡便さもレンタルルーターで回線とISPが一体で提供しているサービスならではだろう。ただし当然ではあるが、Wi-FiのSSIDを変更していたり、ルーターの設定を変更していたりといったオリジナルな設定は、別途自分で再設定する必要はある。

設置場所・設置状況・セキュリティ設定の見直しも

 オプテージからの呼びかけには古いルーターの交換だけでなく、「設置場所の見直し」「設置状況の見直し」「セキュリティ設定の見直し」も入っている。

 ルーターの周辺を掃除しつつホコリを払ったり、電源をリセットしたりということはとても有効だ。「レンタルルーターはファンレスで長期動作も問題なく設計されていますので、内部にホコリが詰まったり、たまにリセットしないと調子が悪くなることは基本的に考えられませんが、定期的に見直しをして貰えればと思います」(藤田氏)とのことだ。

 ホコリがたまるのは電子機器にとっていいことは何もない。コンセントでショートの可能性があるほか、ルーターの通気口を塞いでしまうこともあるだろう。また、たまに再起動することで、LAN内のDHCPサーバーで不要な接続が残っているのを強制的に切ったり、Wi-Fiの接続チャンネルを最適化するなど強制的に接続をリフレッシュする効果がある。また、まず可能性はないが、万が一マルウェアに感染していた場合には無効化させるという効果も期待できる。ときどき掃除も兼ねて「見直し」をしてみて欲しい。

「ルーターを定期的に見直すことはとても重要であると考えています」

 話をうかがっていた中で「eo光のユーザーに、接続サービスを長く快適に使っていただきたい、という考えが根底に流れています。ルーターは、インターネット利用する上で必要不可欠なもの。定期的に見直すことはとても重要であると考えています。eoアプリを使った『Wi-Fiルーター見直しの日』のお知らせは、今後も継続的に行っていくつもりです。ルーターをレンタルしているユーザーは、ITに詳しくないケースもありますので、ポートを色分けしたり日本語のラベリングを付けるなどして、誰でも一見して接続が分かるようにしています。細かい部分までこだわった機器を作ったメーカーも驚くような格安でレンタル提供していますので、安心して使って頂ければと思います(西本氏)」と発言していたのが印象的だった。

 関東に住む筆者は、「eo光」が選択できる関西圏がちょっと羨ましく感じてしまった。新ルーターへの切り替えも前向きな様子なので、「eo光」契約中ユーザーは、ルーターを放置せず定期的な「見直し」を心がけてみてほしい。