ニュース

来場者16万人を目指す「CEATEC JAPAN 2018」の新企画が明らかに、10月16日~19日に幕張メッセで開催

CEATEC JAPAN実施協議会エグゼクティブプロデューサーの鹿野清氏

 10月16日~19日に幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催されるイベント「CEATEC JAPAN 2018 ―CPS/IoT Exhibition―」に関する説明会が都内で行われた。

 19回目となる今回のCEATEC JAPAN 2018では、「日本の成長戦略や未来を世界に向けて発信するSociety 5.0の展示会」とし、業界の垣根を越えて政策・産業・技術を連携。IoTやロボット、人工知能(AI)を活用した「つながる社会、共創する未来(Connecting Society, Co-Creating the Future)」をテーマにした総合展示会に位置付けている。

 主催は、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)、一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会、一般社団法人コンピュータソフトウェア協会の3団体で構成されるCEATEC JAPAN実施協議会。

 CEATEC JAPANは、2016年に「脱・家電見本市」を宣言。IoTをメインテーマにした「CPS/IoTの総合展」へと変化している。

来場者16万人が目標、さまざまな産業界からの来場を期待

 CEATEC JAPAN実施協議会エグゼクティブプロデューサーの鹿野清氏は、「CEATEC JAPANは2016年以降、新たな展示会に向けて舵を切った。また、2000年に複数の展示会を統合しCEATEC JAPANとして開催してから、2019年には20周年を迎える。これまでにも新たなチャレンジをしてきたが、2018年のCEATEC JAPANでは次の節目に向けてさまざまな角度から挑戦を行い、新たな企画にも取り組んでいきたいと考えている。日本の産業界の活性化と、国民生活を少しでも豊かにするお手伝いをしたい」と抱負を述べた。

 会期中の来場目標者数を16万人に設定。「昨年は15万2000人が来場し、1日平均来場者数は9年ぶりに3万8000人を突破した。今年は1日平均4万人を目標とし、合計で16万人の来場者を見込む。毎日企画を用意して来場してもらえるようにする」とした。

 だが、「大切なのは、来場者数よりも、どんな方々に来てもらうかという点。IT・エレクトロニクス業界にとどまらず、さまざまな産業界からの来場を期待している」と語った。

 CEATEC JAPAN実施協議会によると、昨年の「CEATEC JAPAN 2017」に訪れた15万2000人の来場者数のうち32%が新規来場者であり、667社の出展者数のうち約50%が新規出展だったという。

 「CPS/IoTの総合展として以降、新たな出展者や来場者が増加しているが、その一方で、以前のように日本の電機メーカーが展示する新たなテレビや新たなオーディオが見られなくなったという不満の声があることも理解している。だが、新たな展示会へと舵を切り、意味のある変化にトライしている。新たなかたちで日本の産業界に貢献していきたいと考えており、より広く、より1つでも多くの産業界の方々に出展および来場をしてもらいたい。」

 なお、出展者数については「海外企業などの参加がまだ最終決定していないところもあり、開催前日の10月15日に発表する」とした。

 また、鹿野氏は、昨年から打ち出している「CEATEC体験」を改めて強調した。「CEATEC JAPANでは、展示とコンファレンスを『対』のかたちで体験をしてもらうことを重視している。来場者と出展者とのコラボレーションだけでなく、出展者と出展者が共創する場としても活用して欲しい」という。

 CEATEC体験とは、展示を「見て」、コンファレンスを「聴いて」、未来の社会を「感じて」、「考えて」、共創に向けて「動き出す」という体験を指す。

展示会場の新たなキービジュアルを制定、エリアも色分けして分かりやすく

左の部分が新たなキービジュアル

 一方で、CEATEC JAPAN 2018の展示内容の一部も紹介。「前年同様にホール1からホール6までを使用しているが、内容は大きく変化している」と語り、さらに「今回のCEATEC JAPAN 2018から、新たなキービジュアルを制定。展示会場やウェブサイト、冊子などにこれを採用するほか、展示会場も色分けをして、どこに行くと目的のものにたどり着くことができるのかといったことも分かりやすく表示する。会場内の通路のカーペットも色分けして、来場者が分かりやすいようにする」と述べた。

 ホール1~2は従来通り、日本を代表する電機メーカーなどが出展するエリアで、三菱電機、シャープ、富士通が最大規模のブースを構える予定だ。「昨年の展示を見ても、単に製品を幅広く展示するというのではなく、各社が自らの得意な領域に特化して日本の企業に対するソリューションを提案していた傾向があった。そうした動きを捉えて、今年は『トータルソリューション』エリアと呼ぶことにした」。

 ホール5~6も、従来と同様に電子部品メーカーの出展を中心にしたエリアだ。ここは「電子部品/デバイス&装置」エリアと呼んでいるが、「部品メーカー各社は、IoTの世界において大切な役割を果たしている。このエリアでも、昨年は単にデバイスや部品を並べるのではなく、組み込みソフトまでを含めた具体的なソリューションを提案していた。今年もソリューション提案に期待している」と述べた。

 キービジュアルがさまざまな色を採用しているのを象徴するように、ホール3はスマートファクトリー、モビリティ/ロボティクス、エネルギー/スマートライフ/スマートワーク、AI/ビッグデータ/サイバーセキュリティ、フィットネス/ヘルスケア、エンターテインメントのエリアを用意。「5GやAIをはじめとした最新技術と、これを活用して創出される新たなマーケットなどに分類。どんな市場に向かって、どんな技術や製品、サービスを提供するかといったことが分かる。来場者が見たいと思う場所に分かりやすく誘導したい」と語った。

 ホール4は、主催者企画および特別テーマエリアであり、紫色で表示することになる。「正面のレジストレーションカウンターから入ると真っ先に目に入るのが、このエリアとなる。まずは、このエリアを見て欲しい」と鹿野氏は語る。

「IoTタウン」展示面積は昨年の2倍、ローソンも新たに出展

 主催者企画では、3年目となる「IoTタウン」を今年も設置する。

 IoTタウンは、CPS/IoT Exhibitionのショーケースともいえる役割を果たしており、さまざまな産業からの出展が相次いでいるのが特徴。最新テクノロジーを活用したソリューションを一堂に見ることができる。

 「昨年は“金融”“観光”“スマートライフ”“エンターテインメント”の4つの産業からの参加があったが、今年は“農業”“建設・土木”“都市インフラ”“スマートシティ”“医療・ヘルスケア”“物流・流通”の6つの産業界から新たな出展がある。合計で10の産業界が出展することになり、日本の産業界のかなりの部分をカバーすることになる。IoTタウンには、新たに8社が出展し、合計で20社となる。これらの出展企業の名前だけを見ると、CEATEC JAPANはなんの展示会だといわれるかもしれないが、ここでは産業界を問わず、IoTの利活用による提案をいかにできるかが鍵になる」とし、「新たに出展するローソンや三菱地所は関連企業とともに展示をすることになり、まさに共創の姿をお見せできると期待している。BtoBtoCの世界を実現したいと考えている」と述べた。

 IoTタウンの展示面積は昨年の2倍になる予定。「昨年は、『ストリート』にとどまっていたが、今年は名実ともに『タウン』になる。来場者目線で考えた展示が可能になる」。

 また、特別テーマエリアでは、Startup & Universityを設置する。設立9年以下のスタートアップと大学、大手企業、投資家を結び、研究成果の社会実装を目指すエリアだ。「昨年は140社が参加したが、今年は経済産業省が取り組んでいるJ-Startupもここに出展する。前年を上回る150社以上の出展を見込んでいる」という。

CESやIFAに対抗、海外のスタートアップのための「Co-Creation Park」エリアを新設

 このほか、特別テーマエリアとしては新たに「Co-Creation Park」を設置する。海外との共創の場として、海外のスタートアップ企業などの参加を予定している。

 「CEATEC JAPANでは2000年以降、台湾、韓国、中国からの出展を促進し、2014年からは米国パビリオン、2017年にはインドパビリオンを作った。だが、昨年のCEATEC JAPANでは海外からの来場者数は2000人を切っており、これまでの歴史を見ても海外の来場者が4000人を超えていないのが実態である。海外の方々が来場しても、期待しているビジネスチャンスを創出できる場にはなっていないという反省がある。今年はCo-Creation Parkとしてフランスや英国、ドイツのスタートアップ企業にも出展をしてもらう。点在していた展示をCo-Creation Parkにまとめ、ここでは英語を共通言語として、実りのある会話ができるような環境を作る。」

 米ラスベガスで開催されている「CES」では、全世界のスタートアップ企業が出展する「CES Eureka Park」があり、独ベルリンで開催されている「IFA」でも、昨年から同様に「IFA NEXT」のエリアを用意している。Co-Creation Parkはそれらを意識したものであり、今後のCEATEC JAPANの目玉の1つにしていきたいという。

110のコンファレンスを実施、展示と対で「CEATEC体験」を

 一方で、「CEATEC体験」の言葉でも示したように、CEATEC JAPANではコンファレンスと連動を重視している。今年は約110のコンテンツが用意されているというが、これまでとの大きな違いは、開催初日に行われていた主催3団体の会長による基調講演を行わず、新たな切り口として、さまざまな産業のトップから具体的な取り組みを交えた内容での基調講演が行われるという点だ。

 具体的には、コマツの大橋徹二代表取締役社長兼CEO、Preferred Networksの西川徹代表取締役兼CEO、ローソンの竹増貞信代表取締役社長、ファナックの稲葉善治代表取締役会長兼CEOの基調講演が予定されている。「各社のフロア展示と講演を聴いてもらえれば、どんなことに取り組んでいるのかをより深く理解してもらうことができる」。

 さらに開催前日にはCEATEC JAPAN関連イベントとして、「Global Symposium」をパレスホテル東京(東京都千代田区)において開催することも明らかにした。

 完全招待制とし、約250人の経営トップを対象に開催。ドイツ産業連盟のデータ・ケンプ会長、米Salesforce.comの共同創業者兼CTOであるパーカー・ハリス氏、仏ダッソー・システムズの共同創業者兼国際渉外特別顧問であるフィリップ・フォレスティエ氏、CEATEC JAPAN実施協議会会長であり、三菱電機取締役会長の柵山正樹氏がそれぞれ講演。講演後には、グーグルの専務取締役兼CMOである岩村水樹氏をモデレーターにしたパネルディスカッションを開催する。

 「日本、ドイツ、米国、フランスの4カ国のトップが登場して、お互いにどんな課題があるのか、どんなところで協力できるのかといった気付きが生まれることを期待している。今後、海外にも力を入れていくという、今後のCEATECの方向性を示すものになる」と位置付けた。

 また、恒例となっている「CEATEC AWARD」についても説明。今年は100点以上の応募があり、すでに第1次選考が終了したことを報告。「開催前日のオープニングレセプションの場で、表彰することになる」とした。

 このように、今年のCEATEC JAPAN 2018では、新たな取り組みが目白押しとなっていることが示された。

 なお、説明会終了後には、メディアコンベンション出展者広報担当者と報道関係者との交流会が行われた。