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小学校でのプログラミング教育「不要」とみる教育関係者も、現場に温度差

 デジタル教科書や1人1台のタブレット端末による授業、小学校におけるプログラミング教育の必修化などについて、教育関係者にアンケート調査した結果をデジタルアーツ株式会社が12日、公表した。

 これは、同社が提供する情報モラル教育の学習資料をダウンロードした教育関係者71人(小・中・高等学校・教育委員会などに勤務)が回答したもの。サンプルが少ないため統計データとして傾向を語ることはできないとしているが、教育へのICT活用に対する現場の温度差が感じられるとしている。

 まず、プログラミング/タブレット導入についての考えを聞く設問では、「自主的に学び、問題解決する力が身に付くことを期待」(47.9%)、「日本の教育がどう変化するのか、具体的な方針やプランが知りたい」(39.4%)、「ITを駆使した新しい知識や経験が身に付くことを期待」(36.6%)、「創造力や表現力が身に付くことを期待している」(35.2%)、「物事をあらゆる視点から捉える力が身に付くことを期待している」(31.0%)といった項目が多く挙げられた。

 小学校におけるプログラミング教育については、「必要だと思う」(45.1%)と「必要だと思わない」(54.9%)がほぼ半々。アンケート回答者の年代は30代~60代だが、50代が約半数を占めていたことから、消極的な結果になった可能性も考えられるという。

 必要だと思う理由は、「自分で考え、問題を解決する能力が身に付くから」(78.8%)、「論理的思考を身に付けることができるから」(66.7%)、「これからの時代に求められるスキルだから」(57.6%)などが上位。

 不要だと思う理由は、「他に優先して学ぶべき科目があるから」(76.9%)が多く、以下、「児童・生徒の適性によって選択制にするべき」(53.6%)、「小学校からの導入は早すぎると思うから」(38.5%)、「教員の負担が増えるから」(30.8%)、「プログラミングを学ぶことでどのような力が身に付くのか疑問だから」(28.2%)。

 このほか、社会人になる前に児童・生徒に積極的に経験しておいてほしいことについても聞いている。多く挙がったのは、「積極的にコミュニケーションする」(94.4%)、「人前で発表・発言する場を経験する」(80.3%)、「本をたくさん読む」(73.2%)、「ディスカッションの機会を経験する」(71.8%)、「考えたことを文章で表現する」(67.6%)など。

 一方で、ICTに関連する「タブレットやスマートフォンの操作に早くから慣れる」(15.5%)、「インターネットを積極的に活用する」(14.1%)、「プログラミングを学ぶ」(11.3%)といった項目はあまり重要視されていないという。

 アンケート調査の結果からデジタルアーツでは、「教育現場ではICTの活用において温度差が感じられ、教育関係者の多くがプログラミング/タブレットの導入で得られる効果に期待はするものの、将来、子ども達にとって必要となる『考える力』や『人間関係を形成する力』『コミュニケーション能力』『表現する力』といった本来の基本的な教育をベースに、その上で『知識としてタブレットを操作する力』や『プログラミングを通して物事を論理的に考える力』を身に付けて欲しいという思いが根底にあるのではないか」と分析している。